エロ

星野しずく

文字の大きさ
上 下
38 / 55

エロ.38

しおりを挟む

「バカ、冗談だよ」

「そうだよ、お前はよく頑張った」

 元貴は徳馬の頭をよしよしと撫でてやる。



「試験が終わったらさ、三人でどっか遊びに行こうぜ!」

 海の時もそうだったが、そういう話になると徳馬の目が俄然輝き始める。

「そうだな、パァーっと羽を伸ばそうぜ」

 徳馬に調子を合わせる元貴と違い、試験日のあとのことを考えると高広は憂鬱になる。

 ただ、その場は二人に合わせて「そうだな」と答えるしかなかったけれど。



 美世との約束通り、夜アパートには行っていない。

 ただ、元貴とファミレスで勉強をして、そのあと美世の店に行く流れだけはそのまま続いていた。



「高広君、これまでありがとうね」

「いえ・・・」



 勉強を終えて帰ろうとする高広のことを美世と元貴が見送ってくれた。

 まだ客がいる時間に帰る高広を普段美世が見送ることはない。

 だが、明日がセンター試験日である今日は特別だ。



 笑顔で目の前に立っている美世のことが愛おしくて、高広は切なさで胸がいっぱいになる。

 元貴がいなかったら、高広は美世のことをただ見ているだけではいられなかっただろう。



「じゃあ、高広、お互い頑張ろうな」

「ああ、じゃあ」

 高広は狂おしい思いを抱えている素振りなど見せず二人に別れを告げた。



 センター試験を終え、さらに前期日程試験を終えて、あとは合格発表を待つばかりだ。

 と言っても、不合格ならば後期日程試験を受けることになる。



 三月の初めに合格発表が行われた。



 一番初めに合格を手にしたのは皆に一番心配をかけていた徳馬だった。

 続いて発表の日をビクビクしながら待っていた元貴、そして高広は予定通り危なげなく合格したのだった。

 三人の合格が分かったところで、徳馬から声が掛かかり三人はファミレスに集っていた。



「いやぁ、俺はやればできる男だと思ってたんだ」

 徳馬はこの間までのネガティブな発言はどこへやら、すっかり調子に乗っていた。

「そうだな、俺もそう思ってた」

 元貴が完璧な棒読みで返しても、浮かれている徳馬には届かないようだ。



「高広は当然の結果って感じだろ」

「まさか、俺だって必死だったよ」

 元貴や徳馬とは別の意味でだけど。



 美世にああ言われたものの、いざ美世のアパートを訪れて無視されたり拒絶されたりしたら、とても受験になど集中できなくなる。

 そんなわけで、高広はあれ以来美世とは会っていない。



 もちろんこのままで終わらせるつもりはない。

 合格が分かったらどんな結果が待っていようと美世に直接会うと決めていた。



「そう言えばさ~、俺がやぱいってうちの母さんが友達にぼやきまくってたせいでさ、合格祝いに次から次へとオバサンたちが家にやって来て、めちゃくちゃウザいんだよね~」

「贅沢言うなよ、無事合格したんだからそのくらい我慢しろ」

 元貴がたしなめる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

ご褒美

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
彼にいじわるして。 いつも口から出る言葉を待つ。 「お仕置きだね」 毎回、されるお仕置きにわくわくして。 悪戯をするのだけれど、今日は……。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

処理中です...