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一進一退.01
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さくらにあれだけ色々と相談に乗ってもらったのに、その甲斐もなくあっけなくフラれてしまった。
情けないけれど、一応報告だけはしておこうと携帯を手に取る。
「もしもし、さくらちゃん?いま大丈夫?」
「うん。大丈夫。今勉強してたんだ~。えらいでしょ。」
「えらい、えらい。」
「あ、バカにしてる~!」
「してない、してない。ちゃんと頑張ってるみたいだね。」
「うん!毎日メッチャ充実してるんだ!」
「へえ、なんかさくらちゃんすごいね。」
「ふふ、自分でもびっくり。」
さくらは、武田君の次は啓太にまで褒められて上機嫌になる。
「ところでさ、高森さんのことなんだけど。」
高森さんと聞き、さくらは必要以上に構えてしまう。
聞きたいんだけど、聞きたくない。そんな矛盾した気持ちがさくらを襲う。
「う、うん。」
「実は、一回目のデートでフラれちゃった。」
「え~!!高森さんが啓太をフッたの?逆じゃなくて~?」
さくらは思わず椅子から立ち上がって叫んだ。
「うん…。」
「ちょっと待って、どういうこと?ちゃんと説明して!」
啓太はさくらのすごい剣幕にたじたじになりながらも、その経緯を話した。
科学館デートをして、その後夕食を一緒に食べ、啓太の家でいいところまでいったのに、なぜかダメで、高森さんは怒って帰ってしまったというのだが、さくらは腑に落ちない。
「一回ダメだっただけで、高森さんから別れるって言われたの?」
「う~ん、実は、高森さんには女性としてドキドキしないから、やっぱり付き合えないって言った気がする。」
「言った気がするって…、そりゃダメでしょ。」
「そうかな?」
さくらは頭を抱えた。
「そうかな?じゃないでしょ!そんなこと言われたら付き合う以前に女性としてメッチャ傷つくよ。」
そう言われても、ホントの事を言って何が悪いのか啓太には分からない。
「だって、嘘つく方が悪いでしょ。」
「そういうことじゃなくて、嘘はダメだけど、他の言い方ってもんがあるでしょう?」
「どんな?」
そんな事まで教えないと分からないなんて…、啓太は頭がいいのか悪いのか?いや、頭はいいはず…。
「例えば~、『もう少しお互いの事を知ってからにしよう』とか、『今日はキスまで』とか、とりあえず付き合いを続ける工夫をしないと、まだ何も経験してないじゃない。」
しかし、啓太はさくらの言い分は全く理解出来ない。
「でもね、もう答えが出てるんだよ?それなのに、なんで付き合いを続けなくちゃいけないの?」
「答えって、そもそも啓太は何で彼女でもない私とはエッチできるのに、高森さんはダメなのよ?」
そう言われればその通りなのだが、啓太はその理由については考えたことがなかった。
「ほんとだ。どうしてかな?」
「どうしてかなって、自分で分からないの?」
さくらは次々と放たれる啓太の珍回答にもう訳が分からなくなる。
「う~ん。不思議だな~。」
「不思議だな~って…。」
さくらはもう手に負えないと匙を投げた。
「少し、自分で考えてみなさい。もう私勉強するから、切るね。」
「分かった。」
啓太は話を聞いてもらうだけのつもりで電話をしたのに、結局さくらの機嫌まで損ねてしまってひどく落ち込む。
(あ~、もう恋愛は分からない。勉強の方がよっぽど楽だよ。答えが無いなんてどうすればいいのさ~。)
情けないけれど、一応報告だけはしておこうと携帯を手に取る。
「もしもし、さくらちゃん?いま大丈夫?」
「うん。大丈夫。今勉強してたんだ~。えらいでしょ。」
「えらい、えらい。」
「あ、バカにしてる~!」
「してない、してない。ちゃんと頑張ってるみたいだね。」
「うん!毎日メッチャ充実してるんだ!」
「へえ、なんかさくらちゃんすごいね。」
「ふふ、自分でもびっくり。」
さくらは、武田君の次は啓太にまで褒められて上機嫌になる。
「ところでさ、高森さんのことなんだけど。」
高森さんと聞き、さくらは必要以上に構えてしまう。
聞きたいんだけど、聞きたくない。そんな矛盾した気持ちがさくらを襲う。
「う、うん。」
「実は、一回目のデートでフラれちゃった。」
「え~!!高森さんが啓太をフッたの?逆じゃなくて~?」
さくらは思わず椅子から立ち上がって叫んだ。
「うん…。」
「ちょっと待って、どういうこと?ちゃんと説明して!」
啓太はさくらのすごい剣幕にたじたじになりながらも、その経緯を話した。
科学館デートをして、その後夕食を一緒に食べ、啓太の家でいいところまでいったのに、なぜかダメで、高森さんは怒って帰ってしまったというのだが、さくらは腑に落ちない。
「一回ダメだっただけで、高森さんから別れるって言われたの?」
「う~ん、実は、高森さんには女性としてドキドキしないから、やっぱり付き合えないって言った気がする。」
「言った気がするって…、そりゃダメでしょ。」
「そうかな?」
さくらは頭を抱えた。
「そうかな?じゃないでしょ!そんなこと言われたら付き合う以前に女性としてメッチャ傷つくよ。」
そう言われても、ホントの事を言って何が悪いのか啓太には分からない。
「だって、嘘つく方が悪いでしょ。」
「そういうことじゃなくて、嘘はダメだけど、他の言い方ってもんがあるでしょう?」
「どんな?」
そんな事まで教えないと分からないなんて…、啓太は頭がいいのか悪いのか?いや、頭はいいはず…。
「例えば~、『もう少しお互いの事を知ってからにしよう』とか、『今日はキスまで』とか、とりあえず付き合いを続ける工夫をしないと、まだ何も経験してないじゃない。」
しかし、啓太はさくらの言い分は全く理解出来ない。
「でもね、もう答えが出てるんだよ?それなのに、なんで付き合いを続けなくちゃいけないの?」
「答えって、そもそも啓太は何で彼女でもない私とはエッチできるのに、高森さんはダメなのよ?」
そう言われればその通りなのだが、啓太はその理由については考えたことがなかった。
「ほんとだ。どうしてかな?」
「どうしてかなって、自分で分からないの?」
さくらは次々と放たれる啓太の珍回答にもう訳が分からなくなる。
「う~ん。不思議だな~。」
「不思議だな~って…。」
さくらはもう手に負えないと匙を投げた。
「少し、自分で考えてみなさい。もう私勉強するから、切るね。」
「分かった。」
啓太は話を聞いてもらうだけのつもりで電話をしたのに、結局さくらの機嫌まで損ねてしまってひどく落ち込む。
(あ~、もう恋愛は分からない。勉強の方がよっぽど楽だよ。答えが無いなんてどうすればいいのさ~。)
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