45 / 86
ケダモノのように愛して.45
しおりを挟む
「な、な、なんだ??」
「もう、行かないとって言ってるでしょ。そんなんで、本当に私のこと守れるの!」
「わ、分かったよ。そんなに怒らなくてもいいだろう。大体お前が可愛いからいけないんだぞ」
どんな理由だと突っ込むのを我慢して、咲那は戸締りをすると自転車にまたがった。
桔平はギリギリ咲那の姿が見える距離から後を追った。
銀次と仲間たちはあらかじめアトリエに待機してもらっている。
咲那は桔平の家に到着するといつもの様にアトリエの前に自転車を停めた。
そして二階への外階段に向かおうと歩き始めた瞬間、昨日の軽自動車が桔平の家の庭にすごいスピードで突っ込んできた。
キキ――ッという凄い音とともに車は停まった。
帽子を目深にかぶっているため顔は確認できないけれど、中から出てきたのはやはり水谷らしい人物だった。
そしてそのまま駆け出すと、二階の階段を駆け上がろうとした咲那の腕を掴んだ。
その瞬間、アトリエから銀次を筆頭に総勢十人の大男たちが一斉に飛び出し、水谷に掴みかかった。
そして、あっという間に消防士の刈谷さんが鮮やかな紐さばきで水谷をグルグル巻きにしてしまった。
終わってみれば驚くほどあっけない捕物となった。
しかし、だれもケガひとつせず、水谷を捕まえることが出来たのだ。
「やったな、銀次」
バイクを停めて桔平がやって来た。
「咲那、大丈夫か」
桔平は咲那の手を取ると、体のあちこちをざっとチェックした。
「うん、平気」
一瞬腕を強く掴まれただけで、どこもケガなどしていない。
「早くまりあさんに連絡してあげな」
「うん、分かった」
咲那は慌ててスマホを取り出すとまりあに電話をした。
電話の向こうからは涙声のまりあの声がが聞こえてきた。
相当心配をかけてしまったことに改めて気づかされる。
「ほら、水谷くん、これから銀次のところへ連れてくからな」
そう言われても、さるぐつわをはめられた水谷くんは何も答えることは出来ないのだけれど。
男たちは水谷くんを軽々と車の後部座席に運び込むと、それぞれ車に乗り込んだ。
みんなで銀次の店に行って事情を説明するつもりだ。
「咲那も来い」
桔平は咲那にヘルメットを渡すとバイクの後ろに乗るよう促した。
え、桔平の後ろ?
ヤバい、嬉しすぎるかも…。
たった今、水谷くんとのすったもんだがあったばかりなのに、咲那の頭の中はすっかり色ボケモードに変換されてしまった。
彼氏に後ろから抱きついてバイクに乗るのとか、めっちゃ憧れてた…。
それが桔平だなんて、もう正直水谷くんのことなんてどうでもいいと思ってしまう。
「こら、ボーっとしてないで早く乗れよ」
桔平はすでにバイクにまたがってエンジンをふかしている。
「もう、行かないとって言ってるでしょ。そんなんで、本当に私のこと守れるの!」
「わ、分かったよ。そんなに怒らなくてもいいだろう。大体お前が可愛いからいけないんだぞ」
どんな理由だと突っ込むのを我慢して、咲那は戸締りをすると自転車にまたがった。
桔平はギリギリ咲那の姿が見える距離から後を追った。
銀次と仲間たちはあらかじめアトリエに待機してもらっている。
咲那は桔平の家に到着するといつもの様にアトリエの前に自転車を停めた。
そして二階への外階段に向かおうと歩き始めた瞬間、昨日の軽自動車が桔平の家の庭にすごいスピードで突っ込んできた。
キキ――ッという凄い音とともに車は停まった。
帽子を目深にかぶっているため顔は確認できないけれど、中から出てきたのはやはり水谷らしい人物だった。
そしてそのまま駆け出すと、二階の階段を駆け上がろうとした咲那の腕を掴んだ。
その瞬間、アトリエから銀次を筆頭に総勢十人の大男たちが一斉に飛び出し、水谷に掴みかかった。
そして、あっという間に消防士の刈谷さんが鮮やかな紐さばきで水谷をグルグル巻きにしてしまった。
終わってみれば驚くほどあっけない捕物となった。
しかし、だれもケガひとつせず、水谷を捕まえることが出来たのだ。
「やったな、銀次」
バイクを停めて桔平がやって来た。
「咲那、大丈夫か」
桔平は咲那の手を取ると、体のあちこちをざっとチェックした。
「うん、平気」
一瞬腕を強く掴まれただけで、どこもケガなどしていない。
「早くまりあさんに連絡してあげな」
「うん、分かった」
咲那は慌ててスマホを取り出すとまりあに電話をした。
電話の向こうからは涙声のまりあの声がが聞こえてきた。
相当心配をかけてしまったことに改めて気づかされる。
「ほら、水谷くん、これから銀次のところへ連れてくからな」
そう言われても、さるぐつわをはめられた水谷くんは何も答えることは出来ないのだけれど。
男たちは水谷くんを軽々と車の後部座席に運び込むと、それぞれ車に乗り込んだ。
みんなで銀次の店に行って事情を説明するつもりだ。
「咲那も来い」
桔平は咲那にヘルメットを渡すとバイクの後ろに乗るよう促した。
え、桔平の後ろ?
ヤバい、嬉しすぎるかも…。
たった今、水谷くんとのすったもんだがあったばかりなのに、咲那の頭の中はすっかり色ボケモードに変換されてしまった。
彼氏に後ろから抱きついてバイクに乗るのとか、めっちゃ憧れてた…。
それが桔平だなんて、もう正直水谷くんのことなんてどうでもいいと思ってしまう。
「こら、ボーっとしてないで早く乗れよ」
桔平はすでにバイクにまたがってエンジンをふかしている。
0
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
秘密 〜官能短編集〜
槙璃人
恋愛
不定期に更新していく官能小説です。
まだまだ下手なので優しい目で見てくれればうれしいです。
小さなことでもいいので感想くれたら喜びます。
こここうしたらいいんじゃない?などもお願いします。
【R18完結】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
見知らぬ男に監禁されています
月鳴
恋愛
悪夢はある日突然訪れた。どこにでもいるような普通の女子大生だった私は、見知らぬ男に攫われ、その日から人生が一転する。
――どうしてこんなことになったのだろう。その問いに答えるものは誰もいない。
メリバ風味のバッドエンドです。
2023.3.31 ifストーリー追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる