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24・一難去ってまた一難です
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次に目が覚めた時、私は再び猫の体だった。
別にそれはいい。この世界に猫として転生したなら猫として生きて行く覚悟はできている。
良くないのは私の体が、やたらともふもふとした暖かくて獣臭い何かに抱え込まれていることだ。
触り心地やぬくもりに関しては評価できるが重いのが駄目過ぎる。
ベアトリスちゃんが用意してくれた豪華猫ベッドで寝かせて欲しい。
「んびゃ……お」
ぺっぺっ、毛が口に入った。猫だから毛づくろいぐらいするが自分以外の毛を舐めるのは嫌だ。
しかもこれは猫の毛ではなく犬の毛だ。そして犬といえば、レックス。
体の下で私がじたばたしている気配を察したのか彼の目がこちらを向く。
『……おきた』
『……起きたけど』
驚いた顔で言うレックスになぜか気まずさを感じながら私も仏頂面で返す。
そして次の瞬間に、彼は何故か雄叫びを上げた。
『おきた、おきた、おきた、おきたよ!!ベロアがおきたよ!!!』
『うっ、うるさい!黙りなさいよこのお馬鹿犬!!』
『ベアト!!オーウェン!!はやくはやく!!ベロアがおきたよ!!』
子犬とは思えない声量でウォンウォンと吠え続けるレックス。
それを真下で聞かされるなんて堪ったもんじゃない。ただでさえ猫の耳はいいのだ。
よろよろと彼の下から這い出さうとしたが、がっちりと太い脚で捕まえられる。
相手は子犬だがこちらも子猫だ。体格差では圧倒的に不利である。
しかし幸か不幸か彼は私を捕えた後、吠えることを止めた。しかし安心するのも束の間。
『ベロアベロアベロア~いきててよかった!!ほんとうによかったよ!!』
「ぶぎゃ、にぎゃ、ぶむっ、びゃっ!」
顔中を凄い勢いで嘗め回される。
こういう、こういうところが犬は嫌いなのよ!!
慌てて部屋に駆けつけてきたベアトリスちゃんが救い出してくれる頃には私の顔はすっかり湿っぽくなっていた。
別にそれはいい。この世界に猫として転生したなら猫として生きて行く覚悟はできている。
良くないのは私の体が、やたらともふもふとした暖かくて獣臭い何かに抱え込まれていることだ。
触り心地やぬくもりに関しては評価できるが重いのが駄目過ぎる。
ベアトリスちゃんが用意してくれた豪華猫ベッドで寝かせて欲しい。
「んびゃ……お」
ぺっぺっ、毛が口に入った。猫だから毛づくろいぐらいするが自分以外の毛を舐めるのは嫌だ。
しかもこれは猫の毛ではなく犬の毛だ。そして犬といえば、レックス。
体の下で私がじたばたしている気配を察したのか彼の目がこちらを向く。
『……おきた』
『……起きたけど』
驚いた顔で言うレックスになぜか気まずさを感じながら私も仏頂面で返す。
そして次の瞬間に、彼は何故か雄叫びを上げた。
『おきた、おきた、おきた、おきたよ!!ベロアがおきたよ!!!』
『うっ、うるさい!黙りなさいよこのお馬鹿犬!!』
『ベアト!!オーウェン!!はやくはやく!!ベロアがおきたよ!!』
子犬とは思えない声量でウォンウォンと吠え続けるレックス。
それを真下で聞かされるなんて堪ったもんじゃない。ただでさえ猫の耳はいいのだ。
よろよろと彼の下から這い出さうとしたが、がっちりと太い脚で捕まえられる。
相手は子犬だがこちらも子猫だ。体格差では圧倒的に不利である。
しかし幸か不幸か彼は私を捕えた後、吠えることを止めた。しかし安心するのも束の間。
『ベロアベロアベロア~いきててよかった!!ほんとうによかったよ!!』
「ぶぎゃ、にぎゃ、ぶむっ、びゃっ!」
顔中を凄い勢いで嘗め回される。
こういう、こういうところが犬は嫌いなのよ!!
慌てて部屋に駆けつけてきたベアトリスちゃんが救い出してくれる頃には私の顔はすっかり湿っぽくなっていた。
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