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25話 赤い世界
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「途中までは仲良くやっていたんですよ、私たち」
そうどこか懐かしそうな顔をして別世界のディストは薄く微笑んだ。
流石にその発言を鵜呑みにする程俺は純粋ではない。
もし本気でそう言っているのならディストだけがそう思っていた可能性が高い。
何せリヒトはこの世界のディストさえ俺に処刑を提案したぐらいなのだから。
「ふふ、絶対嘘だという顔をしていますね。」
そういうわかりやすい表情いいですね。可愛らしいですよ。そう嬉しそうに笑みを深くされげんなりとした。
完全に子供扱いされている。実際彼からは俺の姿が幼く見えても仕方ないだろう。
しかし俺の方からはディストの年齢が今一つ掴めない。成人しているのはわかる。二十代後半か三十代前半辺りだろうか。
三百歳と言われても驚かない気がする。それが今俺を抱いているディストという男の印象だった。性別だって気を抜けば見誤ってしまいそうだ。
「でも事実ですよ。皇弟殿下は貴男の悪口を言った人間の死体をよく差し入れてくれましたし」
確かに彼の親友とは同僚程度の間柄でしたけれど。そうさらりと説明されたが聞き逃せない単語が幾つもある。
カインがディストに死体を差し入れた。成程ネクロマンサーだからか。それは仲良くもなるだろう。
「待ってくれ、いややっぱり聞きたくない」
「困惑した顔は私のレオンとよく似ていますね。彼も妃の首を弟から差し出された時は凄く困っていましたよ」
「えっ……」
「ふふ、泣きそうですね。でも安心してください」
皇弟殿下に非はありませんから。そう子供をあやす様にディストは言う。
「幾ら美男子とはいえ夫君の弟へ勝手に懸想した挙句、兄を弑して皇帝になろうなどと持ち掛けては」
私だったら生きたまま犬に食わせますね。そう宝石のような紫の瞳を凍らせネクロマンサーは告げた。こちらの心臓も凍りそうな視線だった。
成程、カインの行動の理由は分かった。個人的にはやり過ぎだと思うが、それは俺が甘いだけで妃は処刑されても仕方ないだろう。
しかし俺が白豚皇帝だった時と相手が同じならかなり不味いことになる気がする。
「ちなみにその阿婆擦れは元隣国の姫だったので戦争になりました」
「……やはりそうなったか」
「ええ、でも元々向う側に侵略意図があったようですからね。輿入れさせた女も捨て駒のつもりだったかもしれません」
腹違いの兄弟同士で争わせ、その隙に国盗りをする。その計画はカインの剣の一振りで失敗したということか。
しかし俺が婚姻をした後もカインは王宮内にいたのか。追放されることもなく。
ならそれはリヒトが上手くやったということだろう。ならば何故この世界に彼は来たのだろう。
俺の疑問を察したのかディストが口を開く。
「私の世界の貴男はちゃんとカイン殿下を弟として受け入れましたよ。結果心労で激痩せしましたが」
「何で?」
「貴男を陰で白豚呼ばわりした人間が片っ端から彼の剣の餌食になったからですかねえ」
貴男の悪口を決して許さなかった結果、大陸を征服することになりましたが。
そう言われて俺は見知らぬ別世界の自分に心から同情した。いや、もしかしたら父のように冷徹な支配者になっているかもしれないが。
私の世界の貴男は鮮血皇帝と呼ばれていますよ。そうどこか誇らしげに言うディストも絶対にカイン側の人間だろう。
リヒトがその世界から逃げ出した理由もわかるような気がした。
そうどこか懐かしそうな顔をして別世界のディストは薄く微笑んだ。
流石にその発言を鵜呑みにする程俺は純粋ではない。
もし本気でそう言っているのならディストだけがそう思っていた可能性が高い。
何せリヒトはこの世界のディストさえ俺に処刑を提案したぐらいなのだから。
「ふふ、絶対嘘だという顔をしていますね。」
そういうわかりやすい表情いいですね。可愛らしいですよ。そう嬉しそうに笑みを深くされげんなりとした。
完全に子供扱いされている。実際彼からは俺の姿が幼く見えても仕方ないだろう。
しかし俺の方からはディストの年齢が今一つ掴めない。成人しているのはわかる。二十代後半か三十代前半辺りだろうか。
三百歳と言われても驚かない気がする。それが今俺を抱いているディストという男の印象だった。性別だって気を抜けば見誤ってしまいそうだ。
「でも事実ですよ。皇弟殿下は貴男の悪口を言った人間の死体をよく差し入れてくれましたし」
確かに彼の親友とは同僚程度の間柄でしたけれど。そうさらりと説明されたが聞き逃せない単語が幾つもある。
カインがディストに死体を差し入れた。成程ネクロマンサーだからか。それは仲良くもなるだろう。
「待ってくれ、いややっぱり聞きたくない」
「困惑した顔は私のレオンとよく似ていますね。彼も妃の首を弟から差し出された時は凄く困っていましたよ」
「えっ……」
「ふふ、泣きそうですね。でも安心してください」
皇弟殿下に非はありませんから。そう子供をあやす様にディストは言う。
「幾ら美男子とはいえ夫君の弟へ勝手に懸想した挙句、兄を弑して皇帝になろうなどと持ち掛けては」
私だったら生きたまま犬に食わせますね。そう宝石のような紫の瞳を凍らせネクロマンサーは告げた。こちらの心臓も凍りそうな視線だった。
成程、カインの行動の理由は分かった。個人的にはやり過ぎだと思うが、それは俺が甘いだけで妃は処刑されても仕方ないだろう。
しかし俺が白豚皇帝だった時と相手が同じならかなり不味いことになる気がする。
「ちなみにその阿婆擦れは元隣国の姫だったので戦争になりました」
「……やはりそうなったか」
「ええ、でも元々向う側に侵略意図があったようですからね。輿入れさせた女も捨て駒のつもりだったかもしれません」
腹違いの兄弟同士で争わせ、その隙に国盗りをする。その計画はカインの剣の一振りで失敗したということか。
しかし俺が婚姻をした後もカインは王宮内にいたのか。追放されることもなく。
ならそれはリヒトが上手くやったということだろう。ならば何故この世界に彼は来たのだろう。
俺の疑問を察したのかディストが口を開く。
「私の世界の貴男はちゃんとカイン殿下を弟として受け入れましたよ。結果心労で激痩せしましたが」
「何で?」
「貴男を陰で白豚呼ばわりした人間が片っ端から彼の剣の餌食になったからですかねえ」
貴男の悪口を決して許さなかった結果、大陸を征服することになりましたが。
そう言われて俺は見知らぬ別世界の自分に心から同情した。いや、もしかしたら父のように冷徹な支配者になっているかもしれないが。
私の世界の貴男は鮮血皇帝と呼ばれていますよ。そうどこか誇らしげに言うディストも絶対にカイン側の人間だろう。
リヒトがその世界から逃げ出した理由もわかるような気がした。
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