エロ

星野しずく

文字の大きさ
上 下
19 / 55

エロ.19

しおりを挟む

「日焼けし過ぎて痛て~」

 ファミレスのいつもの席で元貴はぼやいている。



「俺は筋肉痛」

 高広も同調する。



「しっかし、徳馬の気合凄かったな」

「まあ、相当ストレス溜まってたんだろ」

 高広は昨日の徳馬のテンションを思い出していた。



「まったく、俺たちを巻き込みやがって」

 元貴はひりつく肌をさすっている。

 いつものようにファミレスでの勉強を終え、二人は美世の店に向かった。



「姉ちゃんはバテてない?」

 美世に作ってもらった夕ご飯を頬張りながら元貴が尋ねた。

「なに、元貴はバテちゃったの?」

「いや、俺は日焼けが痛いだけだけど、姉ちゃんずっと運転だったし、俺たちは海で涼めたけど、姉ちゃん砂浜でずっと暑かったろうなと思って」

 元貴は相変わらずシスコン全開だ。



「大丈夫。私まだそんな心配してもらう程衰えてないわよ」

「そういう意味じゃないけど」



 元貴はただ純粋に美世のことを心配しているというのは少し恥ずかしいらしい。

 仲睦まじい姉弟の会話を聞きながら、高広は昨日砂浜の片隅で美世とセックスをしたことをリアルに思い出していた。

 美世を目の前にして思い出さないようにする方が難しいが、変に火がついてしまうと、とても勉強になど身が入らなくなってしまう。



 今夜は絶対に美世のアパートに行こう。

 そう思うことで、溢れてしまいそうな欲情をどうにか抑えた。

 そうこうしているうちに、店は開店の時間を迎え、客が入って来る。

 そして八時を少し過ぎた頃、あの男がやってきた。



「あ、あれ、昨日の・・・」

 空になった麦茶のポットを持って立ち上がった元貴がつぶやいた。

「やあ、昨日はどうも」

「本当に常連さんだったんですね。俺、今まで全然気がつかなかった」



 それはそうだろう。

 元貴はいつもカウンターを背にして座っている。

 そしてほとんどの時間はテーブルの上に広げられた問題集とにらめっこをしているのだ。



 一方の高広は元貴に勉強を教えながら美世を観察するのが習慣になっていた。

 だから、この男が美世の店にこんな風に来るようになってからというもの、高広の意識は元貴の勉強に五割、そして美世を観察することに五割という配分で成り立っている。



「ハハッ、これで信じてもらえたかな?」

 服部という男は爽やかな白い歯を覗かせて笑った。

「いや、別に疑ってたわけじゃないんですけどね」
 
 元貴は気まずそうに答えながら、お茶を入れて席に戻ってきた。

 そんな元貴を美世は微笑みながら黙って見ていた。
 


「あの男、姉ちゃんのこと狙ってないか?」

 服部が帰った後、元貴は高広に小声で尋ねた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

ご褒美

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
彼にいじわるして。 いつも口から出る言葉を待つ。 「お仕置きだね」 毎回、されるお仕置きにわくわくして。 悪戯をするのだけれど、今日は……。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...