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なりゆきで、君の体を調教中.28
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翌日からは、もう訓練の必要はなくなった。
しかし、真には別の試練が必要になった。
お互いの気持ちを確かめ合った二人が、毎日同じ屋根の下で夜を迎えるということは、羽目を外さないようにするという苦行が課されることになるのだ。
真はまだ教員の資格があるだけで、実際に仕事を始めるのはこれからなのだ。
いくら優菜と両想いになったとはいえ、恋愛にかまけているわけにはいかないのだ。
しかし、毎日目の前には無防備に肌を露出した、メイド口調のかわいい優菜がいて、自分のまわりをフワフワと行ったり来たりするのだ。
正常な若い男であれば、流されるのが自然だろう。
真は意思の強さは人一倍持っているという自信はある。
しかし、これは今まで生きてきた人生で一番の試練だと自分自身でも感じていた。
許されることなら朝から晩まで愛し合っていたいところを、お互い昼間は学校に行き、夜になれば、真は勉強、優菜はメイドのバイトへ行く毎日だ。
二人が顔を合わせるのは、朝と夜、そして、休日のお互いの予定が合う日だけだ。
優菜はこの状況をどう思っているのだろう。
男の自分だけが、こんなにも渇望しているのだろうか。
だとしたら、毎晩優菜を求めるのはうっとうしと思われるかもしれない。
二人が初めて体を合わせた日から、当然訓練をする必要はなくなった。
そして、きっかけが無くなったせいで、真は優菜とどう過ごせばいいのか頭を悩ませることになった。
何となくきっかけがないまま、もう一週間が過ぎた。
今日は土曜日、真は勉強会、優菜は昼からバイトが入っている。
しかし、それを除けば、平日とくらべたら、二人で過ごす時間は断然多い。
真の頭の中は、正直、勉強会どころではない。
もう、今すぐにでも優菜を抱いてしまいたい。
同じ屋根の下で一週間のお預けは辛すぎる。しかも、お互いの気持ちを確かめた直後だというのに。
「優菜ちゃん、もうそろそろ起きないと、バイト遅れるよ。」
目覚まし時計の音にも起きて来ない優菜を心配して、真は優菜を起こしに部屋へと入っていった。
「優菜ちゃん、優菜ちゃん。」
真は、布団の上から、優菜の体を揺すってみるものの、一向に起きる気配がない。
真はこのあと勉強会に行く予定だ。今起こさないと、そのまま出かけるのは気が気ではない。
しかし、なぜか優菜は返事もしない。
どこか具合でも悪いのかと、少し布団をめくり、優菜の顔を覗き込んだ。
すると、優菜の閉じた目からは涙がこぼれている。
「ど、どうしたの優菜ちゃん?なにかあったの?」
突然のことに驚いた真が尋ねても、優菜の返事はない。
「優菜ちゃん、どうしたのか教えて。どこか痛いの?それとも熱でもある?」
真は、優菜の額に手をあててみるが、熱くはない。
「優菜ちゃん、お願いだよ、僕にできることだったら何でもするから。ね、優菜ちゃん、どうしたのか教えて。」
すると優菜はやっと目を開いた。
「本当?先生。何でもしてくれるの?」
「うん、僕にできることなら。」
優菜は、真剣な眼差しで真を見つめたまま囁いた。
「抱いてください。」
「えっ、えーっ!!ゆ、優菜ちゃん、な、何言って…。」
真の反応に、優菜は、ふたたび布団の中に潜ると今度は声をあげて泣き始めた。
「ゆ、優菜ちゃん、やっぱり、なにかあったんでしょ。そうだよ、ぜったい。急にそんなこと言うなんて。僕にはなしてよ。」
しかし、優菜は一向に泣き止む気配はない。
真は困り果ててしまった。女心は難しいのだ。真の手には負えない。もう、これは降参だ。
「優菜ちゃん、ゴメン。僕、女の子の気持ちとかに鈍感で…。気づいてあげられなかった僕が悪いんだ。本当にごめん。優菜ちゃんを泣かすなんて、僕は馬鹿だ。本当にごめんなさい。」
真がそう言うと、優菜はガバッと布団から体を起こした。
「違う!先生は悪くない!優菜が、優菜が…。」
真は、その先の言葉を待った。
「優菜が…、きっと変態なんです。」
そう言って、優菜はまた大粒の涙を流した。
「ちょ、ちょっと、待って。どうして優菜ちゃんが変態なのかな?そのお話をしてくれると、先生、助かるなー。」
「だって、だって、優菜…。毎日…。」
「毎日?」
「毎日、先生と…。」
「毎日僕と?」
「え、え…。」
「え?」
「…。」
そこまで言うと、優菜は、布団に顔を埋めてしまった。
真は辛抱強く、次の言葉を待った。
3分、いや5分程まっただろうか、ようやく優菜は顔を上げた。そして、真剣な眼差しで言葉を続けた。
「先生と、毎日エッチがしたいって思っちゃうんです。」
そして再び布団に潜り込もうとする優菜の肩を、真はグッとつかんだ。
「優菜ちゃん、僕も一緒だよ。」
「えっ!」
「だから、優菜ちゃんが変態だったら、僕も変態だ。」
そう言うと、優菜はやっと笑った。
「それに、そう思うことは変態でも何でもないよ。」
「でも、先生、私に何にもしてこない。キスだって…。」
「そ、それは…。キスしたらさ、そこで止まらなくなっちゃって、お互い困るって思ったから必死で我慢してたんだよ。正直に言うべきだったのかな。僕も、その辺がうまくできなくて優菜ちゃんを不安にさせちゃったんだね。ゴメン。」
「ううん。先生は悪くないから、謝らないで。」
「ところでさ、僕もまじめすぎる自分がちょっと嫌になってたところなんだ。優菜ちゃん、今日のバイトって休めるかな?」
「えっ、今から電話入れれば、休めますけど…。」
「今日は一日中愛し合いたいって言ったら怒る?」
真らしからぬ申し出に、優菜はドギマギしつつも、拒む理由はない。
「先生、うれしい。」
「じゃあ、決まり。」
その後、二人は呆れるほど何度も体を交わし、一週間の間に出来てしまった溝を埋めたのだった。
月日はあっという間に流れ、真は晴れて教師になり新しい赴任先で毎日奮闘中だ。
優菜も、引越しとともに新しいメイドカフェに職場を変え、いずれは自分の店を持つという夢のためにイキイキと働いている。
根が真面目な真は、優菜の両親にも自分の両親にも本当のことを隠しておくことが出来ず、結局、結婚を前提に付き合っていることを打ち明けた。
優菜の両親の反応はある程度予想できたが、自分の両親はどちらかと言えば頭が堅いと思っていたため、反対されることを覚悟していたのだが、女っ気のなかった真にこんな若くて綺麗な彼女がいるなんてと、想像に反して大歓迎されてしまい、真の方が驚かされる始末だった。
そんなわけで、二人は晴れて同居生活を満喫しつつ、お互いの夢に向かって幸せな日々を送っているのでした。
しかし、真には別の試練が必要になった。
お互いの気持ちを確かめ合った二人が、毎日同じ屋根の下で夜を迎えるということは、羽目を外さないようにするという苦行が課されることになるのだ。
真はまだ教員の資格があるだけで、実際に仕事を始めるのはこれからなのだ。
いくら優菜と両想いになったとはいえ、恋愛にかまけているわけにはいかないのだ。
しかし、毎日目の前には無防備に肌を露出した、メイド口調のかわいい優菜がいて、自分のまわりをフワフワと行ったり来たりするのだ。
正常な若い男であれば、流されるのが自然だろう。
真は意思の強さは人一倍持っているという自信はある。
しかし、これは今まで生きてきた人生で一番の試練だと自分自身でも感じていた。
許されることなら朝から晩まで愛し合っていたいところを、お互い昼間は学校に行き、夜になれば、真は勉強、優菜はメイドのバイトへ行く毎日だ。
二人が顔を合わせるのは、朝と夜、そして、休日のお互いの予定が合う日だけだ。
優菜はこの状況をどう思っているのだろう。
男の自分だけが、こんなにも渇望しているのだろうか。
だとしたら、毎晩優菜を求めるのはうっとうしと思われるかもしれない。
二人が初めて体を合わせた日から、当然訓練をする必要はなくなった。
そして、きっかけが無くなったせいで、真は優菜とどう過ごせばいいのか頭を悩ませることになった。
何となくきっかけがないまま、もう一週間が過ぎた。
今日は土曜日、真は勉強会、優菜は昼からバイトが入っている。
しかし、それを除けば、平日とくらべたら、二人で過ごす時間は断然多い。
真の頭の中は、正直、勉強会どころではない。
もう、今すぐにでも優菜を抱いてしまいたい。
同じ屋根の下で一週間のお預けは辛すぎる。しかも、お互いの気持ちを確かめた直後だというのに。
「優菜ちゃん、もうそろそろ起きないと、バイト遅れるよ。」
目覚まし時計の音にも起きて来ない優菜を心配して、真は優菜を起こしに部屋へと入っていった。
「優菜ちゃん、優菜ちゃん。」
真は、布団の上から、優菜の体を揺すってみるものの、一向に起きる気配がない。
真はこのあと勉強会に行く予定だ。今起こさないと、そのまま出かけるのは気が気ではない。
しかし、なぜか優菜は返事もしない。
どこか具合でも悪いのかと、少し布団をめくり、優菜の顔を覗き込んだ。
すると、優菜の閉じた目からは涙がこぼれている。
「ど、どうしたの優菜ちゃん?なにかあったの?」
突然のことに驚いた真が尋ねても、優菜の返事はない。
「優菜ちゃん、どうしたのか教えて。どこか痛いの?それとも熱でもある?」
真は、優菜の額に手をあててみるが、熱くはない。
「優菜ちゃん、お願いだよ、僕にできることだったら何でもするから。ね、優菜ちゃん、どうしたのか教えて。」
すると優菜はやっと目を開いた。
「本当?先生。何でもしてくれるの?」
「うん、僕にできることなら。」
優菜は、真剣な眼差しで真を見つめたまま囁いた。
「抱いてください。」
「えっ、えーっ!!ゆ、優菜ちゃん、な、何言って…。」
真の反応に、優菜は、ふたたび布団の中に潜ると今度は声をあげて泣き始めた。
「ゆ、優菜ちゃん、やっぱり、なにかあったんでしょ。そうだよ、ぜったい。急にそんなこと言うなんて。僕にはなしてよ。」
しかし、優菜は一向に泣き止む気配はない。
真は困り果ててしまった。女心は難しいのだ。真の手には負えない。もう、これは降参だ。
「優菜ちゃん、ゴメン。僕、女の子の気持ちとかに鈍感で…。気づいてあげられなかった僕が悪いんだ。本当にごめん。優菜ちゃんを泣かすなんて、僕は馬鹿だ。本当にごめんなさい。」
真がそう言うと、優菜はガバッと布団から体を起こした。
「違う!先生は悪くない!優菜が、優菜が…。」
真は、その先の言葉を待った。
「優菜が…、きっと変態なんです。」
そう言って、優菜はまた大粒の涙を流した。
「ちょ、ちょっと、待って。どうして優菜ちゃんが変態なのかな?そのお話をしてくれると、先生、助かるなー。」
「だって、だって、優菜…。毎日…。」
「毎日?」
「毎日、先生と…。」
「毎日僕と?」
「え、え…。」
「え?」
「…。」
そこまで言うと、優菜は、布団に顔を埋めてしまった。
真は辛抱強く、次の言葉を待った。
3分、いや5分程まっただろうか、ようやく優菜は顔を上げた。そして、真剣な眼差しで言葉を続けた。
「先生と、毎日エッチがしたいって思っちゃうんです。」
そして再び布団に潜り込もうとする優菜の肩を、真はグッとつかんだ。
「優菜ちゃん、僕も一緒だよ。」
「えっ!」
「だから、優菜ちゃんが変態だったら、僕も変態だ。」
そう言うと、優菜はやっと笑った。
「それに、そう思うことは変態でも何でもないよ。」
「でも、先生、私に何にもしてこない。キスだって…。」
「そ、それは…。キスしたらさ、そこで止まらなくなっちゃって、お互い困るって思ったから必死で我慢してたんだよ。正直に言うべきだったのかな。僕も、その辺がうまくできなくて優菜ちゃんを不安にさせちゃったんだね。ゴメン。」
「ううん。先生は悪くないから、謝らないで。」
「ところでさ、僕もまじめすぎる自分がちょっと嫌になってたところなんだ。優菜ちゃん、今日のバイトって休めるかな?」
「えっ、今から電話入れれば、休めますけど…。」
「今日は一日中愛し合いたいって言ったら怒る?」
真らしからぬ申し出に、優菜はドギマギしつつも、拒む理由はない。
「先生、うれしい。」
「じゃあ、決まり。」
その後、二人は呆れるほど何度も体を交わし、一週間の間に出来てしまった溝を埋めたのだった。
月日はあっという間に流れ、真は晴れて教師になり新しい赴任先で毎日奮闘中だ。
優菜も、引越しとともに新しいメイドカフェに職場を変え、いずれは自分の店を持つという夢のためにイキイキと働いている。
根が真面目な真は、優菜の両親にも自分の両親にも本当のことを隠しておくことが出来ず、結局、結婚を前提に付き合っていることを打ち明けた。
優菜の両親の反応はある程度予想できたが、自分の両親はどちらかと言えば頭が堅いと思っていたため、反対されることを覚悟していたのだが、女っ気のなかった真にこんな若くて綺麗な彼女がいるなんてと、想像に反して大歓迎されてしまい、真の方が驚かされる始末だった。
そんなわけで、二人は晴れて同居生活を満喫しつつ、お互いの夢に向かって幸せな日々を送っているのでした。
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