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勢いで!?.05
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勢いだけで突っ走る癖のあるさくらは、啓太に会った後のことを詳しく考えていなかった。
さくらは途方にくれて、困った様子で立ち尽くしている。
そんなさくらの様子を見かねた啓太が助け舟を出す。、
「近くに行きつけの喫茶店があるから、そこで話しませんか。」
「えっ、ああっ。そこでいいよ。」
啓太の行きつけの喫茶店は、彼が好みそうな落ち着いた雰囲気の店だった。
カウンター席が五つとテーブル席が4つ程の小さなお店の一番奥にあるテーブル席を啓太は選んで腰掛ける。
「さあ、どうぞ。」
そう言われて、さくらもあわてて腰掛ける。
ウエイトレスさんがお水を持ってくると啓太は慣れた様子で注文をする。
「僕はいつもの。水神さんは何がいいですか。」
「私は、アイスティー。」
さくらはいつも友達と行くようなポップなカフェとは流れている音楽も、客層も違って、何だか自分が場違いな所にいるようで、落ち着かない。
注文をしてから飲み物が来るまでの間が気まずい。
しかし、啓太はさくらが話し始めるのを静かに待っているだけで自分から話そうという気配はない。
さくらは、仕方なく話を切り出す。
「あのさ、この間のことなんだけど。携帯が直ってから冷静に考えたら、私もちょっとは悪かったなって。」
さくらの口から出た思いがけない侘びの言葉に、啓太は少し驚いた様子で答えた。
「そう。それはどうも。」
(あれだけ悪態をついて、お金も支払わせておいて今更だよね。)
さくらは何とか取り繕おうと必死に言葉を続けた。
「だから、その、お詫びに何かできないかと思って。」
「別に、気にすることないよ。」
さらりとかわす啓太に若干キレ気味になったさくらは、声を荒げる。
「私が、そうしないと気がすまないの。」
そこへウエイトレスが、飲み物を持ってくる。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。」
啓太は、そんなさくらをなだめるように飲み物をすすめる。
「まあ、そう興奮しないで、アイスティー飲んでみて。ここの店はこだわってるから、どれもおいしいんだよ。」
よほどお気に入りなのか、啓太はうれしそうにアイスコーヒーを飲む。
(困ったな。無理に押してもだめだ。ここはちょっと作戦変更だな。)
「ほんとだ。おいしい。」
「そうでしょ。」
啓太は自分のことのようにうれしそうだ。
「私の事怒ってないの?」
さくらは恐る恐る聞いてみる。
「怒ってませんよ。僕がボーっとしていたのが悪いんですから。」
あくまで自分の責任だと主張する啓太の気持ちを今更変えるのは難しそうだ。
「本当のホントに怒ってない?」
ハハッと笑うと、啓太は答える。
「本当に怒ってませんから、安心してください。」
「でも、私やっぱりこのままじゃ気がすまない。小野木さんって、いつも研究室に篭ってるって言ってたよね。私、お菓子作るの得意だから差し入れ持っていっていいかな?」
「えっ、本当。それはうれしいな。すごく助かるよ。研究に夢中になってるとつい食事も摂らないなんてこともよくあるんです。」
「そうなんだ。よかった。私の腕前楽しみにしててよ。」
「はい。楽しみにしてます。」
そう言うと、啓太は腕時計で時間を確認する。
「そろそろ、出ましょうか。もう外は暗くなって来ましたから。女の子は帰らないと危ないでしょう。」
「あぁ、そうね。じゃぁ、そろそろ帰ろうかな。」
さくらはまだ話し足りなかったが、促されるまま立ち上がる。
「ここはぼくが払いますから。水神さんには差し入れをいただくんですからね。」
そう言うとさっと支払いを済まし、お店のドアを開ける。
さくらは途方にくれて、困った様子で立ち尽くしている。
そんなさくらの様子を見かねた啓太が助け舟を出す。、
「近くに行きつけの喫茶店があるから、そこで話しませんか。」
「えっ、ああっ。そこでいいよ。」
啓太の行きつけの喫茶店は、彼が好みそうな落ち着いた雰囲気の店だった。
カウンター席が五つとテーブル席が4つ程の小さなお店の一番奥にあるテーブル席を啓太は選んで腰掛ける。
「さあ、どうぞ。」
そう言われて、さくらもあわてて腰掛ける。
ウエイトレスさんがお水を持ってくると啓太は慣れた様子で注文をする。
「僕はいつもの。水神さんは何がいいですか。」
「私は、アイスティー。」
さくらはいつも友達と行くようなポップなカフェとは流れている音楽も、客層も違って、何だか自分が場違いな所にいるようで、落ち着かない。
注文をしてから飲み物が来るまでの間が気まずい。
しかし、啓太はさくらが話し始めるのを静かに待っているだけで自分から話そうという気配はない。
さくらは、仕方なく話を切り出す。
「あのさ、この間のことなんだけど。携帯が直ってから冷静に考えたら、私もちょっとは悪かったなって。」
さくらの口から出た思いがけない侘びの言葉に、啓太は少し驚いた様子で答えた。
「そう。それはどうも。」
(あれだけ悪態をついて、お金も支払わせておいて今更だよね。)
さくらは何とか取り繕おうと必死に言葉を続けた。
「だから、その、お詫びに何かできないかと思って。」
「別に、気にすることないよ。」
さらりとかわす啓太に若干キレ気味になったさくらは、声を荒げる。
「私が、そうしないと気がすまないの。」
そこへウエイトレスが、飲み物を持ってくる。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。」
啓太は、そんなさくらをなだめるように飲み物をすすめる。
「まあ、そう興奮しないで、アイスティー飲んでみて。ここの店はこだわってるから、どれもおいしいんだよ。」
よほどお気に入りなのか、啓太はうれしそうにアイスコーヒーを飲む。
(困ったな。無理に押してもだめだ。ここはちょっと作戦変更だな。)
「ほんとだ。おいしい。」
「そうでしょ。」
啓太は自分のことのようにうれしそうだ。
「私の事怒ってないの?」
さくらは恐る恐る聞いてみる。
「怒ってませんよ。僕がボーっとしていたのが悪いんですから。」
あくまで自分の責任だと主張する啓太の気持ちを今更変えるのは難しそうだ。
「本当のホントに怒ってない?」
ハハッと笑うと、啓太は答える。
「本当に怒ってませんから、安心してください。」
「でも、私やっぱりこのままじゃ気がすまない。小野木さんって、いつも研究室に篭ってるって言ってたよね。私、お菓子作るの得意だから差し入れ持っていっていいかな?」
「えっ、本当。それはうれしいな。すごく助かるよ。研究に夢中になってるとつい食事も摂らないなんてこともよくあるんです。」
「そうなんだ。よかった。私の腕前楽しみにしててよ。」
「はい。楽しみにしてます。」
そう言うと、啓太は腕時計で時間を確認する。
「そろそろ、出ましょうか。もう外は暗くなって来ましたから。女の子は帰らないと危ないでしょう。」
「あぁ、そうね。じゃぁ、そろそろ帰ろうかな。」
さくらはまだ話し足りなかったが、促されるまま立ち上がる。
「ここはぼくが払いますから。水神さんには差し入れをいただくんですからね。」
そう言うとさっと支払いを済まし、お店のドアを開ける。
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