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どうしてそうなる?.03
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メンバーは、他に予定があって来られなかった数人を除いた男性5名、女性3名という若干アンバランスなものになったが、初めての集いに皆楽しい時間を過ごした。
二次会は予定していなかったが、まだ飲み足りないという酒豪の近田君の誘いで啓太と聡子が付き合うことになった。
近田君行きつけの居酒屋で飲み始めると、近田君は一軒目でかなり飲んでいたのかすぐに爆睡してしまった。
啓太と聡子が困っていると、マスターが声を掛けてくる。
「そいつのことはほっといて帰っていいよ。一回寝ちまったら、しばらくは目覚まさないから。」
「で、でも。」
「いつものことだから、気にしなさんな。そいつぁ、いつもそうなんだよ。まあ、2~3時間したら起きるから、ほっといて帰んな。あとは俺が面倒みてやるから。」
「す、すみません。それじゃ、お言葉に甘えて。」
啓太と聡子は自分達の会計を済ませると店を後にした。
「どこか違うお店行く?」
聡子に問われ、
「う~ん。僕はどっちでもいいけど。高森さんが行きたければ付き合うよ。」
啓太は何も考えずそう答えた。
「じゃあ、前から行ってみたかったおしゃれなBarがあるんだけど、そこでいい?」
おしゃれなBarと聞いて一瞬嫌な予感がしたのだが、付き合うと言った手前いやな顔も出来ず、OKしてしまった。
店に入ると案の定、どの席もカップルばかりで埋め尽くされていた。空いているテーブル席は無く、カウンター席に座ったのだが、啓太はその居心地の悪さに今すぐ帰りたくなる。
そんな啓太の思いをよそに、聡子は計画どおりに事が運び天にも昇る気持ちだった。
(近田様、こんなチャンスを与えてくれてありがとう!)
聡子は心の中で酔いつぶれてしまった近藤さんにお礼を言わずにはいられなかった。
「わたし、ピーチソーダおねがいします。小野木君は何飲む?」
どんな理由で帰ろうかと思案していた啓太は突然そう聞かれて、しどろもどろになる。
「余り強くないのがよろしければ、ジントニックはいかがですか?」
人の良さそうなマスターが、助け舟を出してくれる。
「じゃ、じゃあそれで。」
帰るきっかけをつかみ損ねて、啓太はますますテンパってしまう。
「まさか小野木君が付き合ってくれるなんて思わなかったから、うれしい。」
そう言うと聡子は出されたカクテルをクイッと一気に飲み干してしまう。
「だ、大丈夫。そんなペースで飲んで。」
「大丈夫、大丈夫。マスター、おかわりー。次は、モスコミュールお願い。」
「はい、かしこまりました。」
聡子は完全にテンションが上がってしまい、かなりのハイペースで次々と注文しては飲み干していった。
あっという間に酔いが回ってきたようで、啓太に寄りかかってベタベタと体に触れてくる。
「小野木君って、今付き合ってる子とかいるの?」
「い、いないよ、そんなの。」
「うそ~、ほんとに~?小野木君かっこいいのに。信じらんな~い。でもそれだったら、あたし立候補しちゃおっかな~。」
「な、何言ってるの。僕、かっこよくなんかないよ。高森さん飲み過ぎだよ~。」
「酔ってない~。小野木君はメチャクチャかっこいいんだから。ねえ、あたしじゃだめ?」
聡子にしつこく詰め寄られ、啓太は目でマスターに助けを求める。
「しょうがないお嬢さんですね。きっと今日の事は明日には覚えていないでしょうからマトモに相手することないですよ。」
数々の修羅場を見て来たであろうマスターにそう言われ、酔っ払いとはそんなもんかと妙に安心する。
「マスター、お勘定お願いします。」
「今度は、彼女さんと一緒に来てくださいね。」
「マスターまで。そんな人ホントにいませんから。」
にっこり微笑むマスターに見送られながら、すっかり酔いつぶれた聡子をおぶって店を出る。
二次会は予定していなかったが、まだ飲み足りないという酒豪の近田君の誘いで啓太と聡子が付き合うことになった。
近田君行きつけの居酒屋で飲み始めると、近田君は一軒目でかなり飲んでいたのかすぐに爆睡してしまった。
啓太と聡子が困っていると、マスターが声を掛けてくる。
「そいつのことはほっといて帰っていいよ。一回寝ちまったら、しばらくは目覚まさないから。」
「で、でも。」
「いつものことだから、気にしなさんな。そいつぁ、いつもそうなんだよ。まあ、2~3時間したら起きるから、ほっといて帰んな。あとは俺が面倒みてやるから。」
「す、すみません。それじゃ、お言葉に甘えて。」
啓太と聡子は自分達の会計を済ませると店を後にした。
「どこか違うお店行く?」
聡子に問われ、
「う~ん。僕はどっちでもいいけど。高森さんが行きたければ付き合うよ。」
啓太は何も考えずそう答えた。
「じゃあ、前から行ってみたかったおしゃれなBarがあるんだけど、そこでいい?」
おしゃれなBarと聞いて一瞬嫌な予感がしたのだが、付き合うと言った手前いやな顔も出来ず、OKしてしまった。
店に入ると案の定、どの席もカップルばかりで埋め尽くされていた。空いているテーブル席は無く、カウンター席に座ったのだが、啓太はその居心地の悪さに今すぐ帰りたくなる。
そんな啓太の思いをよそに、聡子は計画どおりに事が運び天にも昇る気持ちだった。
(近田様、こんなチャンスを与えてくれてありがとう!)
聡子は心の中で酔いつぶれてしまった近藤さんにお礼を言わずにはいられなかった。
「わたし、ピーチソーダおねがいします。小野木君は何飲む?」
どんな理由で帰ろうかと思案していた啓太は突然そう聞かれて、しどろもどろになる。
「余り強くないのがよろしければ、ジントニックはいかがですか?」
人の良さそうなマスターが、助け舟を出してくれる。
「じゃ、じゃあそれで。」
帰るきっかけをつかみ損ねて、啓太はますますテンパってしまう。
「まさか小野木君が付き合ってくれるなんて思わなかったから、うれしい。」
そう言うと聡子は出されたカクテルをクイッと一気に飲み干してしまう。
「だ、大丈夫。そんなペースで飲んで。」
「大丈夫、大丈夫。マスター、おかわりー。次は、モスコミュールお願い。」
「はい、かしこまりました。」
聡子は完全にテンションが上がってしまい、かなりのハイペースで次々と注文しては飲み干していった。
あっという間に酔いが回ってきたようで、啓太に寄りかかってベタベタと体に触れてくる。
「小野木君って、今付き合ってる子とかいるの?」
「い、いないよ、そんなの。」
「うそ~、ほんとに~?小野木君かっこいいのに。信じらんな~い。でもそれだったら、あたし立候補しちゃおっかな~。」
「な、何言ってるの。僕、かっこよくなんかないよ。高森さん飲み過ぎだよ~。」
「酔ってない~。小野木君はメチャクチャかっこいいんだから。ねえ、あたしじゃだめ?」
聡子にしつこく詰め寄られ、啓太は目でマスターに助けを求める。
「しょうがないお嬢さんですね。きっと今日の事は明日には覚えていないでしょうからマトモに相手することないですよ。」
数々の修羅場を見て来たであろうマスターにそう言われ、酔っ払いとはそんなもんかと妙に安心する。
「マスター、お勘定お願いします。」
「今度は、彼女さんと一緒に来てくださいね。」
「マスターまで。そんな人ホントにいませんから。」
にっこり微笑むマスターに見送られながら、すっかり酔いつぶれた聡子をおぶって店を出る。
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