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御曹司のやんごとなき恋愛事情.15
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そのあとも、手早く綺麗に処理され、俊介は床屋に行った後の様にスッキリさっぱりしていた。
「こんな感じでよろしいでしょうか」
服を着て身だしなみを整えた栗本は俊介に答えを求める。
「あ、ああ・・・、結構だ」
確かに体はスッキリした。
いや、素直に結構よかったと言ってもいい。
ただ、そこには気持ちなど全く存在しなくて。
俊介の心は体とは反対に、余計にモヤモヤして・・・。
こんなことで、優子を求める自分の気持ちが埋まるはずなどないのに。
優子はそれを分かっていても、こんな指示したのだろうか。
ひどいな・・・、ひどいよ・・・優子。
俺のこと、本当はどう思ってたの?
そして今はどう思ってる?
永遠に問うことなど出来ないかもしれない問いを、俊介は心の中で繰り返していた。
「伊波君のマンションも私のマンションもワンルームでしょ?やっぱり一緒に住むのは無理ね」
「そうだな~、新しい物件探すか~」
優子は伊波との関係を深めるために、着々と行動を始めていた。
「ここなんかどう?どっちの会社からも同じ位の場所だし」
「うん、さっそく明日見に行ってみよう」
優子と伊波は同棲することに決まり、家探しの最中だった。
「しかし、優子の方から一緒に住もうなんて、正直今でもまだ信じられないよ」
「あら、嫌だったら止めてもいいのよ」
「そういうこと言ってるんじゃないよ」
伊波はうっかり機嫌を損ねられてはたまらないと慌てる。
優子は伊波の車でマンションの前まで送ってもらうと、キスをして別れた。
「優子!」
エントランスに向かおうとしたところで、後ろから声を掛けられた。
「坊ちゃん・・・」
優子は社外では昔の癖で俊介のことをこう呼んでしまう。
「あいつ、この間の男だよな!アメリカ帰りかなんか知らないけどキスなんてしやがって。俺が一発ぶん殴ってやる!」
「ちょ、ちょっと坊ちゃん、静かにしてください」
「じゃあ、部屋に入れろ!」
「まったく相変わらずですね」
俊介がこんな風に訪ねてくるのは想定内だ。
優子は俊介を部屋へ招き入れた。
「俺はお前に色々と聞きたいことがある!それに全部答えるまで帰らないからな!」
「そんなこと言って・・・」
相変わらず優子の前では駄々っ子の様な俊介に閉口する。
「まず、何で急に秘書を辞めたんだ!しかも黙って辞めるなんてどういうつもりだ」
「それは、社長にお聞きになったとおりです」
どうやら父からはすでに優子に連絡が行っているらしい。
「親父とはそうやってちゃんと連絡を取り合うくせに、どうして俺にはちゃんとしないんだ!」
「だからそれは・・・」
あなたがそんな風だからですよ・・・、とは言えない。
「こんな感じでよろしいでしょうか」
服を着て身だしなみを整えた栗本は俊介に答えを求める。
「あ、ああ・・・、結構だ」
確かに体はスッキリした。
いや、素直に結構よかったと言ってもいい。
ただ、そこには気持ちなど全く存在しなくて。
俊介の心は体とは反対に、余計にモヤモヤして・・・。
こんなことで、優子を求める自分の気持ちが埋まるはずなどないのに。
優子はそれを分かっていても、こんな指示したのだろうか。
ひどいな・・・、ひどいよ・・・優子。
俺のこと、本当はどう思ってたの?
そして今はどう思ってる?
永遠に問うことなど出来ないかもしれない問いを、俊介は心の中で繰り返していた。
「伊波君のマンションも私のマンションもワンルームでしょ?やっぱり一緒に住むのは無理ね」
「そうだな~、新しい物件探すか~」
優子は伊波との関係を深めるために、着々と行動を始めていた。
「ここなんかどう?どっちの会社からも同じ位の場所だし」
「うん、さっそく明日見に行ってみよう」
優子と伊波は同棲することに決まり、家探しの最中だった。
「しかし、優子の方から一緒に住もうなんて、正直今でもまだ信じられないよ」
「あら、嫌だったら止めてもいいのよ」
「そういうこと言ってるんじゃないよ」
伊波はうっかり機嫌を損ねられてはたまらないと慌てる。
優子は伊波の車でマンションの前まで送ってもらうと、キスをして別れた。
「優子!」
エントランスに向かおうとしたところで、後ろから声を掛けられた。
「坊ちゃん・・・」
優子は社外では昔の癖で俊介のことをこう呼んでしまう。
「あいつ、この間の男だよな!アメリカ帰りかなんか知らないけどキスなんてしやがって。俺が一発ぶん殴ってやる!」
「ちょ、ちょっと坊ちゃん、静かにしてください」
「じゃあ、部屋に入れろ!」
「まったく相変わらずですね」
俊介がこんな風に訪ねてくるのは想定内だ。
優子は俊介を部屋へ招き入れた。
「俺はお前に色々と聞きたいことがある!それに全部答えるまで帰らないからな!」
「そんなこと言って・・・」
相変わらず優子の前では駄々っ子の様な俊介に閉口する。
「まず、何で急に秘書を辞めたんだ!しかも黙って辞めるなんてどういうつもりだ」
「それは、社長にお聞きになったとおりです」
どうやら父からはすでに優子に連絡が行っているらしい。
「親父とはそうやってちゃんと連絡を取り合うくせに、どうして俺にはちゃんとしないんだ!」
「だからそれは・・・」
あなたがそんな風だからですよ・・・、とは言えない。
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