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エロ.47
しおりを挟む「ちょ、ちょっと元貴!」
「何言ってんだよお前!」
美世と高広の訴えも虚しく元貴は部屋の扉をキッチリと閉め鍵をかけてしまった。
「美世さん・・・」
「今から私のアパートに来てくれる?」
「はい・・・」
美世は車で、高広は自転車でそれぞれアパートに向かった。
当然ながら先についた美世が中で待っている部屋に入るのはこの間のデジャヴの様に高広を緊張させる。
足音を聞きつけたのだろう、高広が部屋の前に立つと、中から扉が開けられた。
「どうぞ」
「おじゃまします」
すっかり他人行儀になってしまった関係が悲しい。
小さな楕円のテーブルを挟んで二人は腰を下ろした。
ほんの少し前までは、後ろにある二人掛けのソファにぴったりくっついて座っていたのに。
「美世さん、元貴の前だから聞けないことがいっぱいあった。いや、違うな。怖くて聞けないことがいっぱいあったんだ」
「高広君・・・」
「すっかり疑り深くなっちゃって・・・、あらためて聞くけど服部さんと血の繋がった兄妹っていうのは本当なの?」
「うん」
美世がそう答えても、高広はまだ信じられないでいた。
そして、仮に服部が本当に美世たちの兄であったとして、美世と男女の関係でないのだとしても、美世が高広との関係を続けるかという事は別問題だ。
「しつこくて悪いんだけど、服部さんと寝たりはしてないよね?」
「まさか・・・、そんなことするわけないじゃない。どうしてそんなこと聞くの?」
「だって、俺見たんだよ、海に行った次の日の夜、どうしても会いたくて美世さんのアパートの近くにいたんだ。そしたら服部さんが美世さんを車で送ってきたのを。その次の日、美世さんとセックスしたとき、美世さんの背中にはキスマークがあった。俺はキスマークなんてつけない。だから、他の誰かがつけたとしか考えられない。そして、その日の前日に会ってたのは服部さんだ」
「キスマークなんて見間違えよ。服部さんとは血の繋がった兄妹なのよ。そんなことするわけないじゃない」
「だけど、ずっと会ってなかったんだろう?だったら、兄妹だなんて言われたってそんな実感あるの?それより男性として惹かれたんじゃないの?」
「もし私がそうだって言ったらどうするの?」
美世の口調が急に変わった気がした。
「えっ・・・」
「元貴にはああ言ったけど、逸子と結婚してるとかいう作り話まで作ったのはどうしてだと思う?」
「・・・」
やっぱり服部とはそういう関係なのか?
高広はついに一番恐れていた言葉を聞くときが来たのだと覚悟を決めた。
「血がつながってる兄と妹がそんな関係だなんて元貴に言えるはずないでしょ?高広君なら分かってくれるよね」
「嘘だ・・・」
「ずっと疑ってたんでしょ」
「それは・・・」
「本人が言ってもまだ信じられない?」
「美世さん・・・、俺のこと捨てるの?」
「捨てるなんて、人聞きの悪い言い方嫌だな。高広君だって分かってたでしょ?私が元貴のためにあなたに近づいたんだってこと」
「・・・嫌だ、そんな言葉聞きたくない。美世さん・・・。俺は、俺は本気で・・・」
そんな高広の訴えを美世は遮った。
「ごめんね、でもそういうことだから、もう帰ってくれる?それから、鍵も置いていってね」
全身から血の気が引いてうまく力が入らない。
高広はよろよろと立ち上がるとカバンから合鍵を出してテーブルの上に置いた。
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