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それでも俺が好きだと言ってみろ.37

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 仕事中は仕事に関すること以外は桜庭の存在を頭の中からシャットアウトしていた。

 桜庭のことを考えそうになると、そこに思いきり蓋を被せるようにイメージした。

 そんなテクニックを使わなければ、大切な仕事に支障をきたしてしまっただろう。



 だが、いざこうして仕事から解放されると、溜め込んでいた分が一気に頭の中で爆発する。

 今日も桜庭さんは伊沢さんのことを気付かれないように見ていたな・・・。

 きっとすごく気になるんだろうな。

 伊沢さんとしゃべりたいんだろうな・・・。



 本人から聞いたわけじゃないのに、桜庭の気持ちが痛いほど分かってしまって、和香の方が切なくなってしまう。

 いつもなら電信柱のところに桜庭がいるかどうかを気にしながら歩くのに、今日はすっかりそんな妄想にふけっていたせいで、何も考えずにそこを通り過ぎた。



「おい」

「えっ!」

 和香は突然声を掛けられビクッと体をこわばらせた。



「何を驚いている」

 明日が休みということで、完全に油断していた。

 今日も桜庭が待っているなんて、正直頭になかったのだ。



「い、いえ・・・、すみません」

 まさか今日も?

 さすがに今日は勘弁してほしい。

 でないと、来週の仕事に差し支えてしまいそうだ。



「お前の家行くぞ」

「あ、あの・・・」

「なんだ?」

「つ、疲れが溜まっていて・・・、仕事に支障が出るといけないので・・・」



 今日はやめて欲しいと、はっきり言うことは出来ない。

 だが、出来れば配慮してもらいたい。

「すぐ終わらせる。そのあと思う存分寝ろ」

 そう言うと桜庭はもう完全に覚えてしまった和香の最寄り駅へ向かってスタスタと歩き始めた。



 桜庭の中では、自分がセックスの相手をすることはもう決まっていることのようだ。

 何を言おうとはぐらかされて、桜庭は必ず自分の欲望を満たすのだろう。

 和香は素直に従って、さっさと眠るという安易な方を選んだ。

 もうどうにも疲れすぎていて、抵抗や反論をする元気など残っていなかったから。



 和香の家に着くと、服を脱ぐよう指示された。

 和香は大人しく従い、ベッドに入った。

 今日も桜庭は裸になった。



 昨日だけだと思っていた和香は、もう一刻も早く眠りたいと思っていたくせに、桜庭の持つ妙な色気にあてられると完全に覚醒した。

 昨日ほど丁寧ではなかったが、キスをしながら、陰部を刺激された。



「んっ・・・、ふっ・・・」

 和香は普通にキスを受け入れ、陰部に対する愛撫を受け入れた。

 ほどなくそこは挿入に充分なほど蜜を滴らせた。



 桜庭は言葉を発することなく、自身を挿入すると、和香の乳房を両手で刺激しながら腰を動かした。

「はっ・・・、ああっ・・・」

 いつもなら、「鳴け、鳴け」と桜庭に罵倒されて出る声が、勝手に出てしまう。
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