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兄と妹のイケナイ関係.17
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将兄と並んで外を歩くなんて、しかも二人きりでなんて、いったいどれくらいぶりだろう。
だいたい小さい頃は親がいつも一緒だったし、兄弟二人で出かける用事もなかったから、よく考えたら家に二人でいることはあっても、出かけたことはなかったかもしれない。
そう考えたら、今日のお出かけがますます貴重に感じられて、みのりはその喜びを噛みしめる。
(ず~っと好きだった将兄が…、他の人にはわかるはずもないけど、彼氏として横にいて…、幸せすぎる~!!)
みのりは、歩きながらすっかり妄想に耽っていた。
そうこうしているうちに夏祭りが行われている神社に到着する。
「わ~、すご~い。お店がいっぱ~い。」
みのりはうれしそうに、目を輝かせる。
「何が食べたい?それとも、金魚すくいでもするか?」
将兄に聞かれて、
「う~ん、やっぱ最初はかき氷が食べた~い。」
そう答えるみのりに、
「そうか、じゃ、そうしよう。」
将貴はみのりがかわいくて仕方が無いといった表情で答える。
(いや~、もう、完全にデートじゃん。うれしすぎ~。)
みのりはしあわせな気分でかき氷を口に運んだ。
そんなみのりの表情を将貴は満足そうに見つめていた。
将貴も見かけはクールにしているが、みのりが喜びをかみしめているのと同じ位、いやそれ以上にこんな風にみのりとの関係を進展させられたことを幸せに感じていた。時々、これは夢じゃないのかと思ってしまうくらいに。
その後みのりは、たこ焼き、大判焼き、焼きそばと、浮かれ気分で食べ続けた。
このあたりは、やはり兄と妹という飾らない部分が出てしまう。
「おい、ちょっと食べすぎ。腹痛くなっても知らないそ。」
そんな将貴の忠告が効いてきたのは意外にすぐのことだった。
みのりは胃に違和感を感じ始めたものの、すぐに将貴に言う気にはなれなかった。
そんなことを言えばすくに帰ろうと言われるに決まっているからだ。
まだ、来たばかりなのに…。
初めての夏祭りなのに…。
そんなの悲しすぎる。
しかし、胃の痛みが、下腹部の痛みにまで広がってきたときには、みのりの額にはすでにあぶら汗が出てきていた。
「おい、みのり、顔色が悪いぞ。大丈夫か?」
「しょっ、しょうにい…。おっ、お腹が、痛いっ。」
みのりは苦しそうに訴える。
「ほら、言ったこっちゃない。トイレまでおぶってやろうか?」
「いっ、いいよっ、だいじょうぶ。だけど、ちょっと、トイレには行ってくる。だから、待ってて。」
そう言うと、みのりはお腹を押さえながらトイレに向かった。
将貴は、はしゃぎ過ぎてつい食べ過ぎたおバカな妹を思って、つい吹き出してしまった。
そして、ますますかわいいと思ってしまうあたり、親バカならぬ、兄バカだな~とつくづく実感するのだった。
トイレを済まし、お腹の痛みも治まったみのりが将貴のもとへ戻ろうとしたところへ、後ろから声がかかる。
振り返るとそれは同じクラスで、ちょっと問題児と言われている篠崎君と、橘君だった。
「よお!柿沼も来てたんだ。一人?な訳はないと思うけど…、俺達と一緒に来ない?」
(ゲッ、まずいのに見つかっちゃったよ。どうしよ~。)
「あ~っ、友達と来てるんだ。あっちで待ってるから、ごめん。またね。」
みのりはその場を立ち去ろうとするが、彼らもそう簡単に引き下がってはくれない。
「そんなつれないこと言うなよ。ちょっとぐらい付き合ってくれたっていいじゃん。同じクラスのよしみでさ~。」
(うわ~、どうしよう。苦手だよ~。こういうの。)
「おい、みのり、何してるんだ。探したぞ。」
将兄の声だ。
篠崎君と橘君は急に現れた明らかに年上でガタイのいい男の登場にかなりビビッている様子だ。
「君達は?俺はこいつの保護者なんだけど、みのりとはどういう関係?」
鋭い視線で男達を睨み付けながら将貴は二人を問いただす。
すると、さっきまでずうずうしい態度だった二人は、急に大人しくなり小さな声で答える。
「あっ、あのっ、柿沼さんと同じクラスの者です。」
「ほお、それだけの理由で、みのりと一緒に祭りを楽しめると思っているのか。」
将兄の怒りがビンビン伝わってくる。
「いっ、いえっ、とんでもないです。おじゃましました~。」
そう言うと、二人はすごすごとその場を立ち去った。
将貴はみのりに向き直ると、ポンポンと頭に手を置いて言った。
「大丈夫か。」
「うん。ありがとう。将兄。」
(うわ~、めっちゃかっこいい。もう、これ以上惚れさせてどうすんの~。)
「あんまり俺に心配させんなよ。お前は普通にしててもかわいいんだから。今日はなるべく目立たない格好をさせたのにこの始末だ。全く、油断も隙も無いな、世の中の男どもは。身の程知らずめ。みのりにつりあうのはこの俺だけだ。」
(何だか今すごいことを言っていたような…。)
「それより、お前もう腹はだいじょうぶなのか。」
そうだった。そもそも、調子にのって食べ過ぎた私がいけないのだった。
「うん、もう治った。心配かけてごめんね。」
「よし、そしたら、祭りの続きを楽しもう。この後花火があるらしいから、行ってみようか。」
「わ~い。行く、行く。」
だいたい小さい頃は親がいつも一緒だったし、兄弟二人で出かける用事もなかったから、よく考えたら家に二人でいることはあっても、出かけたことはなかったかもしれない。
そう考えたら、今日のお出かけがますます貴重に感じられて、みのりはその喜びを噛みしめる。
(ず~っと好きだった将兄が…、他の人にはわかるはずもないけど、彼氏として横にいて…、幸せすぎる~!!)
みのりは、歩きながらすっかり妄想に耽っていた。
そうこうしているうちに夏祭りが行われている神社に到着する。
「わ~、すご~い。お店がいっぱ~い。」
みのりはうれしそうに、目を輝かせる。
「何が食べたい?それとも、金魚すくいでもするか?」
将兄に聞かれて、
「う~ん、やっぱ最初はかき氷が食べた~い。」
そう答えるみのりに、
「そうか、じゃ、そうしよう。」
将貴はみのりがかわいくて仕方が無いといった表情で答える。
(いや~、もう、完全にデートじゃん。うれしすぎ~。)
みのりはしあわせな気分でかき氷を口に運んだ。
そんなみのりの表情を将貴は満足そうに見つめていた。
将貴も見かけはクールにしているが、みのりが喜びをかみしめているのと同じ位、いやそれ以上にこんな風にみのりとの関係を進展させられたことを幸せに感じていた。時々、これは夢じゃないのかと思ってしまうくらいに。
その後みのりは、たこ焼き、大判焼き、焼きそばと、浮かれ気分で食べ続けた。
このあたりは、やはり兄と妹という飾らない部分が出てしまう。
「おい、ちょっと食べすぎ。腹痛くなっても知らないそ。」
そんな将貴の忠告が効いてきたのは意外にすぐのことだった。
みのりは胃に違和感を感じ始めたものの、すぐに将貴に言う気にはなれなかった。
そんなことを言えばすくに帰ろうと言われるに決まっているからだ。
まだ、来たばかりなのに…。
初めての夏祭りなのに…。
そんなの悲しすぎる。
しかし、胃の痛みが、下腹部の痛みにまで広がってきたときには、みのりの額にはすでにあぶら汗が出てきていた。
「おい、みのり、顔色が悪いぞ。大丈夫か?」
「しょっ、しょうにい…。おっ、お腹が、痛いっ。」
みのりは苦しそうに訴える。
「ほら、言ったこっちゃない。トイレまでおぶってやろうか?」
「いっ、いいよっ、だいじょうぶ。だけど、ちょっと、トイレには行ってくる。だから、待ってて。」
そう言うと、みのりはお腹を押さえながらトイレに向かった。
将貴は、はしゃぎ過ぎてつい食べ過ぎたおバカな妹を思って、つい吹き出してしまった。
そして、ますますかわいいと思ってしまうあたり、親バカならぬ、兄バカだな~とつくづく実感するのだった。
トイレを済まし、お腹の痛みも治まったみのりが将貴のもとへ戻ろうとしたところへ、後ろから声がかかる。
振り返るとそれは同じクラスで、ちょっと問題児と言われている篠崎君と、橘君だった。
「よお!柿沼も来てたんだ。一人?な訳はないと思うけど…、俺達と一緒に来ない?」
(ゲッ、まずいのに見つかっちゃったよ。どうしよ~。)
「あ~っ、友達と来てるんだ。あっちで待ってるから、ごめん。またね。」
みのりはその場を立ち去ろうとするが、彼らもそう簡単に引き下がってはくれない。
「そんなつれないこと言うなよ。ちょっとぐらい付き合ってくれたっていいじゃん。同じクラスのよしみでさ~。」
(うわ~、どうしよう。苦手だよ~。こういうの。)
「おい、みのり、何してるんだ。探したぞ。」
将兄の声だ。
篠崎君と橘君は急に現れた明らかに年上でガタイのいい男の登場にかなりビビッている様子だ。
「君達は?俺はこいつの保護者なんだけど、みのりとはどういう関係?」
鋭い視線で男達を睨み付けながら将貴は二人を問いただす。
すると、さっきまでずうずうしい態度だった二人は、急に大人しくなり小さな声で答える。
「あっ、あのっ、柿沼さんと同じクラスの者です。」
「ほお、それだけの理由で、みのりと一緒に祭りを楽しめると思っているのか。」
将兄の怒りがビンビン伝わってくる。
「いっ、いえっ、とんでもないです。おじゃましました~。」
そう言うと、二人はすごすごとその場を立ち去った。
将貴はみのりに向き直ると、ポンポンと頭に手を置いて言った。
「大丈夫か。」
「うん。ありがとう。将兄。」
(うわ~、めっちゃかっこいい。もう、これ以上惚れさせてどうすんの~。)
「あんまり俺に心配させんなよ。お前は普通にしててもかわいいんだから。今日はなるべく目立たない格好をさせたのにこの始末だ。全く、油断も隙も無いな、世の中の男どもは。身の程知らずめ。みのりにつりあうのはこの俺だけだ。」
(何だか今すごいことを言っていたような…。)
「それより、お前もう腹はだいじょうぶなのか。」
そうだった。そもそも、調子にのって食べ過ぎた私がいけないのだった。
「うん、もう治った。心配かけてごめんね。」
「よし、そしたら、祭りの続きを楽しもう。この後花火があるらしいから、行ってみようか。」
「わ~い。行く、行く。」
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