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それでも俺が好きだと言ってみろ.34

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 桜庭の手が和香の胸に移動し、そちらも同じくいつもとは違って、いたわる様に触れられた。

 そのいつもとは違う触れ方が、どうにもたまらなくて、和香は暴れるわけにはいかないのに、身悶えた。



 どうして、こんな愛しむような触れ方・・・。

 そうして、その手は和香の下半身へと移動する。



 いつもはジェルを塗りつけられ手っ取り早く済まされる。

 しかし、今日はじっくりと、そしてひどく優しくその部分を刺激された。

 それがまた和香の心を震えさせる。



 普段の扱いが酷いだけに、普通のことがすごいことに感じられてしまう。

 その間、ずっとキスを与えられ続けていた。

 いつもはビクビクと恐れながら受け入れていた桜庭の行動も、今日はもう頭が朦朧としていているせいか、ただただ悶え、感じまくっていた。

 そんなだから、もう和香の身体は昇りつめる寸前で、桜庭がキスを解き、下半身の感じる部分に舌を這わせた瞬間にイッてしまった。



「もうイッたのか・・・」

 桜庭がようやく言葉を発した。

 和香はとても答えることが出来ず、荒い息遣いのまま顔を赤らめた。



 いつもの様に汚い言葉でなじられることもなく、桜庭は和香の中に侵入してきた。

「ああっ・・・」



 こんなことは、とんでもないことで、平気になんかなっちゃいけないのに・・・。

 それを通り越して、桜庭を求めているなんて。

 和香は自分自身に愕然としながらも、桜庭を求めてしまう気持ちは止めることなど出来なかった。



 桜庭はいつもの様に乱暴にしなかった。

 それでも、ほどなく昇りつめ、和香の中で達した。



 いつもはことが終わると、幾分か満足気な表情を浮かべるのに、今日はなぜか憂いを帯びだままだ。

 そんな表情も益々エロティックに見えてしまい、和香はいよいよ自分はおかしくなったのだと、頭を抱えたくなった。



「風呂、借りる」

 桜庭はそう言うと、いつもは最低二回しなければ収まらないはずなのに、さっさと風呂へ行ってしまった。



 和香は桜庭が去ったあとのベッドで、まだ熱が収まらない体を持て余していた。

 自分は今、確実にもっと抱かれたいと思っている。

 どうしよう・・・、こんな体になってしまった。



 真を裏切っているだけじゃなく、桜庭の事をもっと欲しいと思うなんて。

 自分の中に見つけてしまった抑え切れない欲望の処し方が分からない。



 そんなことをグダグダ考えていたら、あっという間に桜庭が風呂から出てきていた。
 
 バスタオルを腰に巻いただけのその姿は、相変わらず扇情的で、今の和香にとっては余計に目のやり場に困る。

 今桜庭のことを見ている自分はきっといやらしく飢えた汚らしい目をしているのだろう。

 そう思うとゾッとするのに、その欲望は消えてはくれない。



「私も、入って来ます」

 和香は、バスタオルで体を覆うと風呂へ向かった。

 風呂からあがってくると、いつもならソファに寝ているはずの桜庭がベッドに横たわっていた。



「おやすみなさい」

 和香は、てっきり自分がソファで寝るのだと思ってリビングに向かおうとした。



「お前もここで寝るんだ」

「えっ・・・」

 桜庭は仰向けに寝転がったままそう言った。
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