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19・まともな大人を連れてきてください、はやく
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「アミーラはね、元々は別の男と夫婦だったのよ。ベアトリスはその時に出来た子ってわけ」
衝撃の事実過ぎる。
だがこれでマクシミリアンのベアトリスちゃんに対する冷淡な態度の原因が分かった。
いや、やっぱわからない。あんなに冷たく接するならマクシミリアンは何故血の繋がらない娘を引き取った?
何よりもベアトリスちゃんの本当のお父さんは?
私が聞き耳を立てているのが分かったのかメイド女はペラペラと言葉を続ける。
もしかしたらこうやってずっと誰かに話したかったのかもしれない。
先程言ってた「私の役に立て」ってもしかしたら愚痴の聞き役にでもする気なのだろうか。
まあペットって大体そういう役割をしている気がするけれど。
「でも娘が生まれてから間もなく旦那の方が事故で他界。途方に暮れたあの女を熱心に口説いたのがマクシミリアン様よ」
生まれたばかりの赤子共々養って見せるってね。
その事故って、もしかして……。
いや流石にマクシミリアンといえどもそこまで非道な真似はしない……とも言い切れないのが困る。
だってあいつ自分のルートでベアトリスちゃんを躊躇いなく刺し殺していたし。
本当ドロドロして嫌な世界だな、このゲーム。いや今は現実だけれど。
「そうしてアミーラはマクシミリアン様の妻になってベアトリスも娘になった。けれど血の繋がっていない娘なんて愛せると思う?」
女は無理だとでも言う様に蓮っ葉な声を立てて笑った。
……いや、ゲーム世界では普通に血の繋がらない娘を溺愛してるんだよなあマー坊。
マクシミリアンがベアトリスちゃんを可愛がらない理由は単純に母親似じゃないからだと思う。
そこに、自分の血を引いてないからとか亡くなったお父さんに似ているからとかが追加されているだけじゃないだろうか。
イケFを知らないこのメイド女がアミーラさんそっくりなヒロインの存在を知っている訳がないから仕方ないけれど。
「あの女も薄々それに気付いていた。でも連れ子を可愛がれなんて図々しいことは流石に言えなかったのね」
だったら離婚すればいいのに。と思ってしまうのは自分が前世の価値観を持っているからだろうか。
いやだってこれ誰も幸せになってないでしょ。アミーラさんもベアトリスちゃんも。
マクシミリアンは……アミーラさんが手に入ればいいのかもしれないけれど。
「でも彼との子供が出来れば娘が益々邪険にされると思って体調不良を理由にずっと共寝を拒み続けているのよ」
いや、やっぱりそこまでやるなら離婚しようよアミーラさん!
その件に関してはマー坊もよく耐えてるよ、いや耐えてないからこの女と浮気してるのか。まっこと最悪な大人しかいないな。
「まあ、今の体調不良は仮病じゃないけれどね……私のおかげで」
にたりと笑いながら女はスカートのポケットから何かを取り出す。
どこか見覚えのある小瓶がその指に捉えられていた。
「少しずつ少しずつ……側付きメイドの立場を利用して毒を飲ませ続けたわ、色々な物に混ぜてね。アミーラは気鬱による衰弱だと信じ切っている」
彼女が死んだら私がマクシミリアン様の妻よ。
そう高笑いをしながら言う女はお伽噺の悪い魔女そのものだった。
衝撃の事実過ぎる。
だがこれでマクシミリアンのベアトリスちゃんに対する冷淡な態度の原因が分かった。
いや、やっぱわからない。あんなに冷たく接するならマクシミリアンは何故血の繋がらない娘を引き取った?
何よりもベアトリスちゃんの本当のお父さんは?
私が聞き耳を立てているのが分かったのかメイド女はペラペラと言葉を続ける。
もしかしたらこうやってずっと誰かに話したかったのかもしれない。
先程言ってた「私の役に立て」ってもしかしたら愚痴の聞き役にでもする気なのだろうか。
まあペットって大体そういう役割をしている気がするけれど。
「でも娘が生まれてから間もなく旦那の方が事故で他界。途方に暮れたあの女を熱心に口説いたのがマクシミリアン様よ」
生まれたばかりの赤子共々養って見せるってね。
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いや流石にマクシミリアンといえどもそこまで非道な真似はしない……とも言い切れないのが困る。
だってあいつ自分のルートでベアトリスちゃんを躊躇いなく刺し殺していたし。
本当ドロドロして嫌な世界だな、このゲーム。いや今は現実だけれど。
「そうしてアミーラはマクシミリアン様の妻になってベアトリスも娘になった。けれど血の繋がっていない娘なんて愛せると思う?」
女は無理だとでも言う様に蓮っ葉な声を立てて笑った。
……いや、ゲーム世界では普通に血の繋がらない娘を溺愛してるんだよなあマー坊。
マクシミリアンがベアトリスちゃんを可愛がらない理由は単純に母親似じゃないからだと思う。
そこに、自分の血を引いてないからとか亡くなったお父さんに似ているからとかが追加されているだけじゃないだろうか。
イケFを知らないこのメイド女がアミーラさんそっくりなヒロインの存在を知っている訳がないから仕方ないけれど。
「あの女も薄々それに気付いていた。でも連れ子を可愛がれなんて図々しいことは流石に言えなかったのね」
だったら離婚すればいいのに。と思ってしまうのは自分が前世の価値観を持っているからだろうか。
いやだってこれ誰も幸せになってないでしょ。アミーラさんもベアトリスちゃんも。
マクシミリアンは……アミーラさんが手に入ればいいのかもしれないけれど。
「でも彼との子供が出来れば娘が益々邪険にされると思って体調不良を理由にずっと共寝を拒み続けているのよ」
いや、やっぱりそこまでやるなら離婚しようよアミーラさん!
その件に関してはマー坊もよく耐えてるよ、いや耐えてないからこの女と浮気してるのか。まっこと最悪な大人しかいないな。
「まあ、今の体調不良は仮病じゃないけれどね……私のおかげで」
にたりと笑いながら女はスカートのポケットから何かを取り出す。
どこか見覚えのある小瓶がその指に捉えられていた。
「少しずつ少しずつ……側付きメイドの立場を利用して毒を飲ませ続けたわ、色々な物に混ぜてね。アミーラは気鬱による衰弱だと信じ切っている」
彼女が死んだら私がマクシミリアン様の妻よ。
そう高笑いをしながら言う女はお伽噺の悪い魔女そのものだった。
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