56 / 106
御曹司のやんごとなき恋愛事情.56
しおりを挟む
得意なのか苦手なのかも分からず乗ったアトラクションは、優子には合わない代物だった。
俊介はもう一度乗りたかったけれど、どう見ても優子の顔色は二度とごめんだと言っている。
「優子、せっかくのデートなんだから、嫌だったらちゃんと言ってくれよ。俺、別にいじわるしたいわけじゃないんだからな」
「わ、分かってます・・・。ただ・・・、こういうものにはあまり乗ったことがなくて・・・、本当に分からなかったんです」
「そうか、そうだよな~。優子の人生にこういう場所似合わないもんな~」
じゃあ、なんで連れて来たのだと言いたかったが、俊介もバカではない。
ご婦人たちとバッティングしないようにと、色々と考えた末、ここを選んだのだろう。
「まあ、園内を散歩するだけでも、俺は十分楽しいんだけど」
俊介はそう言って、優子の手を握った。
その横顔が本当に嬉しそうで、優子は思わず泣きそうになってしまう。
こんなに拒絶しているのに、まだ自分のことを求めてくれている・・・。
それだけでもったいないくらい幸せだ。
そのあとは、ショーを見たりクルーズ船に乗って楽しんだ。
「腹減ったな、そろそろ飯でも食うか」
「・・・はい」
園内のレストランに入り夕食をすませた。
「ナイトパレード見たら、ホテルに帰るか」
「はい・・・」
人目を気にしないで、俊介のそばにいられることが、こんなに幸せだなんて、思ってもみなかった。
俊介はいつも優子に優しくしてくれるけれど、それを全て拒絶しなければならない心境はいつも優子自身を苦しめる。
目の前をきらびやかな電飾をいっぱい輝かせて、パレードが通り過ぎて行く。
それを俊介と手を繋ぎながら見ていることに、優子は幸せすぎて怖くなる。
こんなことが普通だと思っちゃいけない・・・。
そして自分と坊ちゃんの人生に、もう二度とこんなことはないのだ・・・。
そう思えば思うほど、優子の中で強い感情がこみ上げてくる。
泣いたらダメ・・・。
坊ちゃんが変に思う・・・。
そう思っても、溢れてくる涙は止まってくれない。
俊介はきらびやかなパレードに夢中になっている。
このまま気づかないでいて欲しい・・・。
下手に手で拭えば、泣いていることがバレてしまう。
優子は、早く涙が止まって、自然に乾いてくれるのを願った。
「いやあ、なんか感動的だな」
俊介が突然、優子の方を振り向いた。
「どうした?優子・・・、泣いてる?」
慌てて涙を拭ったけれど、もう遅かった。
「い、いえ・・・ちょと目にゴミが入っただけです」
情けない言い訳だ・・・。
「優子・・・。俺、お前が口で何て言おうと、絶対に信じないからな。その・・・、伊波の野郎と一緒に暮らしてたって、お前のことは必ず俺のものにする。そう決めてるんだからな、分かったか」
あいかわらずこの人は無茶苦茶だ。
でも、そんなにも愛されているのかと思うと、それに甘えそうになる。
だけど、俊介は社長になる人間であることは、どこまで行っても変わることのない事実だ。
だから、どうあっても、自分がその隣に立つことは許されないのだ。
俊介はもう一度乗りたかったけれど、どう見ても優子の顔色は二度とごめんだと言っている。
「優子、せっかくのデートなんだから、嫌だったらちゃんと言ってくれよ。俺、別にいじわるしたいわけじゃないんだからな」
「わ、分かってます・・・。ただ・・・、こういうものにはあまり乗ったことがなくて・・・、本当に分からなかったんです」
「そうか、そうだよな~。優子の人生にこういう場所似合わないもんな~」
じゃあ、なんで連れて来たのだと言いたかったが、俊介もバカではない。
ご婦人たちとバッティングしないようにと、色々と考えた末、ここを選んだのだろう。
「まあ、園内を散歩するだけでも、俺は十分楽しいんだけど」
俊介はそう言って、優子の手を握った。
その横顔が本当に嬉しそうで、優子は思わず泣きそうになってしまう。
こんなに拒絶しているのに、まだ自分のことを求めてくれている・・・。
それだけでもったいないくらい幸せだ。
そのあとは、ショーを見たりクルーズ船に乗って楽しんだ。
「腹減ったな、そろそろ飯でも食うか」
「・・・はい」
園内のレストランに入り夕食をすませた。
「ナイトパレード見たら、ホテルに帰るか」
「はい・・・」
人目を気にしないで、俊介のそばにいられることが、こんなに幸せだなんて、思ってもみなかった。
俊介はいつも優子に優しくしてくれるけれど、それを全て拒絶しなければならない心境はいつも優子自身を苦しめる。
目の前をきらびやかな電飾をいっぱい輝かせて、パレードが通り過ぎて行く。
それを俊介と手を繋ぎながら見ていることに、優子は幸せすぎて怖くなる。
こんなことが普通だと思っちゃいけない・・・。
そして自分と坊ちゃんの人生に、もう二度とこんなことはないのだ・・・。
そう思えば思うほど、優子の中で強い感情がこみ上げてくる。
泣いたらダメ・・・。
坊ちゃんが変に思う・・・。
そう思っても、溢れてくる涙は止まってくれない。
俊介はきらびやかなパレードに夢中になっている。
このまま気づかないでいて欲しい・・・。
下手に手で拭えば、泣いていることがバレてしまう。
優子は、早く涙が止まって、自然に乾いてくれるのを願った。
「いやあ、なんか感動的だな」
俊介が突然、優子の方を振り向いた。
「どうした?優子・・・、泣いてる?」
慌てて涙を拭ったけれど、もう遅かった。
「い、いえ・・・ちょと目にゴミが入っただけです」
情けない言い訳だ・・・。
「優子・・・。俺、お前が口で何て言おうと、絶対に信じないからな。その・・・、伊波の野郎と一緒に暮らしてたって、お前のことは必ず俺のものにする。そう決めてるんだからな、分かったか」
あいかわらずこの人は無茶苦茶だ。
でも、そんなにも愛されているのかと思うと、それに甘えそうになる。
だけど、俊介は社長になる人間であることは、どこまで行っても変わることのない事実だ。
だから、どうあっても、自分がその隣に立つことは許されないのだ。
0
お気に入りに追加
210
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
秘密 〜官能短編集〜
槙璃人
恋愛
不定期に更新していく官能小説です。
まだまだ下手なので優しい目で見てくれればうれしいです。
小さなことでもいいので感想くれたら喜びます。
こここうしたらいいんじゃない?などもお願いします。
どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?
ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。
しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。
しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる