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なりゆきで、君の体を調教中.06

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 優菜からの連絡は一週間を待たずやってくる。

 真は卒論に追われ、かなり忙しい日々を送っていたが、優菜のところには必ず行くようにしていた。

 今日も優菜から連絡があり、真はいそいそと出かける準備をしていた。

 しかし、さあ出かけようとしたまさにその瞬間、友人の黒澤誠司から電話が入る。

 彼は同じ教育学部で親しくしている友人のひとりだった。

「真、今日、これから佐々木先生の食事会があるんだけど、急に決まったもんだから、お前知らないだろうと思って連絡したんだ。出られそうか?」

 佐々木先生は真たちが入っている世界の教育研究会というゼミの教授なのだが、かなりの高齢のため今月でゼミは終了することになったのだ。

 他の大学の先生との交流もあり、そちらとの付き合いもあって忙しくなることを考えて、学生たちは早めに送別会を開こうとしたのだろう。

 真は佐々木先生にはとても気に入られて、可愛がってもらった。色んなことを学ばせてもらった尊敬できる先生だ。

 そんな先生の送別会に出ないわけにはいかない。真はどんなに遅くなっても優菜のところには行く心づもりで、送別会に行くことをOKした。

 そして、優菜には事情を話し、遅くなるけれど必ず行くと伝えた。

「優菜ちゃん、寂しいかもしれないけど、我慢するんだよ。」

「わ、わかりました…。頑張ってみます…。」

 優菜の声は力が無く、とても頼りないものだった。真はそれがもの凄く気がかりだったが、数時間後には会えるのだからと、無理やり自分を納得させた。


 佐々木先生を囲んだ送別会は、笑いあり涙ありで楽しく行われた。

 真は、佐々木先生との別れの席であるにも関わらず、優菜の事が気になって仕方が無かった。

 何故だか嫌な予感がしているのだ。先生との別れを惜しみつつも、真は会が終わると一目散に優菜の家へと向かった。

 真が優菜のアパートの階段の手すりに手を掛けた瞬間、優菜の部屋から、キャアーッという悲鳴が聞こえてきた。

 真は急いで階段を駆け上がると、つい最近、優菜から渡してもらえた合鍵を使って部屋の中に入った。

「こらっ、お前、優菜を離せ!」

 真は、優菜に馬乗りになっている男を、力いっぱい引き剥がした。

「な、なんだよお前!」

 その男は、まだ20歳にもなっていないであろう、若い男だった。

 しかも、どうも優菜のメイドカフェで見たことがあるような気がする。

 その容姿は、お世辞にも女性にもてるタイプではなく、地味なオタクっぽい服装の冴えない男だった。

「俺は、優菜の保護者だ。今すぐその手を離してここから出ていけ!さもないと、警察を呼ぶぞ!」

 真は、自分にもこんな声が出るのかと思うほど、ドスのきいた声で叫んでいた。

「す、すみませんでしたー。」

 その男は、そう言い残すと、靴をひっかけて、玄関から飛び出して行った。

 その間、優菜は真の余りの権幕と、その男に襲われたことの恐怖でブルブルと震えていた。

 真は、男が去ったことを玄関から確認すると、キチッと施錠した。そして、優菜のところに駆け寄ると、彼女の肩をゆすった。

「優菜ちゃん、優菜ちゃん、もう大丈夫だから。遅くなってごめんよ。」

 やっと真の声が届いたのか、優菜の目からは大粒の涙が溢れた。

「先生、怖かったよ~。」

「よしよし、もう大丈夫だからな。ちょっと待ってな、何か飲み物持ってくるから。」

 真が持ってきたお茶を飲み、優菜はいくらか落ち着きを取り戻した様だ。

 優菜の様子を見計らって、真は聞きたかった質問をした。

「優菜ちゃん、さっきの男はどうしてこの部屋に入って来ちゃったの?」

 そう質問された優菜は、肩をビクッと震わせる。

「えーっと、どうしても言わないとダメ?」

「ダメです!」

 真は、怒りのあまり、いつの間にか腰に手を置いて仁王立ちになっていた。

「今日のバイトで仲良くなったお客さんなんだけど、先生が来るまで一人でいるのに耐えられなくて、つい誘っちゃった…。」

 真は、優菜の余りのこらえ性のなさに、しばし唖然とした。

 あんなに、危ないからと念を押したのに。こういうことが無いように、優菜が会いたいと言えば、必ず飛んできていたというのに。

 たった一度、しかも数時間遅れただけで、この有様だ。

 真は、これ以上一体どうフォローしたらいいのか途方に暮れそうになる。

 この問題は、そう簡単に解決しそうにないと考えた真は、家に帰ってからじっくりと考えることにした。

 取りあえずその日は、それ以上優菜を責めることはせず、静かに一つの布団で眠ったのだった。
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