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【46】悪霊令嬢、黙秘する
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「アヤナがこの件に関わったのはナズナ・コノハナに泣きつかれたからだ」
ローレルの言葉に私は視線だけで返答した。
アヤナは先日私に抱き着いているルシウスを目撃し止めている。
その時に彼の様子がおかしいこともわかっている筈だ。
ルシウスの異常を教師であり親しくしているアヤナに相談するのは不自然ではない。
そしてヒロインから頼られたアヤナが犯人捜しをするのも。
「驚かないんだな」
「驚く理由がないので」
私は魔女教師の弟にそう返した。
今口にした通り、ヒロインとアヤナの繋がりは理解している。
冤罪の押し付けに近い犯人当てゲームは魔女の気絶により中途半端に終わった。
けれどローレルによってルシウスの中から私に対する恋心は消えている。
これだけならナズナも納得する結果になったと思う。
けれど、ルシウスの中からはナズナに対する想いも消えている筈だ。
その部分について彼女はどうするのだろう。私はその部分が気にかかった。
もしこのことで再度アヤナを頼られでもしたら、又面倒臭いことになるかもしれない。
「ルシウスから私への執着は消えたけれど、それで彼の恋人は満足するかしら」
自分への恋心も消えてしまった相手に。
私がそう言うとローレルは気難しい顔をした。
「…先程言った筈だ。あの二人には疎遠になって貰いたい」
そう彼女の関係者は考えていると。
保険医の言葉を私は鼻で笑う。
「なら頑張って彼女を説得するしかないわね、その関係者とやらは」
主張自体は正しいのだから精々頑張って欲しい物だ。
私はそう言い捨てて保健室を出て行った。
会話をしている内に気づいたのだ。
ヒロインの親兄弟の誰かがルシウスを私に惚れさせるよう仕向けた理由が。
彼の婚約者である私への嫌味でもへつらいでもなかった。
単純に捨てられた形になるのが一番自然だと考えたのだろう。
ルシウスにとってナズナは遊び相手。
飽きたから興味を失くし婚約者であるリコリスの元に戻っていった。
その筋書きならナズナも納得する筈だと考えてルシウスを私に惚れさせた。
つまりそれは逆に考えれば、ナズナのことを説得できていないということだ。
正直婚約者のいる相手と恋仲になるなど、怒鳴りつけてでも止めさせるべきだ。
ルシウスのことは薬を使い平気で操る癖にと正体も知らない首謀者に苛々した。
話を切り上げローレルと距離を取ろうとしたのは、これが知られれば再度面倒に巻き込まれると直感したからだった。
だがどうせナズナとルシウスが出会えば又騒動にはなるのだろう。
もしかしたらルシウスは又彼女に恋をするのかもしれない。そうしたら同じことの繰り返しだ。
だけどそうなる前に私とルシウスの婚約を解消する。これで私は巻き込まれることがなくなる。
考え事を続けながら保健室の扉を開き廊下をずんずんと進む。
そして保健室のプレートがかなり小さくなった所で私は気づいた。
外で見張りをしていた筈のハイドラの姿を見ていないことに。
ローレルの言葉に私は視線だけで返答した。
アヤナは先日私に抱き着いているルシウスを目撃し止めている。
その時に彼の様子がおかしいこともわかっている筈だ。
ルシウスの異常を教師であり親しくしているアヤナに相談するのは不自然ではない。
そしてヒロインから頼られたアヤナが犯人捜しをするのも。
「驚かないんだな」
「驚く理由がないので」
私は魔女教師の弟にそう返した。
今口にした通り、ヒロインとアヤナの繋がりは理解している。
冤罪の押し付けに近い犯人当てゲームは魔女の気絶により中途半端に終わった。
けれどローレルによってルシウスの中から私に対する恋心は消えている。
これだけならナズナも納得する結果になったと思う。
けれど、ルシウスの中からはナズナに対する想いも消えている筈だ。
その部分について彼女はどうするのだろう。私はその部分が気にかかった。
もしこのことで再度アヤナを頼られでもしたら、又面倒臭いことになるかもしれない。
「ルシウスから私への執着は消えたけれど、それで彼の恋人は満足するかしら」
自分への恋心も消えてしまった相手に。
私がそう言うとローレルは気難しい顔をした。
「…先程言った筈だ。あの二人には疎遠になって貰いたい」
そう彼女の関係者は考えていると。
保険医の言葉を私は鼻で笑う。
「なら頑張って彼女を説得するしかないわね、その関係者とやらは」
主張自体は正しいのだから精々頑張って欲しい物だ。
私はそう言い捨てて保健室を出て行った。
会話をしている内に気づいたのだ。
ヒロインの親兄弟の誰かがルシウスを私に惚れさせるよう仕向けた理由が。
彼の婚約者である私への嫌味でもへつらいでもなかった。
単純に捨てられた形になるのが一番自然だと考えたのだろう。
ルシウスにとってナズナは遊び相手。
飽きたから興味を失くし婚約者であるリコリスの元に戻っていった。
その筋書きならナズナも納得する筈だと考えてルシウスを私に惚れさせた。
つまりそれは逆に考えれば、ナズナのことを説得できていないということだ。
正直婚約者のいる相手と恋仲になるなど、怒鳴りつけてでも止めさせるべきだ。
ルシウスのことは薬を使い平気で操る癖にと正体も知らない首謀者に苛々した。
話を切り上げローレルと距離を取ろうとしたのは、これが知られれば再度面倒に巻き込まれると直感したからだった。
だがどうせナズナとルシウスが出会えば又騒動にはなるのだろう。
もしかしたらルシウスは又彼女に恋をするのかもしれない。そうしたら同じことの繰り返しだ。
だけどそうなる前に私とルシウスの婚約を解消する。これで私は巻き込まれることがなくなる。
考え事を続けながら保健室の扉を開き廊下をずんずんと進む。
そして保健室のプレートがかなり小さくなった所で私は気づいた。
外で見張りをしていた筈のハイドラの姿を見ていないことに。
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