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理不尽な要求.14
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そしてついに3週間が経ち、久しぶりに雅史が夏希の店を訪れた。
「やあ、久しぶり。どうお店の方は順調かい?」
3週間ぶりだというのに、いつもと変わらない様子で雅史は夏希に微笑む。
そんな雅史とは裏腹に、夏希は何故だか変にドキドキしている自分に気づく。
「あ、はい…。秋物も順調に出ています。先月より数字も良くなってきてます。」
「そう、それはよかった。じゃあ、頑張って。」
雅史は上機嫌で店を後にした。
そんな雅史の後ろ姿を見つめながら、夏希は複雑な思いを抱いていた。
(私ったら、何を期待してるんだろう。3週間会えなかったから寂しかったなんて言う訳ないし、もし仮に思っていたとしても皆のいるところで言う訳ないんだし…。ああ、もう、私のバカ!)
夏希は心の中で自分の頭をポカポカ殴る。
そして、例のとおり昼で上がることをスタッフに伝え彼のもとへ向かった。
いつもの様にチャイムを鳴らして到着を伝えた。
3週間ぶりに高柳君の部屋に入った時、夏希の中で何かが変わったように感じられた。
彼が出張に出る前には感じたことの無かった苦しさ。
彼を欲する気持ちが前にも増してに強くなっているのを自覚する。
しかし、それを言葉にすることは出来ない。
なぜなら、自分には彼の言いつけに従うことしか許されていないのだから。
「久しぶりだね。」
「はい。」
「元気だった?」
「え?」
雅史の何気ない言葉に、夏希はつい驚いた表情で答えてしまった。
彼の中では自分の存在なんて、今だけのものなのに、優しい言葉をもらっただけで心が揺れる。
「3週間は長かったな。」
「…。」
それはどういう意味なのか、夏希はなんと答えていいか分からない。
「どうした、具合でも悪いのか。だったら今日はやめておこうか?」
「いえ、大丈夫です。」
夏希は動揺を悟られないように努めて平静を装った。
もう、言われるまでもなく服を脱ぎ始めると、雅史がそれを止めた。
「今日は自分で脱がなくていい。寝室に行ってくれるか?」
「は、はい…。」
夏希は、声が震えそうになるのを必死にこらえた。
一度も入ったことの無い寝室に入っていくと、後ろから雅史がついてきた。
「ベッドに横になって。」
「は…い…。」
夏希は胸の鼓動が雅史に聞こえてしまうのではないかと思うほどドキドキしていた。
ベッドに横になると雅史の手が伸びてきて、夏希の着ているものを脱がし始めた。
「あっ…。」
夏希は思わず漏れてしまった声に、慌てて口に手をあてた。
「手はどけてもらおうか。」
雅史は少し強張った表情で命じた。
「は、はい…。」
夏希は動揺する姿を見られたくなくて、ギュッと目を閉じた。
すると、今度は「目も開けたままで。」と言われてしまう。
そして、下着をつけない約束になっているせいで、ベストとブラウスのボタンが外されると、すぐに胸が露わになる。
その瞬間、夏希はブラウスをつかんで胸を隠そうとしていた。
いつもは自分で脱いでいたのに、それが雅史の手によって脱がされるだけで、こんなにも恥ずかしくなるとは想像していなかった。
「隠さないで。」
雅史に言われて夏希はハッと我に返る。
「ご、ごめんなさい。」
「謝らなくていいよ。」
雅史は優しく夏希の手を掴むと、もう一度ブラウスをはだけ、今度は上半身から完全に脱がしていった。
そしてスカートのファスナーを下ろすとあっという間に下半身も露わにされた。
夏希は裸でただベッドの上に寝っころがっている状態だ。
そんな夏希を、雅史は立ったまましばらく黙って眺めていた。
しかし、彼女の体に触れることはない。
そんな辱めを受けているというのに、夏希の体は反応を始めてしまう。
いつもと違うシチュエーションにいやらしい妄想が膨らんでいく。
(何か言って。じゃないと恥ずかしくて死にそう。)
夏希は心の中で祈った。
「君は…。君は、平気か?」
「…?」
雅史はまた、意味の分からない事を言った。
夏希はついに結ばれるのかと思っていた自分が、欲求不満の塊みたいで恥ずかしくてしょうがなかった。
そんな夏希の妄想とは裏腹に、雅史は今脱がせたばかりの服を今度は着せ始めたのだ。
ブラウスの袖に腕を通し、ボタンを留めていく。
彼の体が近づき、その息遣いが聞こえてくる。
それだけで、夏希の体は更に反応してしまう。
胸の先端が堅くなっているのは、ブラウスを着た状態だと余計にハッキリと分かってしまう。
それでも、雅史は何も言わない。
言われない方がむしろ恥ずかしい…。
自分だけが淫乱みたいで…。
スカートをはかせてもらうときは、脱がすときとは違って彼がスカートを持っているところに片足ずつ入れることになる。
ブラウスの裾をスカートの中に入れる時、彼の手が一瞬だけ彼女の薄い茂みに触れた。
「ひっ…。」
夏希はまたしても変な声が出てしまう。
しかし、それ以上何かが起こることはなく、夏希は来た時と同じ格好に戻っていた。
「今日はこれで。」
この部屋に来るようになって最短の滞在時間だ。
雅史は部屋を出て行ってしまった。
一人残された夏希は呆然とそこに立ち尽くしていた。
(普通、ベッドに裸になって横たわったら、そういう流れになるよね?それに加えて、私の役目は愛人だよね。)
夏希は自分の理解の範囲を超える雅史の趣味?にはとてもついていけそうにない。
それでも、愛人として彼の趣味には付き合わなければならない。
それとは別に、夏希は自分の気持ちの変化にも戸惑っていた。
会えなかった時間が夏希の彼に対する気持ちを自覚させることになってしまった。
まだ、恋とは呼べないような小さな変化だけれど、彼女の心も体も確かに彼を求めている。
(好きになったって、どうにもならない相手なのに…、馬鹿だな。)
その上、義務としての愛人は続けなければならないなんて…。
素直に気持ちを伝えることも出来ない、仮に伝えたとしても実ることのない恋、そして二人の関係は期限付きの愛人とそのご主人様だ。
(好きになんてならなければよかった。そしたらこんなに苦しまなくても済んだのに…。)
夏希の目からは知らないうちに涙がこぼれていた。誰にも言えない…。
つらくて悲しい涙だった。
「やあ、久しぶり。どうお店の方は順調かい?」
3週間ぶりだというのに、いつもと変わらない様子で雅史は夏希に微笑む。
そんな雅史とは裏腹に、夏希は何故だか変にドキドキしている自分に気づく。
「あ、はい…。秋物も順調に出ています。先月より数字も良くなってきてます。」
「そう、それはよかった。じゃあ、頑張って。」
雅史は上機嫌で店を後にした。
そんな雅史の後ろ姿を見つめながら、夏希は複雑な思いを抱いていた。
(私ったら、何を期待してるんだろう。3週間会えなかったから寂しかったなんて言う訳ないし、もし仮に思っていたとしても皆のいるところで言う訳ないんだし…。ああ、もう、私のバカ!)
夏希は心の中で自分の頭をポカポカ殴る。
そして、例のとおり昼で上がることをスタッフに伝え彼のもとへ向かった。
いつもの様にチャイムを鳴らして到着を伝えた。
3週間ぶりに高柳君の部屋に入った時、夏希の中で何かが変わったように感じられた。
彼が出張に出る前には感じたことの無かった苦しさ。
彼を欲する気持ちが前にも増してに強くなっているのを自覚する。
しかし、それを言葉にすることは出来ない。
なぜなら、自分には彼の言いつけに従うことしか許されていないのだから。
「久しぶりだね。」
「はい。」
「元気だった?」
「え?」
雅史の何気ない言葉に、夏希はつい驚いた表情で答えてしまった。
彼の中では自分の存在なんて、今だけのものなのに、優しい言葉をもらっただけで心が揺れる。
「3週間は長かったな。」
「…。」
それはどういう意味なのか、夏希はなんと答えていいか分からない。
「どうした、具合でも悪いのか。だったら今日はやめておこうか?」
「いえ、大丈夫です。」
夏希は動揺を悟られないように努めて平静を装った。
もう、言われるまでもなく服を脱ぎ始めると、雅史がそれを止めた。
「今日は自分で脱がなくていい。寝室に行ってくれるか?」
「は、はい…。」
夏希は、声が震えそうになるのを必死にこらえた。
一度も入ったことの無い寝室に入っていくと、後ろから雅史がついてきた。
「ベッドに横になって。」
「は…い…。」
夏希は胸の鼓動が雅史に聞こえてしまうのではないかと思うほどドキドキしていた。
ベッドに横になると雅史の手が伸びてきて、夏希の着ているものを脱がし始めた。
「あっ…。」
夏希は思わず漏れてしまった声に、慌てて口に手をあてた。
「手はどけてもらおうか。」
雅史は少し強張った表情で命じた。
「は、はい…。」
夏希は動揺する姿を見られたくなくて、ギュッと目を閉じた。
すると、今度は「目も開けたままで。」と言われてしまう。
そして、下着をつけない約束になっているせいで、ベストとブラウスのボタンが外されると、すぐに胸が露わになる。
その瞬間、夏希はブラウスをつかんで胸を隠そうとしていた。
いつもは自分で脱いでいたのに、それが雅史の手によって脱がされるだけで、こんなにも恥ずかしくなるとは想像していなかった。
「隠さないで。」
雅史に言われて夏希はハッと我に返る。
「ご、ごめんなさい。」
「謝らなくていいよ。」
雅史は優しく夏希の手を掴むと、もう一度ブラウスをはだけ、今度は上半身から完全に脱がしていった。
そしてスカートのファスナーを下ろすとあっという間に下半身も露わにされた。
夏希は裸でただベッドの上に寝っころがっている状態だ。
そんな夏希を、雅史は立ったまましばらく黙って眺めていた。
しかし、彼女の体に触れることはない。
そんな辱めを受けているというのに、夏希の体は反応を始めてしまう。
いつもと違うシチュエーションにいやらしい妄想が膨らんでいく。
(何か言って。じゃないと恥ずかしくて死にそう。)
夏希は心の中で祈った。
「君は…。君は、平気か?」
「…?」
雅史はまた、意味の分からない事を言った。
夏希はついに結ばれるのかと思っていた自分が、欲求不満の塊みたいで恥ずかしくてしょうがなかった。
そんな夏希の妄想とは裏腹に、雅史は今脱がせたばかりの服を今度は着せ始めたのだ。
ブラウスの袖に腕を通し、ボタンを留めていく。
彼の体が近づき、その息遣いが聞こえてくる。
それだけで、夏希の体は更に反応してしまう。
胸の先端が堅くなっているのは、ブラウスを着た状態だと余計にハッキリと分かってしまう。
それでも、雅史は何も言わない。
言われない方がむしろ恥ずかしい…。
自分だけが淫乱みたいで…。
スカートをはかせてもらうときは、脱がすときとは違って彼がスカートを持っているところに片足ずつ入れることになる。
ブラウスの裾をスカートの中に入れる時、彼の手が一瞬だけ彼女の薄い茂みに触れた。
「ひっ…。」
夏希はまたしても変な声が出てしまう。
しかし、それ以上何かが起こることはなく、夏希は来た時と同じ格好に戻っていた。
「今日はこれで。」
この部屋に来るようになって最短の滞在時間だ。
雅史は部屋を出て行ってしまった。
一人残された夏希は呆然とそこに立ち尽くしていた。
(普通、ベッドに裸になって横たわったら、そういう流れになるよね?それに加えて、私の役目は愛人だよね。)
夏希は自分の理解の範囲を超える雅史の趣味?にはとてもついていけそうにない。
それでも、愛人として彼の趣味には付き合わなければならない。
それとは別に、夏希は自分の気持ちの変化にも戸惑っていた。
会えなかった時間が夏希の彼に対する気持ちを自覚させることになってしまった。
まだ、恋とは呼べないような小さな変化だけれど、彼女の心も体も確かに彼を求めている。
(好きになったって、どうにもならない相手なのに…、馬鹿だな。)
その上、義務としての愛人は続けなければならないなんて…。
素直に気持ちを伝えることも出来ない、仮に伝えたとしても実ることのない恋、そして二人の関係は期限付きの愛人とそのご主人様だ。
(好きになんてならなければよかった。そしたらこんなに苦しまなくても済んだのに…。)
夏希の目からは知らないうちに涙がこぼれていた。誰にも言えない…。
つらくて悲しい涙だった。
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