94 / 107
君に溺れてしまうのは僕だから.94
しおりを挟む
しかし、その合間にふっと夜のことが頭をよぎる。
このあいだ海に行った時は坂口とセックスをしてしまった。
だからきっと今日も坂口はそのつもりでいるだろう。
この間はOKで今日はNGと言ってもいいものだろうか。
生理だと嘘をつくこともできるけれど、何しろまだ一ヶ月弱あるのだから、本当に生理になったときのことを考えるとあまりうまい理由ではない。
ライブは十一時に終了予定だが、フェス自体が初めての伊織をさすがにその時間までつき合わせることはしなかった。
「そろそろ今夜泊まるホテルに引き上げようか」
「うん」
時刻は九時を回ったところだ。
「疲れた?」
「うん、ちょっと疲れた」
伊織は体力には自信があるけれど、慣れないことの連続でさすがに疲れを感じていた。
坂口はまだ疲れた表情は見られず、ラストまで行けそうな雰囲気だ。
「そっか、無理につきあわせちゃったな」
「ううん、ほんのちょっと疲れただけだから。楽しかったよ」
「そっか、じゃあよかった」
変に気を回しすぎたり、疑り深くないところが坂口のいいところだ。
だからといって気を使えないわけでもない。
人気者になるわけだと納得する。
二人はシャトルバスに乗って今夜宿泊するホテルへと向かった。
チェックインするまで聞きそびれていたのだが、部屋はいちおうダブルではなくツインベッドで取ってくれたようで一安心した。
だからと言ってセックスから逃れられるとは限らないのだけれど。
部屋に入り荷物を置くと、さらにどっと疲れが襲ってきた。
お風呂にも入らずこのまま眠ってしまいたい。
かなり汗をかいたにも関わらず、そんな風に思ってしまうくらい疲れていた。
「もう動きたくない…」
ソファに座った伊織は思わずそう呟いてしまった。
「なんだ?さっきはちょっと疲れただけって言ってたのに。テニス部のエースが情けないな」
「関係ないじゃん。人込みとか疲れるの」
「そっか。まあ、無理に連れてこられてるんだもんな。俺みたいにストレス発散できてるわけじゃなくて、逆に人が多すぎてストレスだったのか。てっきり誰でも楽しいもんだと思ってたよ。反省しないとな」
などと言っているその顔は大して深刻ではない。
「俺はせっかくだから大浴場行ってくるけど、村井は部屋のシャワー使ったら?なんなら俺が洗ってやろうか。この間みたいに」
「い、いいです!自分で洗えます」
伊織はもたもたしていると本当にそうなりそうだと思い、急いでバスルームに駆け込んだ。
「ひっでーな…、そんなに毛嫌いしなくてもいいのに」
坂口はブツブツ言いながら部屋を出ていった。
無理にでもシャワーを浴びて正解だった。
気がつかなかったけれど体中汗と土埃でひどく汚れていた。
このままベッドに入っていたらとんでもないことになっていただろう。
熱いシャワーを浴びて心も身体も少しシャキッとした。
このあいだ海に行った時は坂口とセックスをしてしまった。
だからきっと今日も坂口はそのつもりでいるだろう。
この間はOKで今日はNGと言ってもいいものだろうか。
生理だと嘘をつくこともできるけれど、何しろまだ一ヶ月弱あるのだから、本当に生理になったときのことを考えるとあまりうまい理由ではない。
ライブは十一時に終了予定だが、フェス自体が初めての伊織をさすがにその時間までつき合わせることはしなかった。
「そろそろ今夜泊まるホテルに引き上げようか」
「うん」
時刻は九時を回ったところだ。
「疲れた?」
「うん、ちょっと疲れた」
伊織は体力には自信があるけれど、慣れないことの連続でさすがに疲れを感じていた。
坂口はまだ疲れた表情は見られず、ラストまで行けそうな雰囲気だ。
「そっか、無理につきあわせちゃったな」
「ううん、ほんのちょっと疲れただけだから。楽しかったよ」
「そっか、じゃあよかった」
変に気を回しすぎたり、疑り深くないところが坂口のいいところだ。
だからといって気を使えないわけでもない。
人気者になるわけだと納得する。
二人はシャトルバスに乗って今夜宿泊するホテルへと向かった。
チェックインするまで聞きそびれていたのだが、部屋はいちおうダブルではなくツインベッドで取ってくれたようで一安心した。
だからと言ってセックスから逃れられるとは限らないのだけれど。
部屋に入り荷物を置くと、さらにどっと疲れが襲ってきた。
お風呂にも入らずこのまま眠ってしまいたい。
かなり汗をかいたにも関わらず、そんな風に思ってしまうくらい疲れていた。
「もう動きたくない…」
ソファに座った伊織は思わずそう呟いてしまった。
「なんだ?さっきはちょっと疲れただけって言ってたのに。テニス部のエースが情けないな」
「関係ないじゃん。人込みとか疲れるの」
「そっか。まあ、無理に連れてこられてるんだもんな。俺みたいにストレス発散できてるわけじゃなくて、逆に人が多すぎてストレスだったのか。てっきり誰でも楽しいもんだと思ってたよ。反省しないとな」
などと言っているその顔は大して深刻ではない。
「俺はせっかくだから大浴場行ってくるけど、村井は部屋のシャワー使ったら?なんなら俺が洗ってやろうか。この間みたいに」
「い、いいです!自分で洗えます」
伊織はもたもたしていると本当にそうなりそうだと思い、急いでバスルームに駆け込んだ。
「ひっでーな…、そんなに毛嫌いしなくてもいいのに」
坂口はブツブツ言いながら部屋を出ていった。
無理にでもシャワーを浴びて正解だった。
気がつかなかったけれど体中汗と土埃でひどく汚れていた。
このままベッドに入っていたらとんでもないことになっていただろう。
熱いシャワーを浴びて心も身体も少しシャキッとした。
0
お気に入りに追加
207
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる