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開花?.01

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 モヤモヤしていた事が一気にスッキリとして、おまけに啓太とは両思いで…。

 さくらは何だか夢の中にいるような気分だった。
 
 しかし、現実は明日から実力テストが待っている。


 ほぼ、武田君のおかげといっても過言ではないが、実力テストの結果は、半年前のさくらからは想像できないようなすばらしい結果だった。

 ばらつきはあるものの、5科目の合計はなんと385点という、夢の様な点数だ。

 喜び勇んで啓太に電話で報告すると、自分のことのように喜んでくれた。

「こんなこと言ったら失礼だけど、さくらちゃんがこんなに伸びるなんて、正直思ってなかったから、本当にびっくりしてる。でも、これで色んな進路の選択肢が見えてくるね。」

 点数が上がったことに浮かれてばかりいたさくらは、あやうく目的を忘れるところだった。

「あ、そうそう、進路のことだけど、あれから色々調べてみて、啓太の大学の医学部のオープンキャンパスがもうすぐあるから、まず一発目はそこにしようかなって思ってるんだ。」

 まずは行動というさくららしく、既にオープンキャンパスの予定も具体的に決めていた。

「うん、いいんじゃない。まず体験してみるのが一番だよ。時間が合えば、僕も一緒にいってあげるよ。」

「ほんと?大学って何だか敷居が高くて、ちょっと緊張してたんだ。啓太が一緒に行ってくれるんだったら安心!」

 これまでの学生生活で、学業のためと思って学校を選んだことなど皆無だったさくらにとって、真剣な気持ちが普段の様にリラックスすることを許してくれない。

「ハハッ、さくらちゃんでも緊張することあるの?オープンキャンパスは、ちょっとしたイベントみたいに色んな体験コーナーとかがあったりして、結構楽しいんだよ。」

 さくらの変な緊張を何とか解いてやりたいと、啓太なりに一生懸命説明してくれた。

「そうなんだ。なんだかオープンキャンパスが楽しみになってきたなー。」

 本音を言えば、やっぱり大学と名が付くだけで、場違いな気がしてしょうがないのだが、啓太が気を使ってくれているのが嬉しかった。



 そんな話をした2週間後、待望のオープンキャンパスの日がやってきた。啓太はあいかわらずの忙しさのため、丸一日付き合う訳にはいかなかったが、お昼をまたいだ3時間ほどを一緒につきあってくれた。

 看護科の教室を一通り見て周り、雰囲気をつかむと、今度は体験コーナーに向かった。

 さくらが興味を持ったのは、ミーハーなのだがナース服を着てみるというものだった。

 別の言い方をすればコスプレと言えなくも無いが、女の子の場合、制服にあこがれるのは自然なことだ。

 と言うわけで、さくらはピンクのナース服を選ぶと、さっそく試着スペースに向かう。

 着替えを終えたさくらは啓太に尋ねた。

「どう?私のナース姿?」

 さくらのナース姿は、正直、清楚な白衣の天使というより、エッチなお店のコスプレに近い仕上がりだった。

 さくらの外見は以前よりは随分大人しくなったものの、もともとの顔の造りが派手なうえ、巻き髪の茶髪という髪型のせいで、どうしてもイケイケな感じになってしまう。

「い、いいんじゃない…。」

 啓太は、変な想像をしてしまいそうな思考をとめるので精一杯で、感想どころではないのだが…。

 歯切れの悪い返答がさくらは気に入らない。

「いいんじゃないってどういう意味?似合ってるの、それとも似合ってないの!」

 いよいよ本気で怒り出しそうな雰囲気になってきたので、啓太はすかさず話を逸らす。

「さ、さくらちゃん、あっちに美容外科のコーナーがあるから行ってみない?お肌のチェックとかしてくれるみたいだよ。」

 容姿には人一倍時間と労力をかけているさくらには、美容というワードは気を逸らすのに十分な力があった。

「わー、行く行く!」

 さくらは、ナース服から私服に着替え、啓太と一緒に美容外科コーナーへ向かった。

 美容外科コーナーでは、いかにも美に興味がありますといった容姿の学生たちが、ナース服ではなく白衣をさっそうと着こなし、髪はさっぱりとUPにして女性らしさを強調していた。

 現金な話しだが、さくらは、その見た目がいたく気に入り、俄然、美容外科に興味を持ち始めたようだ。

 お肌のチェックをしてもらい(高校生の若い肌は特に何の問題もないのだが)、ちょっと乾燥気味ね、とアドバイスを受ける横顔はとても満足そうだった。

 啓太はそろそろ研究室に戻らなければならない時間になったのだが、先ほどのさくらのナース姿が頭から離れない。

「さくらちゃん。僕、これから一旦研究室に戻るけど、夜、僕んちに来れないかな?」

「え、別にいいけど。どうして?啓太忙しいんじゃないの?」

 啓太は下心を見抜かれないように平静を装うのに必死だ。

「今日一日の感想とか聞きたいし、これからの事も話したいからさ。」

「啓太がそんなこと言い出すなんて、なんかあやしいけど。まあ、いいよ。啓太に会えるんなら。」

 そう言ってさくらは啓太のほっぺにキスをする。

「うわあ!」

 大声を出す啓太を見て、さくらは何を今更という感じで笑っている。

(たのむよさくらちゃん。僕、もうさっきから自分を抑えるの限界なんだから…。男心分かってないな…。それとも、分かっててやってる?)

 啓太は、ニヤッとと笑って逃げ出そうとするさくらの腕をつかまえる。

「意地悪しないで、さくらちゃん。僕、恋愛初心者なんだから。お手柔らかにおねがいします。」


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