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14・味方が増えました
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レックスが獣人だと二人にばれてから二週間後。
私のベアトリスちゃん救済作戦もオーウェンにばれました。
「マクシミリアンおじさんがベアトを虐めているって本当か?」
本日、アポイントメントもなしに屋敷にやってきたオーウェン。
彼はベアトリスちゃんがピアノの授業中だと聞くと「レックスがベロアと遊びたがっているだけだから」と私を拉致。
そして授業が終わったら教えてくれとメイドに伝言すると私を森の近くの裏庭まで連れてきた。
レックスルート思い出したばかりだからベアトリスちゃんの屋敷のとはいえ余り近づきたくないのだけれど。
そんなことを思いながら子狼形態のレックスに頭を舐められまくっていた私の前にオーウェンは1枚の紙を差し出した。
字の上手くない子供の書いたような文字だ。えーと、しんあいなるアミーラさま。あなたの夫であるマクシミリアンさまは……。
全文を読んでもふもふの毛の下で青褪める私をオーウェンは真剣な目で見つめた。そして言った。
「これをレックスに書かせたのはお前だな、ベロア?」
私は抗議するようにレックスに小さく唸った。
『ちょっと、なんでオーウェンにばらすのよ!』
『ばらしてないよ!ちゃんとうまくかけているかオーウェンにカクニンしてもらったたけだよ!』
『あーもう、この駄犬!!』
『ダケンちがう、オオカミだよ!!』
「あーもう、この仲良しわんにゃんども!!」
今は楽しくお喋りしてる場合じゃない、そうオーウェンはレックスから私を取り上げて自分の膝に乗せた。
嫌なんですけど!ベアトリスちゃん以外の膝に無理やり乗せられるのすっごく嫌なんですけど!!
そう暴れる私をなんなく抑え込みながらオーウェンは私に話しかけた。
「ベロア、別にお前を怒りたいわけじゃない。俺はレックスの書いた内容が本当かだけ知りたいんだ。……父親とはいえ、俺のベアトを泣かせる奴はぶっとばしてやる」
その言葉を聞いて私はオーウェンの攻略ルートを思い出す。
悪役令嬢ベアトリスの婚約者で居続けた結果、彼女に執着されながらも嘲りを受け続け自尊心が粉々に破壊されていた青年オーウェン。
その鬱憤を晴らす為に学園で飼っている兎を殺そうとしている所をヒロインに止められるのが彼との初遭遇だ。
兎を殺されたくなければストレス解消に付き合えとヒロインを私物化し隙あらば乱暴しようとするオーウェン。
けれどヒロインは魔法でそれを防ぎながら、傷ついて歪んだオーウェンに寄り添い続けるのだった。
そして少しずつ更生したオーウェンがヒロインに告白をしてヒロインも初めてそれを受け入れる。
しかし婚約者の心変わりを許す筈もない悪役令嬢ベアトリスはヒロインを泥棒猫と罵り学園から追い出そうとするのだ。
その時にオーウェンがヒロインに告げた台詞が「ベアトリスとはいえ、俺の恋人を泣かせる奴はぶっ殺してやる」である。
オーウェンが傷つけられても離れないのは己を愛していたからだと疑わなかった悪役令嬢はそこで初めて自分が彼に見限られていたことを知る。
そして、オーウェンの一番の愛が己でなくなったのなら一生残る傷になり続けてやると彼らの前で自殺するのだ。
まあ、エンドスチルではオーウェンとヒロインはベアトリスなんてすっかり忘れたように幸せなピクニックデートをしているのだけれど。
今のところは元気で多少お馬鹿っぽい男の子なんだけれど、やっぱり彼はあの『オーウェン』なんだなあ……。
そんなことを思いながら私は打算する。
レックスを通じて人間たちと間接的な会話をするという手段を考えたこともあった。
けれどそんなことをすれば獣人でもないのに人間のように物事を考える気味の悪い化け猫だと追い出される可能性があった。
マクシミリアンなどは嬉々として退治しようとするだろう。
ベアトリスちゃんは庇ってくれるだろうが子供は大人には勝てない。
ただ、もうオーウェンには私の企みがバレてしまったことだし。
何より今の彼にはベアトリスちゃんを任せられる気がした。
「みゃうおん」
私の指示でレックスが獣人に変身する。
驚くオーウェンの膝から私を奪ってレックスは言った。
「あのね、ベロア、オーウェンに話すって」
でもベアトリスには絶対内緒にしてって言ってる。
レックスの言葉にオーウェンは真剣な顔で頷いた。
私のベアトリスちゃん救済作戦もオーウェンにばれました。
「マクシミリアンおじさんがベアトを虐めているって本当か?」
本日、アポイントメントもなしに屋敷にやってきたオーウェン。
彼はベアトリスちゃんがピアノの授業中だと聞くと「レックスがベロアと遊びたがっているだけだから」と私を拉致。
そして授業が終わったら教えてくれとメイドに伝言すると私を森の近くの裏庭まで連れてきた。
レックスルート思い出したばかりだからベアトリスちゃんの屋敷のとはいえ余り近づきたくないのだけれど。
そんなことを思いながら子狼形態のレックスに頭を舐められまくっていた私の前にオーウェンは1枚の紙を差し出した。
字の上手くない子供の書いたような文字だ。えーと、しんあいなるアミーラさま。あなたの夫であるマクシミリアンさまは……。
全文を読んでもふもふの毛の下で青褪める私をオーウェンは真剣な目で見つめた。そして言った。
「これをレックスに書かせたのはお前だな、ベロア?」
私は抗議するようにレックスに小さく唸った。
『ちょっと、なんでオーウェンにばらすのよ!』
『ばらしてないよ!ちゃんとうまくかけているかオーウェンにカクニンしてもらったたけだよ!』
『あーもう、この駄犬!!』
『ダケンちがう、オオカミだよ!!』
「あーもう、この仲良しわんにゃんども!!」
今は楽しくお喋りしてる場合じゃない、そうオーウェンはレックスから私を取り上げて自分の膝に乗せた。
嫌なんですけど!ベアトリスちゃん以外の膝に無理やり乗せられるのすっごく嫌なんですけど!!
そう暴れる私をなんなく抑え込みながらオーウェンは私に話しかけた。
「ベロア、別にお前を怒りたいわけじゃない。俺はレックスの書いた内容が本当かだけ知りたいんだ。……父親とはいえ、俺のベアトを泣かせる奴はぶっとばしてやる」
その言葉を聞いて私はオーウェンの攻略ルートを思い出す。
悪役令嬢ベアトリスの婚約者で居続けた結果、彼女に執着されながらも嘲りを受け続け自尊心が粉々に破壊されていた青年オーウェン。
その鬱憤を晴らす為に学園で飼っている兎を殺そうとしている所をヒロインに止められるのが彼との初遭遇だ。
兎を殺されたくなければストレス解消に付き合えとヒロインを私物化し隙あらば乱暴しようとするオーウェン。
けれどヒロインは魔法でそれを防ぎながら、傷ついて歪んだオーウェンに寄り添い続けるのだった。
そして少しずつ更生したオーウェンがヒロインに告白をしてヒロインも初めてそれを受け入れる。
しかし婚約者の心変わりを許す筈もない悪役令嬢ベアトリスはヒロインを泥棒猫と罵り学園から追い出そうとするのだ。
その時にオーウェンがヒロインに告げた台詞が「ベアトリスとはいえ、俺の恋人を泣かせる奴はぶっ殺してやる」である。
オーウェンが傷つけられても離れないのは己を愛していたからだと疑わなかった悪役令嬢はそこで初めて自分が彼に見限られていたことを知る。
そして、オーウェンの一番の愛が己でなくなったのなら一生残る傷になり続けてやると彼らの前で自殺するのだ。
まあ、エンドスチルではオーウェンとヒロインはベアトリスなんてすっかり忘れたように幸せなピクニックデートをしているのだけれど。
今のところは元気で多少お馬鹿っぽい男の子なんだけれど、やっぱり彼はあの『オーウェン』なんだなあ……。
そんなことを思いながら私は打算する。
レックスを通じて人間たちと間接的な会話をするという手段を考えたこともあった。
けれどそんなことをすれば獣人でもないのに人間のように物事を考える気味の悪い化け猫だと追い出される可能性があった。
マクシミリアンなどは嬉々として退治しようとするだろう。
ベアトリスちゃんは庇ってくれるだろうが子供は大人には勝てない。
ただ、もうオーウェンには私の企みがバレてしまったことだし。
何より今の彼にはベアトリスちゃんを任せられる気がした。
「みゃうおん」
私の指示でレックスが獣人に変身する。
驚くオーウェンの膝から私を奪ってレックスは言った。
「あのね、ベロア、オーウェンに話すって」
でもベアトリスには絶対内緒にしてって言ってる。
レックスの言葉にオーウェンは真剣な顔で頷いた。
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