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ホストと女医は診察室で.13
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同じころ、聖夜は着信の音で目を覚ました。
なんだ、店からか?
スマホを手に取ると、そこに表示されている名前は母親の美也子だった。
「なに?」
「孝ちゃん?もう、やっと繋がったわ。いつも出てくれないんだもの」
「しょうがないだろ、仕事が忙しいんだよ」
「ねえ、来週家に帰って来られない?お父さんがうるさくって」
「またその話?俺が行ってどうなるの。和希がいるだろ」
「それがダメなのよ。やっぱりもう一度あなたに直接会って話さないと気が済まないらしいの」
「なんでだよ。和希は十分優秀だろ?親父の跡継ぎとして何の不足もないじゃないか」
「私も何度もそう言うんだけど、お父さんはあなたの野心的なところを買ってるのよ」
「もう、勘弁してくれよ。何度言われても俺の気持ちは変わらないから」
そう言うと聖夜は勝手に電話を切ってしまった。
電話の向こうで美也子が怒っているのが目に浮かぶが、いくら話しても話は平行線を辿るだけで時間の無駄だ。
聖夜の父親はコンサルティング会社を経営している。
聖夜と弟の和希は幼い頃から跡継ぎとして様々な教育を受けてきた。
しかし、先ほど母の美也子が言った様に聖夜はその自由を好む性格から、跡継ぎという道を拒絶してホストという職業を選んだ。
一方聖夜とは違い、慎重で従順な性格の和希は親の望む優秀な跡継ぎ候補に育った。
今年、聖夜は25歳、弟の和希は23歳になる。
和希はこの春大学を卒業し、今は父親のもとで勉強中といったところだ。
親の言うことをすんなりと聞く和希という存在がいるのに、なぜ父親の文則はいつまでも自分に執着するのか…。
聖夜には理解できない。
嫌な電話で起こされ、目覚めの悪かった聖夜は、くさくさした気持ちのまま店へと向かった。
「聖夜さん、聖夜さん!あの後どうなったんですか?」
真也はあのお堅い慶子がどうなったのか興味津々だ。
「野暮なこと聞くなよ」
「ええ~、それって、まさか…」
「うっせえな、俺に落ちない女なんていないってこと」
「ひゃ~、やっぱナンバーワンは違うっすね。どうやって口説いたんですか、ねえ、教えてくださいよ聖夜さ~ん」
「バ~カ、それは自分で考えてこそ意味があるの」
「ええ~、そんなケチくさいこと言わないで、ねえお願いしますよ」
「くだらないことしゃべってないで、お前、髪直して来いよ。何か今日ダサいぞ」
「え、マジっすか?おかしいな、いつもと同じにしたつもりなんだけどな」
真也はブツブツ言いながらバックに引っ込んだ。
「はぁ~…」
どいつもこいつも、俺を頼るんじゃないよ。
自分の道は自分で切り開いてきた聖夜からすると、そういう発想自体が信じられなかった。
なんだ、店からか?
スマホを手に取ると、そこに表示されている名前は母親の美也子だった。
「なに?」
「孝ちゃん?もう、やっと繋がったわ。いつも出てくれないんだもの」
「しょうがないだろ、仕事が忙しいんだよ」
「ねえ、来週家に帰って来られない?お父さんがうるさくって」
「またその話?俺が行ってどうなるの。和希がいるだろ」
「それがダメなのよ。やっぱりもう一度あなたに直接会って話さないと気が済まないらしいの」
「なんでだよ。和希は十分優秀だろ?親父の跡継ぎとして何の不足もないじゃないか」
「私も何度もそう言うんだけど、お父さんはあなたの野心的なところを買ってるのよ」
「もう、勘弁してくれよ。何度言われても俺の気持ちは変わらないから」
そう言うと聖夜は勝手に電話を切ってしまった。
電話の向こうで美也子が怒っているのが目に浮かぶが、いくら話しても話は平行線を辿るだけで時間の無駄だ。
聖夜の父親はコンサルティング会社を経営している。
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しかし、先ほど母の美也子が言った様に聖夜はその自由を好む性格から、跡継ぎという道を拒絶してホストという職業を選んだ。
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「聖夜さん、聖夜さん!あの後どうなったんですか?」
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「野暮なこと聞くなよ」
「ええ~、それって、まさか…」
「うっせえな、俺に落ちない女なんていないってこと」
「ひゃ~、やっぱナンバーワンは違うっすね。どうやって口説いたんですか、ねえ、教えてくださいよ聖夜さ~ん」
「バ~カ、それは自分で考えてこそ意味があるの」
「ええ~、そんなケチくさいこと言わないで、ねえお願いしますよ」
「くだらないことしゃべってないで、お前、髪直して来いよ。何か今日ダサいぞ」
「え、マジっすか?おかしいな、いつもと同じにしたつもりなんだけどな」
真也はブツブツ言いながらバックに引っ込んだ。
「はぁ~…」
どいつもこいつも、俺を頼るんじゃないよ。
自分の道は自分で切り開いてきた聖夜からすると、そういう発想自体が信じられなかった。
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