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ケダモノのように愛して.18
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「あ~うまかった」
桔平は今度は床に寝っ転がった。
「桔平、まだ仕事するんでしょ」
咲那はまだ食べきっていない天津飯をれんげですくいながら尋ねた。
「う~んどうしよっかな。腹いっぱいになったら眠たくなってきた。ひと眠りしてからにするかな」
桔平はあくびをすると本格的に寝る体勢に入った。
「ちょっと、またうたた寝?風邪ひくからダメだよ」
咲那がとめてもどうせ聞く耳などないことは分かっている。
ただそれでも咲那は桔平の世話を焼けるだけで嬉しかった。
それは桔平の近い場所に自分がいることを実感できる行為だから…。
案の定、桔平は小さないびきをかきながら眠りはじめた。
仕方ないな…。
咲那は寝室からタオルケットを引っ張り出してくると桔平の体に掛けた。
不精髭を生やした桔平の無防備な寝顔を見ていると無性にキスがしたくなる。
眠っているから分からないだろう。
来週まで会えないんだし。
キスくらいしないと持たない…。
咲那は心の中で勝手な言い訳を作った。
眠っている桔平の顔に自分の顔を近づけた。
いびきは治まり、すでに気持ちよさそうな寝息を立てている。
咲那は桔平の唇に自分の唇をそっと重ねた。
と、その途端眠っているはずの桔平の目が開いた。
「発情期か」
「ち、ちがっ…」
否定してももう遅い。
自分からキスしておいて何の言い訳ができるだろう。
「だって来週まで会えないから…」
ダメだ、こんなこと言ったら。
桔平はこういう束縛するような女は大嫌いなのだから…。
「だからセックスしたいってか?」
「ち、違うよ。キスしたかっただけ」
「どうだか」
心の中を見透かされているようで咲那は二の句が継げない。
「してやってもいいぜ」
「い、いいよ。眠いんでしょ、おやすみ」
咲那は恥ずかしくて恥ずかしくて、もう逃げることしか頭にない。
「待てよ」
桔平は咲那の腕をつかんだ。
しかし咲那は桔平の手を全力で振り払うと玄関を飛び出した。
きっと面倒くさい女だと思われた…。
嫌われちゃう…。
咲那の頭の中はそんな思いでいっぱいだった。
「何だあいつは?訳わっかんねえな~」
桔平はすっかり目が覚めてしまったけれど、もう一度床に寝っ転がるとタオルケットにくるまって目を閉じた。
家についても当然誰もいない…。
玄関の明かりをつけ、部屋の明かりをつけてもひとりぼっちであることに変わりない。
あんなことしなければ今頃はまだ桔平のそばにいられたのに…。
桔平は今度は床に寝っ転がった。
「桔平、まだ仕事するんでしょ」
咲那はまだ食べきっていない天津飯をれんげですくいながら尋ねた。
「う~んどうしよっかな。腹いっぱいになったら眠たくなってきた。ひと眠りしてからにするかな」
桔平はあくびをすると本格的に寝る体勢に入った。
「ちょっと、またうたた寝?風邪ひくからダメだよ」
咲那がとめてもどうせ聞く耳などないことは分かっている。
ただそれでも咲那は桔平の世話を焼けるだけで嬉しかった。
それは桔平の近い場所に自分がいることを実感できる行為だから…。
案の定、桔平は小さないびきをかきながら眠りはじめた。
仕方ないな…。
咲那は寝室からタオルケットを引っ張り出してくると桔平の体に掛けた。
不精髭を生やした桔平の無防備な寝顔を見ていると無性にキスがしたくなる。
眠っているから分からないだろう。
来週まで会えないんだし。
キスくらいしないと持たない…。
咲那は心の中で勝手な言い訳を作った。
眠っている桔平の顔に自分の顔を近づけた。
いびきは治まり、すでに気持ちよさそうな寝息を立てている。
咲那は桔平の唇に自分の唇をそっと重ねた。
と、その途端眠っているはずの桔平の目が開いた。
「発情期か」
「ち、ちがっ…」
否定してももう遅い。
自分からキスしておいて何の言い訳ができるだろう。
「だって来週まで会えないから…」
ダメだ、こんなこと言ったら。
桔平はこういう束縛するような女は大嫌いなのだから…。
「だからセックスしたいってか?」
「ち、違うよ。キスしたかっただけ」
「どうだか」
心の中を見透かされているようで咲那は二の句が継げない。
「してやってもいいぜ」
「い、いいよ。眠いんでしょ、おやすみ」
咲那は恥ずかしくて恥ずかしくて、もう逃げることしか頭にない。
「待てよ」
桔平は咲那の腕をつかんだ。
しかし咲那は桔平の手を全力で振り払うと玄関を飛び出した。
きっと面倒くさい女だと思われた…。
嫌われちゃう…。
咲那の頭の中はそんな思いでいっぱいだった。
「何だあいつは?訳わっかんねえな~」
桔平はすっかり目が覚めてしまったけれど、もう一度床に寝っ転がるとタオルケットにくるまって目を閉じた。
家についても当然誰もいない…。
玄関の明かりをつけ、部屋の明かりをつけてもひとりぼっちであることに変わりない。
あんなことしなければ今頃はまだ桔平のそばにいられたのに…。
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