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君に溺れてしまうのは僕だから.33
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伊織は出来るだけ露出の少ないものを探したのだが、入った店が悪かったのかそれとも今年の流行りなのか、どれだけ探してもビキニしか置いてない。
伊織はあきらめてデザインと色が派手じゃないものを選んだ。
濃紺に細かい水玉のビキニを試着してみた。
試着室から顔だけ出して坂口を呼ぶと、飛ぶようにやって来た。
少しだけ扉を開けて「どうかな」と尋ねると、一も二もなく「いいっ!!」との答えが返ってきた。
坂口にしてみれば、もう身につけている水着などどうでもよかった。
そんなことより水着以外の伊織の素肌を間近で見られたことの方が何十倍も嬉しかった。
そこで、ふと気付く。
たった今、目にした伊織の素肌はテニスで日焼けした部分を除けば真っ白できれいだったことに。
つまり、もうキスマークはついていないのだ。
前付き合っていた彼氏とはもう別れたのだろうか。
いや、とりあえず今はそういうことをしてないのだ。
坂口にとってはそれで十分だった。
「じゃあ、水着はこれにするわ」
伊織は着替えをすませ試着室から出てきた。
「よし、今度は帽子とサンダルとサングラスもいるな」
嬉しそうに見守る坂口の視線を背後に感じながら、伊織は鏡の前に立ってコーディネートを確認していった。
こんなにたくさんのものをこんなに短時間で買ったのは初めてだった。
すっかり坂口のペースに乗せられている。
全てを買い終えるころにはすごい荷物になっていた。
「よし、これで準備は万端だな」
坂口はひとり満足気だ。
「ところでさ、さっき泊まりって言ってたけど、今から予約するの?」
「ああ、それは大丈夫。俺の爺ちゃんが別荘持ってるんだ。だから夏には毎年そこに泊まるんだ。爺ちゃ海が好きで海沿いの別荘買ったんだけど、暑いのは好きじゃないからって夏は空き家なんだよ。変だろう?海っていえば夏なのにさ、それ以外の季節に海に来てなにするんだって感じだよ。まったく金持ちの考えることは分かんないよ」
「そ、そうだね」
坂口の自慢話に、伊織は適当に相づちをうった。
買い物に時間を取られたせいで、時刻は5時を過ぎていた。
「明日の準備もあるし今日はもう帰ろう。杉野駅に8時集合だから」
「わ、わかった」
行先も時間も全て坂口はテキパキと決めていく。
「じゃあ明日」
「じゃあ」
伊織は持ち切れない程の荷物を抱えて家に向かった。
さて、この急展開を自然に受け入れてもらえるように説明することは出来るだろうか。
しかし、もう後には引けない。
伊織は意を決して玄関を開けた。
伊織はあきらめてデザインと色が派手じゃないものを選んだ。
濃紺に細かい水玉のビキニを試着してみた。
試着室から顔だけ出して坂口を呼ぶと、飛ぶようにやって来た。
少しだけ扉を開けて「どうかな」と尋ねると、一も二もなく「いいっ!!」との答えが返ってきた。
坂口にしてみれば、もう身につけている水着などどうでもよかった。
そんなことより水着以外の伊織の素肌を間近で見られたことの方が何十倍も嬉しかった。
そこで、ふと気付く。
たった今、目にした伊織の素肌はテニスで日焼けした部分を除けば真っ白できれいだったことに。
つまり、もうキスマークはついていないのだ。
前付き合っていた彼氏とはもう別れたのだろうか。
いや、とりあえず今はそういうことをしてないのだ。
坂口にとってはそれで十分だった。
「じゃあ、水着はこれにするわ」
伊織は着替えをすませ試着室から出てきた。
「よし、今度は帽子とサンダルとサングラスもいるな」
嬉しそうに見守る坂口の視線を背後に感じながら、伊織は鏡の前に立ってコーディネートを確認していった。
こんなにたくさんのものをこんなに短時間で買ったのは初めてだった。
すっかり坂口のペースに乗せられている。
全てを買い終えるころにはすごい荷物になっていた。
「よし、これで準備は万端だな」
坂口はひとり満足気だ。
「ところでさ、さっき泊まりって言ってたけど、今から予約するの?」
「ああ、それは大丈夫。俺の爺ちゃんが別荘持ってるんだ。だから夏には毎年そこに泊まるんだ。爺ちゃ海が好きで海沿いの別荘買ったんだけど、暑いのは好きじゃないからって夏は空き家なんだよ。変だろう?海っていえば夏なのにさ、それ以外の季節に海に来てなにするんだって感じだよ。まったく金持ちの考えることは分かんないよ」
「そ、そうだね」
坂口の自慢話に、伊織は適当に相づちをうった。
買い物に時間を取られたせいで、時刻は5時を過ぎていた。
「明日の準備もあるし今日はもう帰ろう。杉野駅に8時集合だから」
「わ、わかった」
行先も時間も全て坂口はテキパキと決めていく。
「じゃあ明日」
「じゃあ」
伊織は持ち切れない程の荷物を抱えて家に向かった。
さて、この急展開を自然に受け入れてもらえるように説明することは出来るだろうか。
しかし、もう後には引けない。
伊織は意を決して玄関を開けた。
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