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十話 次世代の玉座
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三年前旅行中音信不通になり現在も消息不明な第一王子セリス・ルーンファクト。
生きているか死んでいるかさえわからない相手と婚約しろとサイモン陛下は言った。
これはもう嫌がらせでしかないだろう。
アリオス殿下への当たりがきついので誤解しそうになったが、国王は決して私の味方ではない。
公平な判断を下す名君でもない。
己の馬鹿息子のことも公爵家の小娘である私のことも平等に見下しているだけだ。
このような人物が王だとは頭が痛くなる。
そして第一王子が行方不明な今、順当にいけば第二王子のアリオス殿下が次代の国王となるのだ。この国の未来が不安でしかない。
「……国王としての、御命令ですか」
「ああ、命令だ」
但し令嬢が泣いて嫌がるなら撤回も考えよう。
そうサイモン陛下はにやにやと笑った。複数の意味で信じられない。
言いなりにしたら逆にセリス殿下への不敬行為だと罰を与えてきそうだ。
「この命令は、余が玉座についている間のみ有効だ」
その台詞に戸惑いを浮かべていたアリオス殿下の瞳が怪しく輝く。
「父上、つまり、俺、いや私が次期国王となれば……!」
「その後は好きにせよ、アリオス。お前が私の後釜に相応しい人間だと今は思わぬがな」
成程。私を不出来な息子への餌として今後は利用していくつもりか。
真っ先に反対してくれそうな父は国王一家を射殺しそうな瞳で睨みつけるばかりだ。
その理由もなんとなくだが理解している。
セリス殿下の生死が不明だからだ。発言内容によっては彼が死亡していると決めつけたと非難されかねない。
いや口頭での非難程度で済む気がしない。
国王は今猫が鼠をいたぶるようなつもりでいるのだろう。アリオス殿下の父親だけある。
「……わかりました。その王命、謹んでお受けいたします」
私はそう答えた。悔しさはあるが絶望はしていなかった。
サイモン殿下は決して息子を可愛がっているわけではない。
自分がその場で一番の権力者であり、それ以外は全て玩具扱いしている節がある。
玉座という餌をアリオス殿下にちらつかせても数年ですぐ明け渡すなど決してしないだろう。
そこに隙と勝算がある筈だ。私はわざと悔し気な表情を浮かべ王族たちから視線をそらした。
生きているか死んでいるかさえわからない相手と婚約しろとサイモン陛下は言った。
これはもう嫌がらせでしかないだろう。
アリオス殿下への当たりがきついので誤解しそうになったが、国王は決して私の味方ではない。
公平な判断を下す名君でもない。
己の馬鹿息子のことも公爵家の小娘である私のことも平等に見下しているだけだ。
このような人物が王だとは頭が痛くなる。
そして第一王子が行方不明な今、順当にいけば第二王子のアリオス殿下が次代の国王となるのだ。この国の未来が不安でしかない。
「……国王としての、御命令ですか」
「ああ、命令だ」
但し令嬢が泣いて嫌がるなら撤回も考えよう。
そうサイモン陛下はにやにやと笑った。複数の意味で信じられない。
言いなりにしたら逆にセリス殿下への不敬行為だと罰を与えてきそうだ。
「この命令は、余が玉座についている間のみ有効だ」
その台詞に戸惑いを浮かべていたアリオス殿下の瞳が怪しく輝く。
「父上、つまり、俺、いや私が次期国王となれば……!」
「その後は好きにせよ、アリオス。お前が私の後釜に相応しい人間だと今は思わぬがな」
成程。私を不出来な息子への餌として今後は利用していくつもりか。
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