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エロ.34
しおりを挟む「あれ?」
「どうしたの?」
「この靴、高広のじゃ」
「えっ」
「姉ちゃん、高広いるの?」
「な、何言ってるの」
「だって、これ高広のお気に入りの靴と一緒だよ。だいたい、姉ちゃんこんなに足デカくないし」
「そ、それは」
「え、ちょっと待って、何で高広が姉ちゃんの部屋に?さっき姉ちゃん朝まで友達とカラオケしてたって言ってたよね」
「そ、そうだよ・・・」
「だけど、この靴絶対高広のだよ。俺、毎日会ってるから分かるもん。ほら、ここが汚れてるの気にしてたんだ」
元貴はスニーカーの横についた汚れを指さした。
小さなアパートで二人の会話は寝室の高広には丸聞こえだった。
ついに美世は黙り込んでしまった。
「姉ちゃん、何とか言ってよ!どういうことなんだよ?」
マズイことになってしまった・・・。
「ごめん、元貴。美世さんは悪くない。俺、昨日の夜親と喧嘩して、そのことで美世さんに相談に乗ってもらったんだ。それで話し込んでたら朝方になっちゃって、家にも帰れなくて・・・。そしたら美世さんが泊まっていけばって言うから、お言葉に甘えて泊めてもらったんだ」
思わず飛び出した高広は、元貴の前で苦しい言い訳を繰り広げた。
「高広・・・、お前・・・」
三人の間に妙な空気が流れた。
「だったら、まず俺のところに来いよ、友だちだろ?」
元貴はこわばっていた表情を崩した。
「そ、それは、元貴には迷惑かけたくなかったから」
「水臭いこと言うなよ。そんなこと言ったら俺なんて、お前に迷惑かけっぱなしなんだぜ」
元貴は高広の言ったことを疑わなかったようだ。
「だけど、姉ちゃん何で嘘ついたんだよ。俺、超ショックだよ」
「ごめんね。高広君から元貴には言わないでって言われてたから」
「そっか、それじゃあ仕方ないよな・・・。疑ってごめん、姉ちゃん」
「ううん。じゃあ、私もすぐお店に行くから、先行っててね」
「わかった、じゃあ後で」
元貴はそう言うと部屋を出ていった。
「美世さん・・・」
「元貴、何か気づいたかもね」
「えっ・・・、だって、そんなこと言ってなかったけど」
「そうね、ただ何となくそう思っただけ」
「でも、それじゃあ美世さんと元貴が気まずくなるんじゃ・・・」
「だけど、黙って帰ったんだから、きっとそれでもいいって思ったのかもね」
「・・・」
高広は言葉が見つからない。
「高広君、元貴は多分あなたにも直接聞かないと思うけど、とりあえず受験が終わるまでは内緒にしておいてね」
「うん、分かってる」
その後はどうなるの?
高広は美世にそう尋ねたかった。
元貴の突然の来訪で、美世はすぐに店に行くことになり、高広は家に帰ることになった。
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