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それでも俺が好きだと言ってみろ.93

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 これまでは自分が主導で、その方が気持ちいいように思い込んでいた。

 しかし今日のセックスは予定外のことばかりで、それがまたドキドキして、むしろ新しい世界が広がったように感じられた。



「和香・・・、俺はいいけど、お前のベッドぐしょぐしょだぞ?」

「じゃあ、このあとは宗理さんのお家に行きましょう」

「っ!!・・・もう参った」



 桜庭はせっかく元気になったのだからと、上に乗っていた和香をベッドに横たえるとそのまま突いた。

 もう二人とも何か分からない液体でビショビショで、体中ローションまみれのようだった。

 しかし、それはそれで新感覚のセックスとして楽しめた。

 四度目となるセックスで、ようやく和香の方が絶頂を迎えた。

 桜庭の腕の中でビクビクと体を痙攣させる和香がたまらなく可愛くて愛おしい。



 その後二人はシャワーを浴び、桜庭のマンションへと向かった。

 すっかりヘトヘトで、二人ともベッドに入るとすぐ深い眠りに落ちていった。



「おい、お前はいつになったら起きるんだ?」

 いつものごとく、桜庭に起こされた。
 


 しかしその後には、おはようの甘いキスが待っていた。

 和香はそれだけでおかしな気持ちになって、身体の芯がジンジン疼いてしまう。

 まったく困った身体になってしまったものだ。



 今日もまた桜庭が朝食を用意してくれた。

 テーブルにつくと、桜庭が申し訳なさそうに切り出した。



「昨日は・・・、その、俺の欲望ばっかり満たしてすまなかった」

 おそらく桜庭は、愛撫もせず、ただただ挿入を繰り返したセックスのことを言っているのだろう。

 朝食を食べながらする会話ではないが、出勤するまで時間がないから仕方ない。



「もう、また私に言わせるんですか?」

「な、何を?」

「だから、私、欲しいものはちゃんといいますから・・・。昨日は欲しかったものちゃんともらいましたよ?」

 いたずらっぽい表情で言われて、桜庭はまたしてもアタフタする羽目になる。

 桜庭はゴホンと一つ咳ばらいをした。



「そ、そうか・・・。そうだったな」

「・・・はい」



 今日にいたるまでのおおよその経緯は理解できた。

 しかし、そもそもなぜ桜庭は和香を入社初日からセックスの相手に選んだのだろうか。

 色んな事がはっきりしたからこそ、今度はそのことが疑問として浮かび上がってくる。



「あの、宗理さんはどうして入社したばっかりの私とセックスしようなんて思ったんですか?」

 脈絡のない和香の質問に、桜庭は飲んでいたコーヒーを噴き出した。



「なんだ、唐突に」

「だって、おかしいじゃないですか。三村さんの話が嘘なら、桜庭さんが私を選んだ理由が分かりません」

「それはだな・・・」

 桜庭はこの期に及んで、出来ればそのことは言わないですませたいと思っていた。

 しかし、こうなっては言わない訳にいかないだろう。
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