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君に溺れてしまうのは僕だから.76

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「伊織…」

 武彦は交わったまま伊織の身体をギュッと強く抱きしめた。

 気が緩んだのだろうか、伊織のお腹が急にぐぅ~っと鳴った。

「なんだ、やっぱりお腹がすいてるんじゃないか」

 武彦は笑いながら言った。

「さっきまでは本当にすいてなかったんです!」

 伊織は顔を真っ赤にした。

「ルームサービスをとってやろう」

「はい…」



 せっかくいい雰囲気だったのに、すっかり台無しになってしまった。

 でも武彦は楽しそうに微笑んでいる。

 それだけでも伊織は自分の気持ちを素直に出せたことに満足していた。

 今はまだ坂口君のことは打ち明けられないけれど、おじさまは信じてくれると言ってくれた。

 そんな言葉が聞けただけでも、この旅行に来た意味は十分あったといえる。

 武彦はガウンを羽織るとフロントに電話をかけた。

 運ばれてきたルームサービスを食べて、その日は旅行に来て初めてゆっくりと深い眠りに就くことが出来た。



 動物園は伊織のためにと武彦が選んでくれた場所だ。

 どう考えても武彦の好む場所ではない。

 しかし全国的に人気があるスポットなだけあって、大人も十分楽しめる工夫がしてあり、伊織は武彦に気を使うことなく楽しむことが出来た。

 そんなふうにして、三泊四日の旅行はあっという間に終わりを迎えた。

 明日は朝食を取ったらそのまま帰る予定だ。



 昨日、久しぶりに体を重ねることがかなった。

 それで満足するかと思いきや、くすぶっていた火種がもっと火力を増して再燃しただけだった。

 今日は昨日よりももっと武彦のことが欲しい。

 さすがに日中動物園にいるときは伊織の意識もかわいい動物たちに奪われていたけれど、帰りのタクシーの中ではもう武彦に触れたくて仕方がなかった。

 言葉にしなくても伝わるものはあるのだろう。

 ホテルの部屋に入るやいなや、武彦は伊織のことを抱きしめキスをした。



「お、おじさま…」

「伊織…、私をあまり困らせないでくれ」

 私何も言ってないです…。

 そんな返事をすることも出来た。

 だけど、伊織の気持ちが武彦にちゃんと伝わっていたことが嬉しい。

 武彦は再び伊織にくちづけた。



 ついばむように愛しみ合うようにくちづけを交わした。

 武彦の手が服の上から伊織の胸を激しくまさぐった。

「んっ、んんっ…」

 武彦はいったんキスを解くと、伊織を抱き上げてベッドへと運んだ。

 膝立ちの態勢のまま、武彦は伊織のブラウスの後ろのボタンを外した。

 後ろから抱きしめブラをしたまま胸を揉み上げられた。

「あっ、あっ…」

 焦らさないで…、早く素肌に触れて欲しい…。

 口に出せない淫らな思いが伊織を突き上げる。

 ブラのホックが外され、後ろから乳房を揉みしだかれた。
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