兄と妹のイケナイ関係

星野しずく

文字の大きさ
上 下
18 / 39

兄と妹のイケナイ関係.18

しおりを挟む
 よく見える場所を探しているうちに、もう花火は始まっていた。

 たくさんの人がひしめく中、二人の距離がぎゅっと縮まる。

(ここでなら、手をつないでも見られないよね。)

 そう思ったみのりは、将兄の手に触れると、その長い指に自分の指を絡ませる。

 将貴は驚いた様子でみのりを見つめるが、握られた手を離すことはなく、より強く握り返された。

「大胆だな。」

「だって、ずっとこうしたかったんだもん。」

 少し間をあけて将貴が耳もとでささやく。

「俺も、ずっとこうしたかった。」

 そんな将貴の告白を聞いてしまうと、言いだしっぺのみのり方が真っ赤になってしまうのだった。

「は、花火きれいだね。」

 口ではそう言っているみのりだったが、本音はというと、つながれたその手から伝わる彼の熱に神経が集中してしまっていて、花火どころではなかったのだけれど…。

 華やかなスターマインで終わりを告げた夏祭りの帰り道、二人はさっきまでつないでいた手は離して歩いていた。

 やはり、誰かに会ったとき今はまだ兄と妹という関係である自分達が手をつないでいる訳にはいかなかったから。

 そんな関係から早く脱したいという、欲張りな気持ちがムクムクと膨れあがってきている。

 そんなことをぼんやりと考えながら歩いていると、将貴が家とは違う方向に歩き始めた。

「ちょっと、将兄。家そっちじゃないよ。」

 そう言うみのりを無視して将貴はどんどん歩いていってしまう。

「え~、待ってよ~。」

 走って追いかけ、やっと追いついたみのりに、

「お前があんなことをするから悪い。」

 とだけ言うと、また歩きはじめる。

 なんのことだろうと思いながらも、仕方なく後をついていくと、その先に見えてきたのは、なんとラブホテル街だった。

(えっ、うそっ、やだっ、待って、どうして?)

 みのりは将貴の服をつかんで引き止める。

「あんなことって、なによ。」

「手を握って、俺を誘惑した。」

「はぁ?手を握ったのは確かに私だけど、それが何でこうなるの?」

 みのりはすっかり困惑してしまう。

「俺はお前をいつでも抱きたいんだ。それを忘れるな。だから、そのスイッチを入れたお前は、その責任をとってくれ。」

 そう言うと、みのりの手を取りずんずんラブホテルに入って行ってしまう。

(やだ~って言いながら、ほんとは、ラブホってどうなってるのか興味が無い訳じゃないんだよね。)

「よし、この部屋にしよう。」

 そう言うと、さっさと部屋を決めた将貴はみのりの手を引き、エレベーターのボタンを押した。

「将兄、私、心の準備が…。」

「大丈夫、いつもどおりで。俺に任せとけって。」

 そう言われて、みのりの頭にふっとある疑惑がよぎる。

 将兄はこういうところに何度か来たことがあるってこと?それって、誰と?これは聞かずにいられない。

「ねえ、将兄、任せとけってことは、こういうとこ来た事あるってこと?」

 みのりにそう言われた将貴は、一瞬ギクッとした表情になる。

「いっ、いやあ、友達にいろいろと聞いたりして知ってるだけだよ。みのりは俺を疑うのか?」

 そう言われると、それ以上追求できない。

「そんな、つまんないこと言ってないで、さあ、おいで。」

 そう言うと、選んだ部屋へと、何の迷いも無くみのりを連れて入っていく。

 部屋に入ってドアを閉めるなり、将貴はみのりに口づける。

「んんっ、将兄っ、まっ、待って。」

「だめだっ、待てない。」

 そう言うと、更に濃厚に口づけてくる。

 大きな手でみのりの後頭部を支えると、口づけは更に強く激しさを増す。

「家を出たときから、ずっと我慢してた。もう、我慢の限界だ。」

 そう言ってキスをしたまま、みのりを抱き上げ、ベッドになだれ込む。

 すっかり頭に血が上った将貴は、いつもよりも性急にみのりの身体を求める。

 あっという間に着ていたものは脱がされ、将貴自身もすでに何も身に付けていない。

 そして、彼の男性自身はもうはち切れんばかりに膨れ上がり、そリ返っている。

 将貴の瞳はいつもの艶かしさに、獲物を狙う様な鋭さが加わっている。

 みのりはそんな視線で見つめられているだけで、体の奥が火照ってくるのが分る。

「きれいだよ。みのり。勝手にこんなとこに連れてきちゃってごめん。だけど、どうしてもお前の肌に触れたくなった。家だと、声も我慢しなくちゃならないし…。今日は思いっきりお前を抱きたいんだ。」

(そんなこと、はっきりと言われるのは、うれしいけれど、やっぱりはずかしい…。声を我慢しなくていいって言われると、余計に気になっちゃう…。)

 そう思いながらも、そんなにも自分を求めてくれる将兄の気持ちが嬉しい。

「いいよ、将兄。ちょっとびっくりしちゃたけど…。私も、将兄に触れたかったから…。」

 みのりはずかしそうに打ち明ける。

「こら、どんだけ俺を煽ったら気が済むんだよ!もう容赦しない。」

 そう言うと、熱い身体がみのりに重なる。くちづけけられると、みのりはすぐにトロトロにとろけてしまう。

 将兄のいつもと違う興奮が伝わってきて、すぐに息が荒くなる。

(こんな風に、何も気にしないで愛し合えるなんて思ってもみなかった。やっぱり家だと、どこかしら後ろめたさがあるんだな…。今日は、将兄とめちゃくちゃになりたい。)

 そんなみのりの気持ちが伝わったのか、将貴の吐息はいつもより激しく、それがまたみのりをゾクゾクさせる。

(将兄も、家だといろいろと我慢してたのかも。)

 そう思うと、今日は本当の将兄の姿が見られる様な気がして、イケナイ期待がより興奮を高める。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...