34 / 39
兄と妹のイケナイ関係.34
しおりを挟む
「今日の事、将貴には内緒ね。あんなことしたの知ったら、シスコンのあいつのことだから、俺、殺されちゃうかもしれないからさ。」
「あんなことってどんなことだ。」
背後から、ただならぬ気配とともに、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには将貴が立っていた。
「おい、和哉、ちょっとこっちに来てもらおうか。」
呆然と立ち尽くすみのりを置き去りにして、二人はその場から立ち去る。
「みのりはちゃんと塾に行くんだぞ。」
将貴はしっかり釘を刺していく。
取り残されたみのりは、しばらく呆然と立ちつくしていたが、何とか気を取り直して働かない頭のまま塾へと向かった。
「何でお前がここにいるんだよ。」
高梨は不機嫌そうに言う。
「それは、こっちの台詞だよ。お前、みのりに何をした。」
「べっつにー。俺のお気に入りの展望台に連れて行ってあげただけだよ。」
「それで、そこで何をしたんだ。」
「一緒に、景色を眺めただけだよ。」
「嘘をつくんじゃない。」
「なんのことだよ。だいたい、何でお前があんなとこにいるんだよ。」
「お前の取り巻きの女の子達が親切に教えてくれたんだよ。これから、年下の可愛い子とデートだからってカラオケの誘いを断られたってな。」
「くそっ、余計なことを。」
「ということで、お前の計画はバレバレだったから、ここで待ってたって訳。女の子には優しいお前が、みのりを塾に遅刻させる様な事はないと思ったしね。」
「何でもお見通しって訳か。」
「だから、白状してもらおう。まあ、お前が言わないなら、みのりのから聞くことになるけど。あいつを苦しめたくないしなー。」
チクリと痛いところを突いて来る将貴の心理作戦が思考回路の単純な高梨は苦手だった。
高梨は言い訳するのも面倒になって、つい本当の事を口にしてしまう。
「ちょっと、あいさつのキスをしただけだよ。」
「なんだって?」
「だから、軽くキスしただけだよ。」
その瞬間、高梨の右頬を、将貴が思い切り殴りつける。
「軽くってなんだよ。お前、あいつが俺の妹だってわかってるだろう。」
「いってーな。そんなこと分かってるよ。だけど、お前のもんじゃねえじゃん。何で俺殴られなきゃいけない訳?」
高梨にそう言われて、将貴は答えに詰まる。
(みのりと俺は付き合っているけど、他人から見たらただの兄妹だ。兄妹というだけでは不十分だろうか…。)
「俺の大事な妹を、お前みたいな軽い男のおもちゃにされるのを黙って見てる訳ないだろう。」
「何で、おもちゃにするって決めてんの。俺が本気だったらいい訳?」
(それは、それで困るな…。)
将貴は答えに窮する。
「お前が女の子に本気になった事なんて、今まであったのかよ。」
「う~ん、そう言われると…。無いかな。」
「ほら見ろ、そんなやつにみのりを好きに資格はない。だいたい、お前は女の子に不自由なんてしてないだろうが。」
「まあ、そうなんだけど。だからかな、俺に簡単になびくような女の子には飽きちゃたんだよね。みのりちゃんは、俺がいくらアプローチしても全然興味ないって感じで新鮮なんだ。」
「そんな理由でキスとかしてんじゃねーよ。今度手出しやがったら、ぜってー許さねーからな。」
「ふうん。シスコンもここまで来ると病気だな。まあ、お前が何と言おうと、みのりちゃんが俺のこと好きになれば文句ないだろう?ということで、俺はまだあきらめてないから。」
そう言い残すと高梨はバイクにまたがり走り去っていった。
「くそっ、和哉のやつ何考えてんだ。」
将貴は黒木君に続き、次々と現れるライバルに頭を抱えた。
そんな事があったこともあり、将貴はみのりの塾が終わるまで近くのファミレスで時間をつぶしていた。
みのりの塾が終わる時間に合わせてファミレスを出ると、塾のそばでみのりを待っていた。
塾から出てきたみのりは、将貴が立っているのを見て気まずそうにしている。
「みのり、一緒に帰ろう。」
「う、うん。」
そう答えたものの、高梨君とのことをどう言っていいのか、言葉が出てこない。
「話は、高梨から全部きいたよ。」
「えっ。」
「あいつ、隠し事とかできねーから、バッカみたいにあらいざらい話してくれたよ。」
「そ、そうなんだ…。」
みのりは、自分の不注意であんなことになってしまい将貴に怒られる事を覚悟していた。
しかし、将貴はみのりが不注意であることより、高梨の女性に対する自信が気がかりだった。
あれでは、誰が何と言おうと、みのりに対するアプローチをやめる気はないだろう。
(くそっ、俺のみのりに勝手にキスなんかしやがって、今回はあれで済んだけど、次は何をしてくるか分かったもんじゃない。あ~あ、みのり、お前は自分の可愛さをもっと自覚してくれよ。俺もいつもお前に張り付いている訳にもいかないし…。ほんとにどうしたものか…。)
将貴は途方に暮れてしまった。
みのりを余り怯えさせるのも問題だが、自分がいかに魅力的かという事はもう少し自覚してもらいたい。
「あんなことってどんなことだ。」
背後から、ただならぬ気配とともに、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには将貴が立っていた。
「おい、和哉、ちょっとこっちに来てもらおうか。」
呆然と立ち尽くすみのりを置き去りにして、二人はその場から立ち去る。
「みのりはちゃんと塾に行くんだぞ。」
将貴はしっかり釘を刺していく。
取り残されたみのりは、しばらく呆然と立ちつくしていたが、何とか気を取り直して働かない頭のまま塾へと向かった。
「何でお前がここにいるんだよ。」
高梨は不機嫌そうに言う。
「それは、こっちの台詞だよ。お前、みのりに何をした。」
「べっつにー。俺のお気に入りの展望台に連れて行ってあげただけだよ。」
「それで、そこで何をしたんだ。」
「一緒に、景色を眺めただけだよ。」
「嘘をつくんじゃない。」
「なんのことだよ。だいたい、何でお前があんなとこにいるんだよ。」
「お前の取り巻きの女の子達が親切に教えてくれたんだよ。これから、年下の可愛い子とデートだからってカラオケの誘いを断られたってな。」
「くそっ、余計なことを。」
「ということで、お前の計画はバレバレだったから、ここで待ってたって訳。女の子には優しいお前が、みのりを塾に遅刻させる様な事はないと思ったしね。」
「何でもお見通しって訳か。」
「だから、白状してもらおう。まあ、お前が言わないなら、みのりのから聞くことになるけど。あいつを苦しめたくないしなー。」
チクリと痛いところを突いて来る将貴の心理作戦が思考回路の単純な高梨は苦手だった。
高梨は言い訳するのも面倒になって、つい本当の事を口にしてしまう。
「ちょっと、あいさつのキスをしただけだよ。」
「なんだって?」
「だから、軽くキスしただけだよ。」
その瞬間、高梨の右頬を、将貴が思い切り殴りつける。
「軽くってなんだよ。お前、あいつが俺の妹だってわかってるだろう。」
「いってーな。そんなこと分かってるよ。だけど、お前のもんじゃねえじゃん。何で俺殴られなきゃいけない訳?」
高梨にそう言われて、将貴は答えに詰まる。
(みのりと俺は付き合っているけど、他人から見たらただの兄妹だ。兄妹というだけでは不十分だろうか…。)
「俺の大事な妹を、お前みたいな軽い男のおもちゃにされるのを黙って見てる訳ないだろう。」
「何で、おもちゃにするって決めてんの。俺が本気だったらいい訳?」
(それは、それで困るな…。)
将貴は答えに窮する。
「お前が女の子に本気になった事なんて、今まであったのかよ。」
「う~ん、そう言われると…。無いかな。」
「ほら見ろ、そんなやつにみのりを好きに資格はない。だいたい、お前は女の子に不自由なんてしてないだろうが。」
「まあ、そうなんだけど。だからかな、俺に簡単になびくような女の子には飽きちゃたんだよね。みのりちゃんは、俺がいくらアプローチしても全然興味ないって感じで新鮮なんだ。」
「そんな理由でキスとかしてんじゃねーよ。今度手出しやがったら、ぜってー許さねーからな。」
「ふうん。シスコンもここまで来ると病気だな。まあ、お前が何と言おうと、みのりちゃんが俺のこと好きになれば文句ないだろう?ということで、俺はまだあきらめてないから。」
そう言い残すと高梨はバイクにまたがり走り去っていった。
「くそっ、和哉のやつ何考えてんだ。」
将貴は黒木君に続き、次々と現れるライバルに頭を抱えた。
そんな事があったこともあり、将貴はみのりの塾が終わるまで近くのファミレスで時間をつぶしていた。
みのりの塾が終わる時間に合わせてファミレスを出ると、塾のそばでみのりを待っていた。
塾から出てきたみのりは、将貴が立っているのを見て気まずそうにしている。
「みのり、一緒に帰ろう。」
「う、うん。」
そう答えたものの、高梨君とのことをどう言っていいのか、言葉が出てこない。
「話は、高梨から全部きいたよ。」
「えっ。」
「あいつ、隠し事とかできねーから、バッカみたいにあらいざらい話してくれたよ。」
「そ、そうなんだ…。」
みのりは、自分の不注意であんなことになってしまい将貴に怒られる事を覚悟していた。
しかし、将貴はみのりが不注意であることより、高梨の女性に対する自信が気がかりだった。
あれでは、誰が何と言おうと、みのりに対するアプローチをやめる気はないだろう。
(くそっ、俺のみのりに勝手にキスなんかしやがって、今回はあれで済んだけど、次は何をしてくるか分かったもんじゃない。あ~あ、みのり、お前は自分の可愛さをもっと自覚してくれよ。俺もいつもお前に張り付いている訳にもいかないし…。ほんとにどうしたものか…。)
将貴は途方に暮れてしまった。
みのりを余り怯えさせるのも問題だが、自分がいかに魅力的かという事はもう少し自覚してもらいたい。
0
お気に入りに追加
385
あなたにおすすめの小説


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。


【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。


私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる