敗北ルートが悲惨すぎる悪役令嬢の飼い猫に転生しました~ご主人様は天使なので絶対破滅させません~

砂礫レキ

文字の大きさ
上 下
16 / 24

16・警察を呼んでください

しおりを挟む
 それはいつもと変わらない晴れた日のことだった。
 
 屋敷の廊下をお散歩していたら突然上からシーツが降ってきた。

 状況を把握できないままシーツに包まれ、誰かに乱暴に持ち上げられた。

 その時点で硬直がとけた私は当然大暴れをしたが相手にダメージを与えることは出来ずそのまま連れ去られてしまった。

 子猫故の非力さが恨めしい。体に伝わる振動で私を抱き上げている相手が移動していることがわかった。

 せめて鳴いて助けを求めようとしたら、数回鳴いたところでシーツ越しに首を絞められた。この時点で確実に危険な相手だとわかる。

 死にたくないので黙ることにしたら「お利口さんね」と厭味ったらしく言われた。女性の声だった。

 いや、誰だよ。

 シーツの白に視界を奪われる直前の光景を思い出す。

 この家で働いているメイドたちが着用しているロングスカートと指定靴が前方に見えた。

 それで端に避けようかと思った瞬間にシーツが飛んできたのだ。

 つまり私を誘拐したのは十中八九この屋敷のメイドだと言っていいだろう。

 もしかしたらメイドに変装した別の人間の可能性もあるが。 

 しかし犯人の目星がついても、誘拐された理由については謎のままだ。

 考えられるとすれば、ベアトリスちゃんの愛猫である私を人質にして身代金をせしめるぐらいだが。

 うん、絶対マクシミリアンはびた一文出さないと思う。

 その場合、交渉決裂で私は犯人に殺されてしまうのだろうか……。

 ゲーム内でも兎や小鳥などの小動物が主に闇オーウェンのせいで結構殺されていたし。

 ただ登場人物もバンバン死んでいるからある意味平等ではあるのだけれど。

 でも前世では飛び降り自殺の下敷きになって死んで、ゲーム世界に転生したと思ったら今度は殺されて死ぬなんて不幸過ぎる。

 誰でもいいから助けて欲しい、私は恐怖にぶるぶる震えながらそう願った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

アイアイ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...