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名シーン
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【乃愛side】
2人だけの教室。
優しくて涼しい風に押されて
ふわりと広がったり、
窓にぺたりとへばりついたりする、
真っ白なカーテン。
そんな不思議な空間に、
今わたしは…
松村くんと2人で身を隠すように入っている。
カーテンは半透明。
誰かに見られちゃいそうで。
そんなヒヤヒヤが
多分……余計に…
わたしの胸をドキドキとさせた。
ピタ…っ
松村くんと肩が触れ合う。
身長がわたしよりも
頭1つ分ぐらい大きい松村くん。
見上げるようにしていて
わたしはゆっくりと松村くんの顔を見つめた。
松村くんもわたしを見つめている。
重なり合う視線はまだぎこちなかった。
間近で見る松村くん…
わぁ…
肌、綺麗…
見下ろされてる感じが
たまらなく、わたしの心を刺激した。
守って…くれてる、みたいな。
包まれてる…?みたいな。
そんな気持ち…。
((松村、いるじゃん?))
((さっき、玄関のとこで女の子に告白されてるの見ちゃった))
頭をよぎる奈子ちゃんの声。
告白…。
そりゃあ…されるよ……。
これだけかっこいいなら…。
ほんと…芸能人みたい……。
もう……
死ぬほどかっこいいじゃん…。
こんなのモテるに決まってる……。
それにやっぱり…
茶ノ宮くんに似ている!
茶ノ宮くんがここにいる!と
叫びたい気持ちでいっぱいだ。
うわぁ…ああああ。
てか、どうしよう!
これ…本当に……
ーー誰もいない教室
ーーカーテンの中で見つめ合う2人
ーーマジかわいい……
ーー(えっ…)
あのシーンじゃん!!!
漫画の中に飛び込んだみたい…。
そんなことを考えていると
松村くんがボソッと言った。
「マジかわいい……」
「……っ、」
えっ…
一瞬びっくりしたけれど、
すぐに思い出す。
あ、セリフ……か。
ちゃんと……忠実に再現してくれてる…?
”キュン”───────…
再現。
分かってる…。ちゃんと…分かってる。
ただの……再現。
分かってるはずなのに…
本当に、わたしに向けて
放たれた言葉みたいで……、
不思議な気持ちになった。
大丈夫……かな。
聞こえないかな。わたしの心臓の音…。
心臓の鼓動を心配しつつも、
わたしは松村くんに釘付けだった。
だって…
真っ直ぐとわたしをとらえて離さない
松村くんの瞳…。
きれいな肌が少しだけ赤くなってて…。
つい、肩がすくむ。
嘘でしょ……
だって……こんなの…、
リアル茶ノ宮くんじゃん…。
漫画のまんま。
わたしの瞳に映る、
茶ノ宮く…じゃなかった!
松村くんは本当に…
漫画のまんまだった。
そして…
その時。
爽やかな風が吹いて、
カーテンが、大きく広がった。
お互いの髪が風になびく。
「片瀬さんって、
こういう男が好きなのか…?」
こういう…男?
松村くんの突然の発言に混乱する。
ちなみにこんなセリフは【ハピラブ】にはない。
「えっ…、茶ノ宮くん…みたいな、
男の子って…こと?」
とまどいながら聞き返すわたし。けど…
「ごめん…っ、なんでもない」
次の瞬間。糸が切れたかのように、
視線をそらされてしまった。
あっ…謝られ…た?
そっぽを向いてしまった
松村くんの背中を呆然と見つめる。
どういう…意味だったんだろう。
「松村く…」
「でさー、あははっ!…」
わたしは伸ばしかけた手を引っ込めた。
そろそろクラスメイトが登校してくる時間。
廊下の方から話し声が聞こえたのだ。
わたし達は速やかにカーテンから出て、
席に着いた。着いてからも…
ななめ前の松村くんの
背中ばかりが気になって。
仕方なかった。
♡♡♡
「えー、ここはXの二乗…マイナス……」
朝の”あれ” 以来。
松村くんのことが頭から離れない。
考える度にすごくドキドキして。
授業どころではない。
休み時間も、奈子ちゃんとお話する傍ら…
綾斗くんをつい、目で追っちゃうし…。
綾斗くんは休み時間。
いっつも、宮坂翔太くんと
一緒にいることが多い。
翔太くんは金髪だからか、一際目立つ。
少し前奈子ちゃんがピーマンを食べた時みたいな苦い顔をしてチャラ男だ、と言っていた。
宮坂くんはいつも
松村くんの肩に手を置いてる。
距離感が近くて2人が仲良しなのが
こっちにまで伝わってくる。
でも松村くんはその手を
まるでハエにやるように
シッ、シッ、とよく払っている。
2人にとっては
もうお決まりのやりとりなのかもしれない。
宮坂くんも懲りずにまた、
松村くんの肩に手を伸ばす。
「綾斗ー、かわいい女の子紹介しろよー」
「お前っ、そんなに彼女欲しいのかよ」
今もそんな会話をわたしの席の
ななめ前で行われていた。
また…朝のことが…チラつく。そして
なんか……
不思議な気持ちになっていく。
「ねぇーさっきからなに
松村達のこと、見てんのー?」
「きゃぁ!」
奈子ちゃんだ。
背後からいきなりそんなことを
耳打ちされたので
悲鳴に近い声を出してしまった。
教室中に綺麗に響き渡る。そして
クラスメイトの視線が
全部わたしに注がれる。
「ちょっ…声でかいなぁ」
奈子ちゃんもわたしの声のボリュームに
びっくりしている。
「奈子ちゃんのせいだからね!
あっ、すみません~…」
クラスメイトには軽く頭を下げて誤り、
奈子ちゃんの頭を拳でコツン、とする。
と、その時。
パチッ…
松村くんと目があった。
けどすぐにそらされた。
はぁー…。
奈子ちゃんが言った
((ねぇーさっきからなに
松村達のこと、見てんのー?))が
聞こえてしまったのかと、
一瞬ヒヤリとしたけど、多分
聞こえてしまったのはわたしの悲鳴だけだ。
ホッと、胸をなで下ろし、
奈子ちゃんを見た。
すると
全てお見通し。とても言いたげな顔でニヤニヤとわたしを見下ろしていた。
「好きなんでしょ?」
「は!?」
そんな直球で、そんな恥ずかしいことを!
「好きじゃない!ってば!」
松村くんとはそこそこ席が近いので
小声でそう返す。
「えー?でも、絶対見てたよー」
「……」
見ていたか、見ていなかったか、
で言うと…
「見ては…いたかも……」
正直に白状してしまった。
そこは事実だった。
「ほらー!やっぱりー!」
「あっ、でも!
好きだから、とかではないよ!?」
漫画の中でばかり”キュン”をするわたし。
そんなわたしは今日の朝……。
多分…”漫画の中”ではなく、
”現実”で……
”キュン” をした。
その…”キュン”の相手は松村くん。
でもそれは、きっと、
松村くんの容姿が
茶ノ宮くんに似ているからであって…。
決して、
わたしが松村くんを好き、
っていうわけではない。
だってわたしが好きなのは
茶ノ宮くんだけだ。
根底に、茶ノ宮くんが好き、って
いうのがあるから
松村くんに”キュン”出来た、って話で!
しかも!表情まで似てるからさ!?
仕草とか!ついだよ!?つい!
重ねちゃうだけであって!
別に恋をしているとか、
そういう淡いピンク色のかわいい恋心を
松村くんに向けているわけでは…
ない!ないないないない!
あっ、それにそれに!
ずっと女の子が嫌いなのかと
思ってたから!
そんな松村くんと話して、なんかちょっと新鮮な気持ちになった、ってだけ!
って……
これを全部奈子ちゃんにこと細かく話せればいいんだけど、
松村くんがななめ前にいるため…
今ここでこんなことをペラペラと話したら
聞こえてしまう可能性がある…。
「わたし応援するよー?」
しかしこんな複雑なことを何1つ知らない奈子ちゃん。
「だからっ!違うってばー!」
♡♡♡
「きゃーーーーーっ!!!!!」
家だと遠慮なく叫びまくるわたし。
学校が終わって。お菓子を食べて。
そしてただいま!!
【君キュン】4巻を
読んでいる真っ最中!
ーー俺の事だけ信じろ。
ーーリズムのことは俺が絶対……
ーー守ってやる。
ーーだから安心しろ
「きゃーーーーーっ!!!!!」
やっばぁああああああい!!!!
そうそうそうそう!
やばいの!ここ!
悪者に追い詰められて
茶ノ宮くんとリズムちゃんが
上空100000mから飛び降りるシーン!
絶対にこんな
シチュエーション現実にはないけど、
てか、命綱なしで
上空100000mから飛び降りたら
即死間違いないだろうけど。
けどけど!
それが許されるのが漫画ー!!!
「もう最高…!」
ここの茶ノ宮くんがリズムちゃんのこと
ギューってっ!
もうめっちゃギューってしてるとこ!
ほんと…っ、きゃぁーーーーっ!なの!
「きゃーーーーーっ!!!!!」
あとここ!ここの…
ーーだから安心しろ
の時の茶ノ宮くんの表情!!
優しく!ちょーっ、優しく!
笑ってるのー!
こんな笑い方出来る人!
まじでこの世にいないから!
ぜーーったいにいない!!
((あはははっ……))
((やばいよな、そこ))
「あ…」
なんか……あの時の松村くんに…………
似て…る……?
「あー!もう!」
また考えてる、わたし!
ブンブンと首を振って、
頭を茶ノ宮くんでいっぱいにする。
よしっ!これでおっけい!
もう1度……
ーーだから安心しろ
「……」
((あはははっ……))
((やばいよな、そこ))
重なってるーーっ……!!!!!!!
もう…っ!ぶっちゃけ、これ似すぎでしょ!!
てかさ!?松村くん、
【ハピラブ】読んでるんだよね!?
読んでて、
茶ノ宮くんが自分に似てる、って
気づかないのかな!?
あれだけ似てたらもうすでに誰かに
言われてても全然不思議じゃない。
あ~。もしかしたら自覚してるパターン!?
だって、髪型も茶ノ宮くんも一緒だもんね!
う~ん…。だけど、茶ノ宮くんの髪型は
黒髪マッシュの爽やか系…。
別にそこまで珍しい、って
わけでもないし、
たまたま一緒なのかなぁ、とも思う。
♡♡♡
「はい、今日は
ハンバーグを作ろうと思います」
翌日は朝から調理実習だった。
寝坊してホームルームギリギリに教室ついたから、今日は【ハピラブ】 まだ読めてないー…。
しょぼんとしながら手を洗い、
調理器具を棚から取り出す。
そして、班は…
ほんっとうにたまたまなんだけど。
松村くんと宮坂くんと
わたしと奈子ちゃんの4人班だった。
「同じ班!やったね!」
エプロン姿の奈子ちゃんはそう言って
布巾を取り出した。
「ねっ!」
教室では奈子ちゃんと席が遠いから
同じテーブルで、こうして
一緒に作業出来ることが嬉しかった。
「あいつとも一緒じゃん。よかったね」
そして奈子ちゃんは
わたしにだけ聞こえるように
コソッ、と耳打ちしてきた。
”あいつ”とは…
おそらく松村くんのことだ。
奈子ちゃんはまだわたしが松村くんに好意を寄せていると勘違いしている。
またちゃんと訂正しないとなぁ。
わたしは茶ノ宮くんが好きで。
松村くんは茶ノ宮くんに
似てるだけで、何とも思ってないんだ、って。
「よろしくねっ!奈子っち!乃愛っち!」
そんなふうに奈子ちゃんとコソコソとしていると宮坂くんがひょこっと顔をのぞかせた。
「あっ、うん!よろしくね」
「よろしく」
奈子ちゃんは不機嫌そうに
宮坂くんをチラリと見た。
もぉ~…奈子ちゃんたら。なんて顔!
「ごっ、ごめんね!」
奈子ちゃんの愛想のなさに
わたしが代わりに謝ると
「いいよ、いいよ~」
宮坂くんはそれほど気にしていないのか
ケロッとしていた。
「なーこちゃん!仲良くしようよぉー」
それどころか奈子ちゃんに
付きまといはじめた。
「嫌よ」
「ガーン」
「わたしチャラ男無理」
「ガーン」
「……」
「…ほんとは?」
「無理」
「ガーン」
「ねぇ、ちょっと
2人ともなにやってんの…っ」
横で繰り広げられる2人のやりとりが
おもしろくてつい、笑ってしまった。
「片瀬さん…」
そこで2人の宮坂くん達のやりとりを
呆れたように見ていた松村くんが
わたしの名前を呼んだ。
「うん?」
チラつく昨日の朝の出来事にフタをして
首をかしげる。
「ガーン」
「ねぇ、しつこい!」
「ガーン」
「早くそれ出しなさいよ」…
隣ではまだ奈子ちゃん達が言い合いをしている。
「あの…さ、」
松村くんは少し身をかがめて、
小さな声で言った。
「今週末、【ハピラブ】展やるんだって。
よかったら、一緒に行かない…かな?」
「【ハピラブ】展…?え!?
そんなのやるの、?」
「うん、らしいよ」
「え!行くっ!行きたいっ!」
そんなイベントあったなんて!
知らなかった!!
つい、テンションが上がって、
大きな声で返事をしてしまった。すると…
「あれ?片瀬さん、松村くんと喋ってる」
「えー、松村くん女の子苦手なんじゃないの!?」
周りからそんな声がぁ~…。
痛い。視線がチクチク…痛い。
けれど松村くんはそんな声
気にする様子はなく…
「やった、じゃあ決まりね」
腕まくりしながらニコッと
優しい笑みを浮かべた。
腕…まくり……。
次の瞬間。わたしの視線は一瞬で
松村くんの腕に吸いこまれた。
うわぁ…。
かっこいい……!!
そう。わたしは昔っから男の人の
腕を見ると、テンションが上がってしまう。
なぜかというと、ここ!
この……!血管!
「うわぁ!腕!見せてっ!」
手洗い場に向かうところの松村くんを
引き止めてわたしは駆け寄った。
「えっ?」
立ち止まった松村くんの腕を見つめるわたし。
「片瀬…さん?」
なんで腕まくりした男の人って
なんでこんなにかっこいいんだろう。
血管の見え方がちょーいい!!!
何これ!
今までわたしが目にしてきた
血管の中で…!1番……っ、
「こらー。乃愛、落ち着きなさいー」
はしゃぐわたしの肩を奈子ちゃんが
つかんだことで我に返ったわたし。
「ごめんねー、乃愛、
男の人の腕の血管フェチなの」
「えっ!そうなの!?
じゃあ俺のも見るー!?」
そう言って横から腕を見せてくる宮坂くん。
「……」
でもなんか……あんまり。
「こっちの方がすき!」
わたしは松村くんの
腕の血管をぷにぷにした。
「ガーン」
「乃愛、落ち着いて?」
再び、奈子ちゃんに肩をつかまれ、
わたしは我に返った。
「……っ!?」
えっ!?ちょっとちょっと、なにこれ!
なんでわたし……っ、
松村くんの腕、ぷにぷにしてんの!?
慌てて手を引っ込める。
「うわぁ!ごっ、ごめん!」
「あっ、いや……っ」
わわわ、、わたしってば!
なにしてんの……っ!
松村くん気まずそうにそっぽ向いちゃったし、うわぁ!!!
絶対引かれたぁぁぁぁぁぁー……!!!!
2人だけの教室。
優しくて涼しい風に押されて
ふわりと広がったり、
窓にぺたりとへばりついたりする、
真っ白なカーテン。
そんな不思議な空間に、
今わたしは…
松村くんと2人で身を隠すように入っている。
カーテンは半透明。
誰かに見られちゃいそうで。
そんなヒヤヒヤが
多分……余計に…
わたしの胸をドキドキとさせた。
ピタ…っ
松村くんと肩が触れ合う。
身長がわたしよりも
頭1つ分ぐらい大きい松村くん。
見上げるようにしていて
わたしはゆっくりと松村くんの顔を見つめた。
松村くんもわたしを見つめている。
重なり合う視線はまだぎこちなかった。
間近で見る松村くん…
わぁ…
肌、綺麗…
見下ろされてる感じが
たまらなく、わたしの心を刺激した。
守って…くれてる、みたいな。
包まれてる…?みたいな。
そんな気持ち…。
((松村、いるじゃん?))
((さっき、玄関のとこで女の子に告白されてるの見ちゃった))
頭をよぎる奈子ちゃんの声。
告白…。
そりゃあ…されるよ……。
これだけかっこいいなら…。
ほんと…芸能人みたい……。
もう……
死ぬほどかっこいいじゃん…。
こんなのモテるに決まってる……。
それにやっぱり…
茶ノ宮くんに似ている!
茶ノ宮くんがここにいる!と
叫びたい気持ちでいっぱいだ。
うわぁ…ああああ。
てか、どうしよう!
これ…本当に……
ーー誰もいない教室
ーーカーテンの中で見つめ合う2人
ーーマジかわいい……
ーー(えっ…)
あのシーンじゃん!!!
漫画の中に飛び込んだみたい…。
そんなことを考えていると
松村くんがボソッと言った。
「マジかわいい……」
「……っ、」
えっ…
一瞬びっくりしたけれど、
すぐに思い出す。
あ、セリフ……か。
ちゃんと……忠実に再現してくれてる…?
”キュン”───────…
再現。
分かってる…。ちゃんと…分かってる。
ただの……再現。
分かってるはずなのに…
本当に、わたしに向けて
放たれた言葉みたいで……、
不思議な気持ちになった。
大丈夫……かな。
聞こえないかな。わたしの心臓の音…。
心臓の鼓動を心配しつつも、
わたしは松村くんに釘付けだった。
だって…
真っ直ぐとわたしをとらえて離さない
松村くんの瞳…。
きれいな肌が少しだけ赤くなってて…。
つい、肩がすくむ。
嘘でしょ……
だって……こんなの…、
リアル茶ノ宮くんじゃん…。
漫画のまんま。
わたしの瞳に映る、
茶ノ宮く…じゃなかった!
松村くんは本当に…
漫画のまんまだった。
そして…
その時。
爽やかな風が吹いて、
カーテンが、大きく広がった。
お互いの髪が風になびく。
「片瀬さんって、
こういう男が好きなのか…?」
こういう…男?
松村くんの突然の発言に混乱する。
ちなみにこんなセリフは【ハピラブ】にはない。
「えっ…、茶ノ宮くん…みたいな、
男の子って…こと?」
とまどいながら聞き返すわたし。けど…
「ごめん…っ、なんでもない」
次の瞬間。糸が切れたかのように、
視線をそらされてしまった。
あっ…謝られ…た?
そっぽを向いてしまった
松村くんの背中を呆然と見つめる。
どういう…意味だったんだろう。
「松村く…」
「でさー、あははっ!…」
わたしは伸ばしかけた手を引っ込めた。
そろそろクラスメイトが登校してくる時間。
廊下の方から話し声が聞こえたのだ。
わたし達は速やかにカーテンから出て、
席に着いた。着いてからも…
ななめ前の松村くんの
背中ばかりが気になって。
仕方なかった。
♡♡♡
「えー、ここはXの二乗…マイナス……」
朝の”あれ” 以来。
松村くんのことが頭から離れない。
考える度にすごくドキドキして。
授業どころではない。
休み時間も、奈子ちゃんとお話する傍ら…
綾斗くんをつい、目で追っちゃうし…。
綾斗くんは休み時間。
いっつも、宮坂翔太くんと
一緒にいることが多い。
翔太くんは金髪だからか、一際目立つ。
少し前奈子ちゃんがピーマンを食べた時みたいな苦い顔をしてチャラ男だ、と言っていた。
宮坂くんはいつも
松村くんの肩に手を置いてる。
距離感が近くて2人が仲良しなのが
こっちにまで伝わってくる。
でも松村くんはその手を
まるでハエにやるように
シッ、シッ、とよく払っている。
2人にとっては
もうお決まりのやりとりなのかもしれない。
宮坂くんも懲りずにまた、
松村くんの肩に手を伸ばす。
「綾斗ー、かわいい女の子紹介しろよー」
「お前っ、そんなに彼女欲しいのかよ」
今もそんな会話をわたしの席の
ななめ前で行われていた。
また…朝のことが…チラつく。そして
なんか……
不思議な気持ちになっていく。
「ねぇーさっきからなに
松村達のこと、見てんのー?」
「きゃぁ!」
奈子ちゃんだ。
背後からいきなりそんなことを
耳打ちされたので
悲鳴に近い声を出してしまった。
教室中に綺麗に響き渡る。そして
クラスメイトの視線が
全部わたしに注がれる。
「ちょっ…声でかいなぁ」
奈子ちゃんもわたしの声のボリュームに
びっくりしている。
「奈子ちゃんのせいだからね!
あっ、すみません~…」
クラスメイトには軽く頭を下げて誤り、
奈子ちゃんの頭を拳でコツン、とする。
と、その時。
パチッ…
松村くんと目があった。
けどすぐにそらされた。
はぁー…。
奈子ちゃんが言った
((ねぇーさっきからなに
松村達のこと、見てんのー?))が
聞こえてしまったのかと、
一瞬ヒヤリとしたけど、多分
聞こえてしまったのはわたしの悲鳴だけだ。
ホッと、胸をなで下ろし、
奈子ちゃんを見た。
すると
全てお見通し。とても言いたげな顔でニヤニヤとわたしを見下ろしていた。
「好きなんでしょ?」
「は!?」
そんな直球で、そんな恥ずかしいことを!
「好きじゃない!ってば!」
松村くんとはそこそこ席が近いので
小声でそう返す。
「えー?でも、絶対見てたよー」
「……」
見ていたか、見ていなかったか、
で言うと…
「見ては…いたかも……」
正直に白状してしまった。
そこは事実だった。
「ほらー!やっぱりー!」
「あっ、でも!
好きだから、とかではないよ!?」
漫画の中でばかり”キュン”をするわたし。
そんなわたしは今日の朝……。
多分…”漫画の中”ではなく、
”現実”で……
”キュン” をした。
その…”キュン”の相手は松村くん。
でもそれは、きっと、
松村くんの容姿が
茶ノ宮くんに似ているからであって…。
決して、
わたしが松村くんを好き、
っていうわけではない。
だってわたしが好きなのは
茶ノ宮くんだけだ。
根底に、茶ノ宮くんが好き、って
いうのがあるから
松村くんに”キュン”出来た、って話で!
しかも!表情まで似てるからさ!?
仕草とか!ついだよ!?つい!
重ねちゃうだけであって!
別に恋をしているとか、
そういう淡いピンク色のかわいい恋心を
松村くんに向けているわけでは…
ない!ないないないない!
あっ、それにそれに!
ずっと女の子が嫌いなのかと
思ってたから!
そんな松村くんと話して、なんかちょっと新鮮な気持ちになった、ってだけ!
って……
これを全部奈子ちゃんにこと細かく話せればいいんだけど、
松村くんがななめ前にいるため…
今ここでこんなことをペラペラと話したら
聞こえてしまう可能性がある…。
「わたし応援するよー?」
しかしこんな複雑なことを何1つ知らない奈子ちゃん。
「だからっ!違うってばー!」
♡♡♡
「きゃーーーーーっ!!!!!」
家だと遠慮なく叫びまくるわたし。
学校が終わって。お菓子を食べて。
そしてただいま!!
【君キュン】4巻を
読んでいる真っ最中!
ーー俺の事だけ信じろ。
ーーリズムのことは俺が絶対……
ーー守ってやる。
ーーだから安心しろ
「きゃーーーーーっ!!!!!」
やっばぁああああああい!!!!
そうそうそうそう!
やばいの!ここ!
悪者に追い詰められて
茶ノ宮くんとリズムちゃんが
上空100000mから飛び降りるシーン!
絶対にこんな
シチュエーション現実にはないけど、
てか、命綱なしで
上空100000mから飛び降りたら
即死間違いないだろうけど。
けどけど!
それが許されるのが漫画ー!!!
「もう最高…!」
ここの茶ノ宮くんがリズムちゃんのこと
ギューってっ!
もうめっちゃギューってしてるとこ!
ほんと…っ、きゃぁーーーーっ!なの!
「きゃーーーーーっ!!!!!」
あとここ!ここの…
ーーだから安心しろ
の時の茶ノ宮くんの表情!!
優しく!ちょーっ、優しく!
笑ってるのー!
こんな笑い方出来る人!
まじでこの世にいないから!
ぜーーったいにいない!!
((あはははっ……))
((やばいよな、そこ))
「あ…」
なんか……あの時の松村くんに…………
似て…る……?
「あー!もう!」
また考えてる、わたし!
ブンブンと首を振って、
頭を茶ノ宮くんでいっぱいにする。
よしっ!これでおっけい!
もう1度……
ーーだから安心しろ
「……」
((あはははっ……))
((やばいよな、そこ))
重なってるーーっ……!!!!!!!
もう…っ!ぶっちゃけ、これ似すぎでしょ!!
てかさ!?松村くん、
【ハピラブ】読んでるんだよね!?
読んでて、
茶ノ宮くんが自分に似てる、って
気づかないのかな!?
あれだけ似てたらもうすでに誰かに
言われてても全然不思議じゃない。
あ~。もしかしたら自覚してるパターン!?
だって、髪型も茶ノ宮くんも一緒だもんね!
う~ん…。だけど、茶ノ宮くんの髪型は
黒髪マッシュの爽やか系…。
別にそこまで珍しい、って
わけでもないし、
たまたま一緒なのかなぁ、とも思う。
♡♡♡
「はい、今日は
ハンバーグを作ろうと思います」
翌日は朝から調理実習だった。
寝坊してホームルームギリギリに教室ついたから、今日は【ハピラブ】 まだ読めてないー…。
しょぼんとしながら手を洗い、
調理器具を棚から取り出す。
そして、班は…
ほんっとうにたまたまなんだけど。
松村くんと宮坂くんと
わたしと奈子ちゃんの4人班だった。
「同じ班!やったね!」
エプロン姿の奈子ちゃんはそう言って
布巾を取り出した。
「ねっ!」
教室では奈子ちゃんと席が遠いから
同じテーブルで、こうして
一緒に作業出来ることが嬉しかった。
「あいつとも一緒じゃん。よかったね」
そして奈子ちゃんは
わたしにだけ聞こえるように
コソッ、と耳打ちしてきた。
”あいつ”とは…
おそらく松村くんのことだ。
奈子ちゃんはまだわたしが松村くんに好意を寄せていると勘違いしている。
またちゃんと訂正しないとなぁ。
わたしは茶ノ宮くんが好きで。
松村くんは茶ノ宮くんに
似てるだけで、何とも思ってないんだ、って。
「よろしくねっ!奈子っち!乃愛っち!」
そんなふうに奈子ちゃんとコソコソとしていると宮坂くんがひょこっと顔をのぞかせた。
「あっ、うん!よろしくね」
「よろしく」
奈子ちゃんは不機嫌そうに
宮坂くんをチラリと見た。
もぉ~…奈子ちゃんたら。なんて顔!
「ごっ、ごめんね!」
奈子ちゃんの愛想のなさに
わたしが代わりに謝ると
「いいよ、いいよ~」
宮坂くんはそれほど気にしていないのか
ケロッとしていた。
「なーこちゃん!仲良くしようよぉー」
それどころか奈子ちゃんに
付きまといはじめた。
「嫌よ」
「ガーン」
「わたしチャラ男無理」
「ガーン」
「……」
「…ほんとは?」
「無理」
「ガーン」
「ねぇ、ちょっと
2人ともなにやってんの…っ」
横で繰り広げられる2人のやりとりが
おもしろくてつい、笑ってしまった。
「片瀬さん…」
そこで2人の宮坂くん達のやりとりを
呆れたように見ていた松村くんが
わたしの名前を呼んだ。
「うん?」
チラつく昨日の朝の出来事にフタをして
首をかしげる。
「ガーン」
「ねぇ、しつこい!」
「ガーン」
「早くそれ出しなさいよ」…
隣ではまだ奈子ちゃん達が言い合いをしている。
「あの…さ、」
松村くんは少し身をかがめて、
小さな声で言った。
「今週末、【ハピラブ】展やるんだって。
よかったら、一緒に行かない…かな?」
「【ハピラブ】展…?え!?
そんなのやるの、?」
「うん、らしいよ」
「え!行くっ!行きたいっ!」
そんなイベントあったなんて!
知らなかった!!
つい、テンションが上がって、
大きな声で返事をしてしまった。すると…
「あれ?片瀬さん、松村くんと喋ってる」
「えー、松村くん女の子苦手なんじゃないの!?」
周りからそんな声がぁ~…。
痛い。視線がチクチク…痛い。
けれど松村くんはそんな声
気にする様子はなく…
「やった、じゃあ決まりね」
腕まくりしながらニコッと
優しい笑みを浮かべた。
腕…まくり……。
次の瞬間。わたしの視線は一瞬で
松村くんの腕に吸いこまれた。
うわぁ…。
かっこいい……!!
そう。わたしは昔っから男の人の
腕を見ると、テンションが上がってしまう。
なぜかというと、ここ!
この……!血管!
「うわぁ!腕!見せてっ!」
手洗い場に向かうところの松村くんを
引き止めてわたしは駆け寄った。
「えっ?」
立ち止まった松村くんの腕を見つめるわたし。
「片瀬…さん?」
なんで腕まくりした男の人って
なんでこんなにかっこいいんだろう。
血管の見え方がちょーいい!!!
何これ!
今までわたしが目にしてきた
血管の中で…!1番……っ、
「こらー。乃愛、落ち着きなさいー」
はしゃぐわたしの肩を奈子ちゃんが
つかんだことで我に返ったわたし。
「ごめんねー、乃愛、
男の人の腕の血管フェチなの」
「えっ!そうなの!?
じゃあ俺のも見るー!?」
そう言って横から腕を見せてくる宮坂くん。
「……」
でもなんか……あんまり。
「こっちの方がすき!」
わたしは松村くんの
腕の血管をぷにぷにした。
「ガーン」
「乃愛、落ち着いて?」
再び、奈子ちゃんに肩をつかまれ、
わたしは我に返った。
「……っ!?」
えっ!?ちょっとちょっと、なにこれ!
なんでわたし……っ、
松村くんの腕、ぷにぷにしてんの!?
慌てて手を引っ込める。
「うわぁ!ごっ、ごめん!」
「あっ、いや……っ」
わわわ、、わたしってば!
なにしてんの……っ!
松村くん気まずそうにそっぽ向いちゃったし、うわぁ!!!
絶対引かれたぁぁぁぁぁぁー……!!!!
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