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夜が明ければ新しい朝が始まる13

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「……それって普通にロマンティックじゃありませんか?」

「えっ」


 私がそれなりに決死の覚悟で告げた内容に対し、アレス王子の反応はあっさりとしたものだった。

 そして予想外だった。

 まさかロマンティックなんて感想が出てくるとは思わなかった。


「前世からの繋がりがある恋って歌劇とかでもよくあると思いますけど」


 そう言いながらアレス王子は実際に劇のタイトルを数個挙げていく。

 その中に幾つか聞き覚えのあるものが存在する。記憶にある内容は確かに彼の言ったとおりのものだった。

 確かに劇中の男女は前世からの因縁を知った時に大体が喜んでいたような気がする。

 二人は恋人になることが決まっていた運命だと男優が感激したように歌い上げていたのを思い出す。


「つまり、アレス王子はあまりそういうことを気にしないの?」

「寧ろ嬉しいぐらいですよ。女々しいかもしれないけれど、この恋は運命なんだなって」


 言葉通りに嬉しそうなはにかみ笑いをアレス王子は浮かべた。愛らしいそれは私の胸を温かくした。

 私も若い彼に倣って無邪気に前世からの因縁を喜ぶべきなのかもしれない。

 多分その方がアレス王子も嬉しいだろう。彼女が笑ってくれると私も嬉しい。


「……彼、女?」

「ディアナさん?」


 決して無視してはいけない情報が先程の思考の中にあった気がする。

 私とアレス王子は恐らく前世での繋がりがある。

 アレス王子はそのことをロマンティックだと嬉しがっている。

 アレス王子が嬉しいなら私もそれでいいと思うことにしようとした。

 したのだが。


「……私の前世からの運命の相手って、女性になったアレス王子かもしれないの」

「えっ」

「今の少女の姿のアレス王子に……懐かしさを感じるし愛しいと思うの。あと可愛いと思うし抱きしめたいと思う」



 それはロマンティックというよりは、エキセントリックといった方が正しいのではないか。

 流石に言葉を失ったアレス王子を前にディアナは色々な意味で『前世』を受け入れるべきか悩んだのだった。

 
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