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勢いで!?.03
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それから2週間ほどたったある日ケータイショップからさくらに修理が完了したとの連絡が入る。
さくらはあの日以来、モヤモヤとした気持ちのまま今日を迎えた。
あの男に連絡しなければならない。
今日修理が終わった携帯を受け取りあの男が支払いを済ませたらそれであの男と会うことはないだろう。
そんな当たり前のことが、なぜだろう、さくらの気持ちを曇らせている。
しかしいつまでも携帯を受け取りにいかない訳にもいかないので、一応連絡を入れて相手の都合も聞いてみることにした。
『携帯修理終わりました。受け取りに行くので今週夕方都合のいい日を教えてください。』と連絡を入れる。
しばらくすると返信が来た。
『明日の夕方でしたら、だいじょうぶです。』
「明日か…。」
そうつぶやくと、さくらは、
『じゃあ、明日の夕方ケータイショップ前で。』と返信する。
『了解です。』
啓太からはすぐ返信が帰ってきた。
「あいかわらず律儀。」
さくらは窓の外の校庭を見ながらぼんやりとつぶやいた。
次の日の放課後ケータイショップに向かうさくらの足取りは重かった。
なぜだかあの男のことが妙に気になって仕方ない。
いつもイケイケで、今時の男子としか付き合ってこなかったさくらの周りには全くいなかったタイプの野暮ったい男なのに…。
そんな自分が嫌で、イライラしてくる。
そうこうしているうちにケータイショップに着いてしまった。
案の定、あの男は先に来てショップの前で立っていた。
「どーも。」
さくらは出来るだけそっけなく言ってみる。
「あっ、どうも。」
啓太はいつものように礼儀正しく答える。
さくらがショップに入ると啓太も後に続く。
修理が終わった携帯を受け取り、啓太がその支払いを済ませた。
ショップ店員とさくらの間では事務的なやりとりが行われている間、啓太は黙って横に座っていた。
長い説明も終わり、二人はショップを出る。
「ほんとにすみませんでした。これからは、気をつけて歩きます。」
相変わらずの調子の啓太に、
「まったく、しっかりしてもらわないと困るよね。あんた将来お医者さんになるんでしょ。そんなんじゃ、人助けらんないよ。」
さくらは心にもない悪態をついてしまう。
「はぁ、そのとおりですね。肝に銘じます。それじゃこれで。」
そう言うと啓太はさっさとその場を立ち去ろうとする。
「ちょっ、ちょっと。」
さくらは考え無しに声をかけてしまった。
「えっ、まだなにか?」
そう言われてさくらは咄嗟にこう言っていた。
「この後時間ある?」
少しの沈黙の後、啓太はこう言った。
「すみません。急ぎの用があるので。」
「そっ、そうだよね。別に何って訳じゃないから。じゃあこれで。」
そう言うと自分の発言の不自然さに、一瞬でも早くこの場所から立ち去りたくなって、いつの間にか駆け出していた。
さくらはあの日以来、モヤモヤとした気持ちのまま今日を迎えた。
あの男に連絡しなければならない。
今日修理が終わった携帯を受け取りあの男が支払いを済ませたらそれであの男と会うことはないだろう。
そんな当たり前のことが、なぜだろう、さくらの気持ちを曇らせている。
しかしいつまでも携帯を受け取りにいかない訳にもいかないので、一応連絡を入れて相手の都合も聞いてみることにした。
『携帯修理終わりました。受け取りに行くので今週夕方都合のいい日を教えてください。』と連絡を入れる。
しばらくすると返信が来た。
『明日の夕方でしたら、だいじょうぶです。』
「明日か…。」
そうつぶやくと、さくらは、
『じゃあ、明日の夕方ケータイショップ前で。』と返信する。
『了解です。』
啓太からはすぐ返信が帰ってきた。
「あいかわらず律儀。」
さくらは窓の外の校庭を見ながらぼんやりとつぶやいた。
次の日の放課後ケータイショップに向かうさくらの足取りは重かった。
なぜだかあの男のことが妙に気になって仕方ない。
いつもイケイケで、今時の男子としか付き合ってこなかったさくらの周りには全くいなかったタイプの野暮ったい男なのに…。
そんな自分が嫌で、イライラしてくる。
そうこうしているうちにケータイショップに着いてしまった。
案の定、あの男は先に来てショップの前で立っていた。
「どーも。」
さくらは出来るだけそっけなく言ってみる。
「あっ、どうも。」
啓太はいつものように礼儀正しく答える。
さくらがショップに入ると啓太も後に続く。
修理が終わった携帯を受け取り、啓太がその支払いを済ませた。
ショップ店員とさくらの間では事務的なやりとりが行われている間、啓太は黙って横に座っていた。
長い説明も終わり、二人はショップを出る。
「ほんとにすみませんでした。これからは、気をつけて歩きます。」
相変わらずの調子の啓太に、
「まったく、しっかりしてもらわないと困るよね。あんた将来お医者さんになるんでしょ。そんなんじゃ、人助けらんないよ。」
さくらは心にもない悪態をついてしまう。
「はぁ、そのとおりですね。肝に銘じます。それじゃこれで。」
そう言うと啓太はさっさとその場を立ち去ろうとする。
「ちょっ、ちょっと。」
さくらは考え無しに声をかけてしまった。
「えっ、まだなにか?」
そう言われてさくらは咄嗟にこう言っていた。
「この後時間ある?」
少しの沈黙の後、啓太はこう言った。
「すみません。急ぎの用があるので。」
「そっ、そうだよね。別に何って訳じゃないから。じゃあこれで。」
そう言うと自分の発言の不自然さに、一瞬でも早くこの場所から立ち去りたくなって、いつの間にか駆け出していた。
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