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初恋がこじれにこじれて困ってます.33
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当の沙耶も混乱の真っただ中にいた。
嘘か本当か分からないけれど(まだ疑っている)、瞬ちゃんは自分を好きだと言ってくれた。
おまけに、き、き、キスまでされてしまった。もう、自分で考えても何が何だか分からない。
誰か相談できる人は…。
沙耶は数少ない友人を思い浮かべてみる。
日奈子は口が軽いからダメ、さおりは世話好きだけどノリが軽いからダメ、となると残るは真由しかいない。
アニメオタクの真由に恋愛経験があるのか怪しいけれど、今頼れるのは真由しかいない。
沙耶は一縷の望みをかけて真由に電話をかけてみた。
4コール、5コール、中々出ないな…。
アニメのイベントがある休日以外はインドア派の真由だから家にいると思うんだけど。
8コール目でようやくつながった。
「もしもし、真由?今時間ある?」
「ああ、ちょっと待って、今、アニメのDVD見てたからちょっと止めるね。」
「うん、ごめんね。」
「お待たせ~。何々、どうした電話なんてめずらしいね。」
「あのね、ちょっと相談したいことがあって。」
「うんうん。」
「率直に言うと恋愛相談なんだけど。」
「うへえ、まじ?何で私に?」
真由がそう言うのも無理はない。なぜなら、真由は沙耶と同じく彼氏いない歴=年齢の人なのだから。
「他にもっと適任の人いるでしょう。」
「う~ん、でも、いろいろ考えた末、やっぱ真由に相談したかったんだ。」
「そ、そう?私の場合アニメの中の恋愛と、自分の妄想になっちゃうけどそれでいい?」
それがベストとは沙耶も思わないけど、とりあえずの最善だ。
「私も恋愛に関してはホントに無知だから、もういくら考えても分からなくってほとほと疲れちゃった。だから、よろしくお願いします。」
「わかった。それで、どういうことで困ってるの?」
そう聞かれて、沙耶はハタと答えにつまる。あまりに話が長すぎて、電話で話せる容量ではない気がしてきたのだ。
「ねえ、今気づいたんだけど、話がね…、すっごく長くなるんだ。それで、もし迷惑じゃなかったら私これから真由んち行ってもいいかな?」
突然恋愛相談を持ち掛けておいて、更に一度も訪ねたことのないお家にまで押しかけようとしている。
迷惑至極だと思うのだけれど、背に腹は代えられない。
そんな風に気を揉んでいる沙耶とは真逆に、真由は至って普通に答えた。
「オッケー、じゃあ、住所教えるから待ってるね~。」
そんないきさつで、沙耶は今真由の部屋にいる。
さすがアニメオタクを自負するだけのことはあり、部屋はアニメのポスターやグッズで埋め尽くされていた。
こういう部屋に入るのは初めてで、沙耶には新鮮だった。
でも、今はそんなことに関心している場合ではない。
真由は飲み物とコップを丸テーブルに用意して、聞く気満々で沙耶が話始めるのを待っている。
「えっと、まず、どこから話そうか。」
「今一番困ってることから!」
「そ、そうだね。えっと、私気になってる人がいてね、同じ大学の法学部の3年生で同じワンゲル部の人なんだ。一ノ瀬瞬っていうの。」
「ふんふん。」
「普段は瞬ちゃんって呼んでるから、そう呼ぶね。で、瞬ちゃんっていうのは実は私の実家でお隣同士だっての。それで、瞬ちゃん家が引っ越してきた小学5年から中学3年までは、親しくしてたんだ。」
「そうなんだ。」
「その頃私が好きだったのは、瞬ちゃんの弟で私と同い年の直だったの。それは瞬ちゃんも知っていて、私の事を応援してくれてたんだ。」
「ふうん。」
「でも、結局直は他の女の子と付き合っちゃって、私は告白すらしないまま失恋しちゃったの。」
「そう。」
「でね、中一の頃ね、瞬ちゃんが私の家庭教師をしてくれてたの。その頃はもう直に対する気持ちがMAXで、色々と瞬ちゃんに相談に乗ってもらってたの。一ノ瀬家はみんな美形で高身長で頭も良くて運動神経もいいっていう、モテの王道みたいな人たちだったから、直も当然人気者だったから、私もあせってたの。」
「へえ。」
「それで、あるときから、家庭教師の勉強の後に瞬ちゃんからの提案で、恋愛のレッスンを受けることになって…。」
「恋愛のレッスン?」
真由の目がキラリと輝いた。出来ればこの話はしたくない。でも、これが今の自分の中でネックになっているような気がうっすらだけどしている。
「その、私が直を落とすためのテクニック的なものなんだけど。キスとか、ちょっと胸を触られたりとかその程度なんだけど。」
「え、ええーっ、ちょ、ちょっと待って、すごいのぶち込んで来るね。その時沙耶ってまだ中一だったんでしょ?テクニックのレッスンっていうけど、その瞬ちゃんがそうしたかっただけじゃないの?」
そんな風に言われると、瞬ちゃんを冒とくされている様な気がして嫌な気持ちになる。
「それはないと思う。瞬ちゃんもすっごくモテてたし、現に、そういう現場も学校で見たことあるし。そういう相手に不自由してたってことはないと思うから。」
「それにしてもな~、お隣のしかも中一の女の子にそんなことするなんて、ちょっと考えられないな。まあ、アニメの設定なら小学生とかでもあるから、私的にはアリだけど。現実的に考えると、ちょっと抵抗あるな~。それに、沙耶はそんなことされて嫌じゃなかったの?」
「う~ん、そのとき好きだったのは直だったから、瞬ちゃんにそうゆうことされて嬉しいとかは無かったけど、すごく嫌だったわけでもないかな。っていうかひたすら瞬ちゃんの言うことを信じてたんだと思う。」
自分のことだから分からなくなっているだけで、たしかに今中一の女の子がそんな目にあっているとしたら、ちょっと待てと言うと思う。
嘘か本当か分からないけれど(まだ疑っている)、瞬ちゃんは自分を好きだと言ってくれた。
おまけに、き、き、キスまでされてしまった。もう、自分で考えても何が何だか分からない。
誰か相談できる人は…。
沙耶は数少ない友人を思い浮かべてみる。
日奈子は口が軽いからダメ、さおりは世話好きだけどノリが軽いからダメ、となると残るは真由しかいない。
アニメオタクの真由に恋愛経験があるのか怪しいけれど、今頼れるのは真由しかいない。
沙耶は一縷の望みをかけて真由に電話をかけてみた。
4コール、5コール、中々出ないな…。
アニメのイベントがある休日以外はインドア派の真由だから家にいると思うんだけど。
8コール目でようやくつながった。
「もしもし、真由?今時間ある?」
「ああ、ちょっと待って、今、アニメのDVD見てたからちょっと止めるね。」
「うん、ごめんね。」
「お待たせ~。何々、どうした電話なんてめずらしいね。」
「あのね、ちょっと相談したいことがあって。」
「うんうん。」
「率直に言うと恋愛相談なんだけど。」
「うへえ、まじ?何で私に?」
真由がそう言うのも無理はない。なぜなら、真由は沙耶と同じく彼氏いない歴=年齢の人なのだから。
「他にもっと適任の人いるでしょう。」
「う~ん、でも、いろいろ考えた末、やっぱ真由に相談したかったんだ。」
「そ、そう?私の場合アニメの中の恋愛と、自分の妄想になっちゃうけどそれでいい?」
それがベストとは沙耶も思わないけど、とりあえずの最善だ。
「私も恋愛に関してはホントに無知だから、もういくら考えても分からなくってほとほと疲れちゃった。だから、よろしくお願いします。」
「わかった。それで、どういうことで困ってるの?」
そう聞かれて、沙耶はハタと答えにつまる。あまりに話が長すぎて、電話で話せる容量ではない気がしてきたのだ。
「ねえ、今気づいたんだけど、話がね…、すっごく長くなるんだ。それで、もし迷惑じゃなかったら私これから真由んち行ってもいいかな?」
突然恋愛相談を持ち掛けておいて、更に一度も訪ねたことのないお家にまで押しかけようとしている。
迷惑至極だと思うのだけれど、背に腹は代えられない。
そんな風に気を揉んでいる沙耶とは真逆に、真由は至って普通に答えた。
「オッケー、じゃあ、住所教えるから待ってるね~。」
そんないきさつで、沙耶は今真由の部屋にいる。
さすがアニメオタクを自負するだけのことはあり、部屋はアニメのポスターやグッズで埋め尽くされていた。
こういう部屋に入るのは初めてで、沙耶には新鮮だった。
でも、今はそんなことに関心している場合ではない。
真由は飲み物とコップを丸テーブルに用意して、聞く気満々で沙耶が話始めるのを待っている。
「えっと、まず、どこから話そうか。」
「今一番困ってることから!」
「そ、そうだね。えっと、私気になってる人がいてね、同じ大学の法学部の3年生で同じワンゲル部の人なんだ。一ノ瀬瞬っていうの。」
「ふんふん。」
「普段は瞬ちゃんって呼んでるから、そう呼ぶね。で、瞬ちゃんっていうのは実は私の実家でお隣同士だっての。それで、瞬ちゃん家が引っ越してきた小学5年から中学3年までは、親しくしてたんだ。」
「そうなんだ。」
「その頃私が好きだったのは、瞬ちゃんの弟で私と同い年の直だったの。それは瞬ちゃんも知っていて、私の事を応援してくれてたんだ。」
「ふうん。」
「でも、結局直は他の女の子と付き合っちゃって、私は告白すらしないまま失恋しちゃったの。」
「そう。」
「でね、中一の頃ね、瞬ちゃんが私の家庭教師をしてくれてたの。その頃はもう直に対する気持ちがMAXで、色々と瞬ちゃんに相談に乗ってもらってたの。一ノ瀬家はみんな美形で高身長で頭も良くて運動神経もいいっていう、モテの王道みたいな人たちだったから、直も当然人気者だったから、私もあせってたの。」
「へえ。」
「それで、あるときから、家庭教師の勉強の後に瞬ちゃんからの提案で、恋愛のレッスンを受けることになって…。」
「恋愛のレッスン?」
真由の目がキラリと輝いた。出来ればこの話はしたくない。でも、これが今の自分の中でネックになっているような気がうっすらだけどしている。
「その、私が直を落とすためのテクニック的なものなんだけど。キスとか、ちょっと胸を触られたりとかその程度なんだけど。」
「え、ええーっ、ちょ、ちょっと待って、すごいのぶち込んで来るね。その時沙耶ってまだ中一だったんでしょ?テクニックのレッスンっていうけど、その瞬ちゃんがそうしたかっただけじゃないの?」
そんな風に言われると、瞬ちゃんを冒とくされている様な気がして嫌な気持ちになる。
「それはないと思う。瞬ちゃんもすっごくモテてたし、現に、そういう現場も学校で見たことあるし。そういう相手に不自由してたってことはないと思うから。」
「それにしてもな~、お隣のしかも中一の女の子にそんなことするなんて、ちょっと考えられないな。まあ、アニメの設定なら小学生とかでもあるから、私的にはアリだけど。現実的に考えると、ちょっと抵抗あるな~。それに、沙耶はそんなことされて嫌じゃなかったの?」
「う~ん、そのとき好きだったのは直だったから、瞬ちゃんにそうゆうことされて嬉しいとかは無かったけど、すごく嫌だったわけでもないかな。っていうかひたすら瞬ちゃんの言うことを信じてたんだと思う。」
自分のことだから分からなくなっているだけで、たしかに今中一の女の子がそんな目にあっているとしたら、ちょっと待てと言うと思う。
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