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幻想世界ネオスティア

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幻想世界ネオスティア


〈ネオスティア〉。
古き神話の時代に、最高神ネオが創造したとされる世界。
 六つの大陸で構成されるこの世界では、幻獣、魔獣の類が闊歩し、人種や亜人種の営みがある。
〈ネオスティア〉において人々の生活の基盤となり、時には戦闘に用いられる技術が魔術だ。
 魔術とは、基本的に火、水、風、土、雷、光、闇の七属性から成るもので、一説の詠唱で発動出来る。
 例えば、僕がよく使用する《グローアップ》は、植物の細胞を活性化させ、急速成長を促す光属性系統の魔術だ。基礎魔術の中でも、最も初歩的なもので、子供でも練習すれば簡単に出来てしまう代物である。
まあ、そんな術でも術者のポテンシャル、センスによっては全く異質なものになるんだけどね。
 僕の場合は、常に数種類の種子を携帯し必要に応じて種子を発芽させることによって、戦闘の補助や、攻撃手段として活用している。
 魔術の初歩とだけあって、消費する魔力も他の魔術より圧倒的に少ない。僕のような魔力容量が極端に少ない術者にとっては、重宝する魔術の一つだ。

 他にも年齢、性別、種族を問わず万人が使用できる基礎魔術に対して、一部の魔術に高い適性を持つ者のみが扱える高等魔術というものがある。俗に複合魔術と呼ばれ、二つ以上の属性を組み合わせて発動させるというものだ。膨大な魔力必要とし、高度な詠唱、繊細な魔力操作を要求されるが、それに見合った強力な魔術を行使することが出来る。

 また〈ネオスティア〉には、ギルドという組合システムがある。依頼者が依頼したクエストを、請け負う側つまり、〈冒険者〉に斡旋する組織だ。
〈冒険者〉と一口で言っても、専門に請け負うクエストによって呼称が若干違ったりする。民に害を成す魔獣や、存在が天災を招きかねない危険指定魔獣の討伐を請け負う〈討伐者〉。主に回復薬の材料になる薬草や花、食材等の採取を行う〈採取者〉。積荷の運搬を生業とする〈運搬者〉など、エトセトラである。
 ギルドに所属している冒険者の多くは、仕事の効率を考え二人以上のパーティーを組んで行動している。同じ専門の冒険者同士でパーティーを組む者もいれば、仕事の幅のを広げるために違う専門の冒険者とパーティーを組む者もいる。

 話が長くなってしまったね、余談はここまでにしておくとしよう。
 これから語るのは僕ことデュノ=ラーグと周囲の人々の物語。一人の学者と少女の冒険の記録。
 
ーーーーーーーーーーーー

〈ネオスティア〉に存在する六大大陸の一つである、メリルド大陸の南部。年中温暖な気候が続くこの土地に城を構えるのが、レンテイ皇国だ。
 国土の半分を森林が占めるこの国には、大陸でも最大級の国家承認ギルド〈オルタナ〉をはじめとして、ありとあらゆる都市機能が充実している。

 大陸でも、指折りの冒険者が集う〈オルタナ〉だが、その中でも特に異彩を放つ二人組の冒険者パーティがいた。
 魔術と剣術を駆使し、15歳の若さで一流の冒険者の一人に数えられる銀髪の少女、〈討伐者〉シェルティ=グラージュ。
 薬草学者を自称する眼鏡を掛けた青年、〈採取者〉デュノ=ラーグ。自前の研究室から滅多に出ることは無く。稀に外に出たかと思えば、クエストも受けずにふらっと薬草採取に出掛けてしまう自由人。
挙句の果てに、行く先々でトラブルを起こしギルドに多大な迷惑をかける彼に、ついた二つ名が『トラブルメーカー』である。
 そんな彼らが、今から1ヶ月前に起こした事件が二人の黒歴史の一端『禁域大消失』。

 この事件が彼らの苦悩の始まりとなる。
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