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エロ.26
しおりを挟む本当なら不倫なんかやめて欲しい。
だけど、本命でない自分がそんなことを言う権利などない。
ましてや相手は自分よりうんと年上の大人の男だ。
正直、勝ち目はないと思う。
だけど、今の高広は美世のことしか考えられない。
そういうことを熱く語るような性格じゃないけれど、だからといって冷めているわけじゃない。
いつの間にか美世なしでいられないくらい、彼女に夢中になっている自分を否定することはできない。
ただ、どうすればいいのかはまったく分からないだけで。
「高広~、悪いけど大学に入ったらクリスマスイブは彼女と過ごすことに決めてるから」
美世の店で勉強中、元貴はそんなことを言い出した。
「なんだよ、急に・・・。それはいいけど、その前に大学に合格することと彼女を作るってこと忘れてないよな?」
「お前ね、そんな夢のないこと言ったら、頑張れるものも頑張れないだろ?」
「そっか、そうだな。そういうのを糧に頑張るのもアリだな」
「そうだろ~?モチベーションの持ち方は人それぞれなんだからな」
いつもと変わらないように振舞っているが、実のところ高広は気が気ではなかった。
服部がいつ現れるのか。
昨日の今日で、二人はいったどんな顔をするのだろうか。
そろそろやって来る時間だと身構えていると、店の扉が開き、服部が店に入ってきた。
いつもと変わらぬ様子でいつもの席に腰掛けた。
美世の方も表情を変えることなく応対している。
二人にとっては当たり前のことなのだから、変わらないのが普通のことなのだろう。
普通じゃいられないのは高広の方だけというわけだ。
「なあ、高広、聞いてる?さっきからボーっとしちゃってさ」
「あ、ああ、スマン」
「まったく、高広、今日一日何だか変だぞ。疲れてるんだったら、そう言ってくれよ。そんな時まで俺につきあってくれなくてもいいんだから」
「いや、大丈夫だ。あ、でも、ちょっと外で電話してきていいか」
「うん、別に構わないけど」
高広の様子がおかしいのを元貴は心配そうな顔で見ていた。
ちょうど服部が食事を終えて店を出た。
高広は、はぐらかされることは覚悟のうえで服部に直接尋ねてみることにしたのだった。
高広が店を出ると、服部の姿は既にかなり離れた場所にいた。
急いで後を追い、服部を呼び止めた。
「すみません、服部さん」
「えっ?」
後ろから突然名前を呼ばれた服部は驚いた様子で振り返った。
「なんだ、君か」
「ちょっとお話があるんですが」
「すまない、これから急ぎの用があるんだ」
「すぐ終わりますから」
「・・・仕方ないな。じゃあ、ほんの少しだけだよ」
服部は腕時計に目を落とした。
二人は賑やかな大通りから路地裏に移動した。
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