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エロ.46
しおりを挟む「俺、姉ちゃんが心配なんだよ。だいたい俺に嘘つく時点で気に食わないけど、今は姉ちゃんがおかしなことに巻き込まれてないか心配で仕方ないんだよ」
「元貴・・・」
「姉ちゃん、お願いだから本当のこと言ってくれよ」
「困った子ね・・・。だけど、話すんだったら元貴と二人で話したい。高広君、悪いけど今日はもう帰ってくれない?」
美世は高広に視線を送ってきた。
「俺は元貴に頼まれただけだから、どっちでもいいけど・・・」
いや、本当はどっちでもよくなんてない。
美世の口から語られる真実を個の耳で聞きたい。
「ダメだ!俺一人じゃ無理。高広も一緒にいて欲しい」
立ち上がろうとした高広の服の裾を元貴はグッと掴んだ。
美世はふぅっと深いため息をついた。
「本当に頑固なんだから」
「姉ちゃんだって」
美世は諦めた様子で居住まいを直すとぽつりぽつりと話始めた。
「服部さんと逸子が結婚してるっていうのは嘘」
二人がかたずを飲んで見守る中、美世はそれをすんなり認めた。
「どうしてそんな嘘を・・・」
当然元貴はそう尋ねた。
「元貴には言ってなかったんだけど、母さんは私たちを産む前に別の人と結婚してたの。それで、服部さんは前の人との間に出来た子供。つまり私たちの兄さんよ」
「えっ・・・」
これには元貴だけでなく高広も同時に声をあげていた。
「ただ、私もそれを知ったのは母さんが亡くなった後なの。お葬式の少し後に家に服部さんが訪ねて来てね・・・。服部さんも小さい頃に母さんと別れて新しい家庭で育ったから、母さんが亡くなったこともお葬式のあとで親から知らされたんだって」
「・・・」
想像もしなかった展開に二人とも言葉が出ない。
「でも、それからは元貴も知ってる通り毎日のように店に来てくれるようになったの」
「でも、じゃあどうして俺にそのこと話してくれなかったの?」
「元貴は大学受験を控えてるし、まだ若いからそういうことは知らない方がいいんじゃないかって、服部さんが言ったの」
「それにしても、逸子さんの旦那さんとか、話作りすぎじゃない?」
元貴は混乱しているのか髪を掻きむしりながら言った。
「それは、逸子を使ったことは申し訳なかったと思ってるけど、父親は違っても服部さんが私たちの兄であることに変わりはなくて・・・、しかも母さんがいなくなった今、元貴と私の二人だけになったと思ってたところに現れた兄弟だから、私もつい嬉しくて、店でも他のお客さんそっちのけで服部さんとばかり話してたから、そのうち元貴に勘ぐられるんじゃないかと思って、ついあんな嘘ついちゃった」
「そうだったのか・・・。びっくりしたけど、やっとすっきりしたよ。じゃあ俺の用はほぼ終わったな。あとは高広の番だ」
「はぁ?お前なに言い出してんの?」
「二人でちゃんと話して来いよ」
「元貴、何言ってるの」
美世がこわばった表情で尋ねた。
「姉ちゃんも高広も、俺のことバカだと思ってんの?二人の一番近くにいたんだぜ?気づかないはずないだろう。ほら、行った行った」
そう言うと、元貴は美世と高広を部屋から追い出した。
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