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兄と妹のイケナイ関係.02
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中学ではバレー部で3年間汗を流したみのりも、夏休みの地区大会敗退を最後に卒部し、他の部も卒部を機に受験一色に変わる。
夏休みは図書館で勉強する子も多いけれど、みのりは将貴も受験生ということもあって、あわよくば勉強を見てもらえないだろうかという淡い期待を抱いていた。
そして、普段は一緒にいる時間も限られることから、堂々と将貴と一緒にいられる夏休みはありがたすぎる環境だった。
みのりと将貴は朝食を終え二階に上がり、それぞれの部屋でお勉強タイムとなるはずだった。
みのりは、勉強に取り掛かろうとしてはみたものの、すぐそばにいる将貴のことが気になってしょうがない。
こんな調子では勉強は一向にはかどらないことを悟ったみのりは、一か八か将貴に勉強を教えてもらう作戦に討って出ることにした。
「しょうにぃ~、数学分かんないとこあるから教えて~。」
みのりは甘えた口調で将貴の部屋をノックする。
みのりの部屋と将貴の部屋は二階にあり、廊下を挟んで向かい合わせの位置にある。
よくある日本の一戸建ての造りで、主寝室やリビング、キッチンやお風呂は一階だ。
夏休みは学生だけの特権で、父も母も仕事で日中は二人きりだ。
これまでの長い休みは二人とも部活動のため、家にいることはほとんどなかった。
だから、これがはじめての二人だけで迎える夏休みなのだ。
「ねぇってば~。」
と言いながらドアを開けると、将貴はベットでいびきをかいて眠っている。
「なんだ~。また寝てるの~?」
みのりはベッドの端に腰掛ける。
兄妹といえど、お互いの顔をまじまじと見ることはあまり無い。
特にお互い思春期を迎えてからはそうだった。
久しぶりに間近で見る将貴の顔。
当然のことながら兄妹といえど似ている訳はなく、くりっとした黒目、腰まで伸びた髪も黒く、典型的な日本人といった容姿のみのりに比べ、将貴は色素が薄いのか目の色は薄茶で髪も染めていないのに薄い茶色で細く柔らかい。
どこかで外国の血が入ったのかと思う程で時々ハーフと間違えられるらしい。
陸上部だった彼は、程よく日焼けした身体に均等にしなやかな筋肉が付いている。
そんな兄の体をこの時とばかり舐めるように見つめる。
「きれい…。」
思わずそんな言葉が漏れてしまった。
そして、みのりの頭の中によからぬ考えが浮かぶ。
(どう見ても将兄はぐっすり眠っている。今ならキスできる!)
将貴が目を覚ましたら大変な事になるその行為を、みのりは、あまり深く考えることも無く行動に移してしまった。
「んんっ…。」
その直後、将貴が目を覚ます。
「あれっ、みのり?こんなとこでなにしてんの?」
「数学教えてって言っても返事が無いから、部屋に入ってみたら、いびきをかいて寝てるんだもん。ちゃんと勉強しなきゃだめでしょ。」
そう言われ、将貴はだるそうに起き上がる。
「あぁ~っ、家ってのはどうしても気がゆるんでだめだな~。ファミレスでも行くかな。」
「えっ、だっ、だめだよ。私、教えてもらいたいところあるし、一緒に勉強したらだらけないし。だから、お願い!」
必死に頼む妹に将貴は条件を出した。
「そうだな~。俺の言うことちゃんと聞くなら、一緒に勉強してやってもいいよ。」
「うん。わかった。ちゃんと言うこときくから。」
暢気に答えるみのりに、不敵な笑みを浮かべながら将貴は言った。
「よし、じゃあ、さっそく始めよう。」
将貴はベッドから立ち上がると窓側にあるローテーブルに移動する。
「数学の問題が分からないんだっけ。持って来いよ。」
「うっ、うん。持ってくる。」
みのりはウキウキする気持ちを悟られないよう緩んだ口元を必死にかくしながら、部屋に戻って問題集とペンケースを持ってくる。
「どれ、どこだ。」
将貴が顔を近づけてくる。
男臭い香りと(と言っても決していやな匂いじゃなくて、みのりにとっては何とも言えない色気のある香りだ)、高校生になってから付け始めた柑橘系のコロンがふわっとみのりの鼻をくすぐる。
それだけで、免疫の少ないみのりはドキドキしてしまう。
将貴は問題を近くで見ようと、みのりの横にどっかと座り直す。
(えぇー。ちっ、近い。)
みのりは説明を始める将兄の声なんか全く耳に入らなくなっていることを悟られないよう必死だった。
(これじゃあ何のために教えてもらってるのか分からないよー。)
そんな嘆きは自分勝手なもので、将兄がそばにいるだけで、普通じゃいられなくなるのは自分が一番分かっていたはずなのに…。
そんな事を考えていると、何か温かいものが唇に触れた気がした。
ハッと我に返ると、将兄の顔がすぐそばにある。
「えっ、いっ、今、何したっ?」
「んっ?キスだけど。」
耳を疑うような言葉が将兄の口から飛び出した。
「な、何してんのーっ!!」
みのりは真っ赤になって口を押さえる。
「だって、さっき、みのり俺にキスしたでしょ。だから、そういうことも教えて欲しいのかな~と思って。」
いつもの意地悪なんだと思い、赤くなった自分が余計に恥ずかしくなる。
でも、胸は異常な程に高鳴って、普通に振舞うのが難しくなる。
「そっ、そんな勉強は、将兄から教えてもらわなくても結構です。」
みのりは、うれしさに顔がゆるみそうなのをこらえ、わざと怒ったふりをする。
「へぇ~、そういうこと教えてくれる相手いるんだ。」
馬鹿にしたように将兄は言う。
「ばっ、ばかにしないでよっ!そんな相手くらいちゃんといるんだから。」
「ふ~ん。知らなかったな。みのりもそんな年頃になったか。」
えらそうに言う将兄に、ムカつきながらもこれ以上話すと墓穴を掘りそうなので、そこは黙ってスルーした。
夏休みは図書館で勉強する子も多いけれど、みのりは将貴も受験生ということもあって、あわよくば勉強を見てもらえないだろうかという淡い期待を抱いていた。
そして、普段は一緒にいる時間も限られることから、堂々と将貴と一緒にいられる夏休みはありがたすぎる環境だった。
みのりと将貴は朝食を終え二階に上がり、それぞれの部屋でお勉強タイムとなるはずだった。
みのりは、勉強に取り掛かろうとしてはみたものの、すぐそばにいる将貴のことが気になってしょうがない。
こんな調子では勉強は一向にはかどらないことを悟ったみのりは、一か八か将貴に勉強を教えてもらう作戦に討って出ることにした。
「しょうにぃ~、数学分かんないとこあるから教えて~。」
みのりは甘えた口調で将貴の部屋をノックする。
みのりの部屋と将貴の部屋は二階にあり、廊下を挟んで向かい合わせの位置にある。
よくある日本の一戸建ての造りで、主寝室やリビング、キッチンやお風呂は一階だ。
夏休みは学生だけの特権で、父も母も仕事で日中は二人きりだ。
これまでの長い休みは二人とも部活動のため、家にいることはほとんどなかった。
だから、これがはじめての二人だけで迎える夏休みなのだ。
「ねぇってば~。」
と言いながらドアを開けると、将貴はベットでいびきをかいて眠っている。
「なんだ~。また寝てるの~?」
みのりはベッドの端に腰掛ける。
兄妹といえど、お互いの顔をまじまじと見ることはあまり無い。
特にお互い思春期を迎えてからはそうだった。
久しぶりに間近で見る将貴の顔。
当然のことながら兄妹といえど似ている訳はなく、くりっとした黒目、腰まで伸びた髪も黒く、典型的な日本人といった容姿のみのりに比べ、将貴は色素が薄いのか目の色は薄茶で髪も染めていないのに薄い茶色で細く柔らかい。
どこかで外国の血が入ったのかと思う程で時々ハーフと間違えられるらしい。
陸上部だった彼は、程よく日焼けした身体に均等にしなやかな筋肉が付いている。
そんな兄の体をこの時とばかり舐めるように見つめる。
「きれい…。」
思わずそんな言葉が漏れてしまった。
そして、みのりの頭の中によからぬ考えが浮かぶ。
(どう見ても将兄はぐっすり眠っている。今ならキスできる!)
将貴が目を覚ましたら大変な事になるその行為を、みのりは、あまり深く考えることも無く行動に移してしまった。
「んんっ…。」
その直後、将貴が目を覚ます。
「あれっ、みのり?こんなとこでなにしてんの?」
「数学教えてって言っても返事が無いから、部屋に入ってみたら、いびきをかいて寝てるんだもん。ちゃんと勉強しなきゃだめでしょ。」
そう言われ、将貴はだるそうに起き上がる。
「あぁ~っ、家ってのはどうしても気がゆるんでだめだな~。ファミレスでも行くかな。」
「えっ、だっ、だめだよ。私、教えてもらいたいところあるし、一緒に勉強したらだらけないし。だから、お願い!」
必死に頼む妹に将貴は条件を出した。
「そうだな~。俺の言うことちゃんと聞くなら、一緒に勉強してやってもいいよ。」
「うん。わかった。ちゃんと言うこときくから。」
暢気に答えるみのりに、不敵な笑みを浮かべながら将貴は言った。
「よし、じゃあ、さっそく始めよう。」
将貴はベッドから立ち上がると窓側にあるローテーブルに移動する。
「数学の問題が分からないんだっけ。持って来いよ。」
「うっ、うん。持ってくる。」
みのりはウキウキする気持ちを悟られないよう緩んだ口元を必死にかくしながら、部屋に戻って問題集とペンケースを持ってくる。
「どれ、どこだ。」
将貴が顔を近づけてくる。
男臭い香りと(と言っても決していやな匂いじゃなくて、みのりにとっては何とも言えない色気のある香りだ)、高校生になってから付け始めた柑橘系のコロンがふわっとみのりの鼻をくすぐる。
それだけで、免疫の少ないみのりはドキドキしてしまう。
将貴は問題を近くで見ようと、みのりの横にどっかと座り直す。
(えぇー。ちっ、近い。)
みのりは説明を始める将兄の声なんか全く耳に入らなくなっていることを悟られないよう必死だった。
(これじゃあ何のために教えてもらってるのか分からないよー。)
そんな嘆きは自分勝手なもので、将兄がそばにいるだけで、普通じゃいられなくなるのは自分が一番分かっていたはずなのに…。
そんな事を考えていると、何か温かいものが唇に触れた気がした。
ハッと我に返ると、将兄の顔がすぐそばにある。
「えっ、いっ、今、何したっ?」
「んっ?キスだけど。」
耳を疑うような言葉が将兄の口から飛び出した。
「な、何してんのーっ!!」
みのりは真っ赤になって口を押さえる。
「だって、さっき、みのり俺にキスしたでしょ。だから、そういうことも教えて欲しいのかな~と思って。」
いつもの意地悪なんだと思い、赤くなった自分が余計に恥ずかしくなる。
でも、胸は異常な程に高鳴って、普通に振舞うのが難しくなる。
「そっ、そんな勉強は、将兄から教えてもらわなくても結構です。」
みのりは、うれしさに顔がゆるみそうなのをこらえ、わざと怒ったふりをする。
「へぇ~、そういうこと教えてくれる相手いるんだ。」
馬鹿にしたように将兄は言う。
「ばっ、ばかにしないでよっ!そんな相手くらいちゃんといるんだから。」
「ふ~ん。知らなかったな。みのりもそんな年頃になったか。」
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