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エロ.19
しおりを挟む「日焼けし過ぎて痛て~」
ファミレスのいつもの席で元貴はぼやいている。
「俺は筋肉痛」
高広も同調する。
「しっかし、徳馬の気合凄かったな」
「まあ、相当ストレス溜まってたんだろ」
高広は昨日の徳馬のテンションを思い出していた。
「まったく、俺たちを巻き込みやがって」
元貴はひりつく肌をさすっている。
いつものようにファミレスでの勉強を終え、二人は美世の店に向かった。
「姉ちゃんはバテてない?」
美世に作ってもらった夕ご飯を頬張りながら元貴が尋ねた。
「なに、元貴はバテちゃったの?」
「いや、俺は日焼けが痛いだけだけど、姉ちゃんずっと運転だったし、俺たちは海で涼めたけど、姉ちゃん砂浜でずっと暑かったろうなと思って」
元貴は相変わらずシスコン全開だ。
「大丈夫。私まだそんな心配してもらう程衰えてないわよ」
「そういう意味じゃないけど」
元貴はただ純粋に美世のことを心配しているというのは少し恥ずかしいらしい。
仲睦まじい姉弟の会話を聞きながら、高広は昨日砂浜の片隅で美世とセックスをしたことをリアルに思い出していた。
美世を目の前にして思い出さないようにする方が難しいが、変に火がついてしまうと、とても勉強になど身が入らなくなってしまう。
今夜は絶対に美世のアパートに行こう。
そう思うことで、溢れてしまいそうな欲情をどうにか抑えた。
そうこうしているうちに、店は開店の時間を迎え、客が入って来る。
そして八時を少し過ぎた頃、あの男がやってきた。
「あ、あれ、昨日の・・・」
空になった麦茶のポットを持って立ち上がった元貴がつぶやいた。
「やあ、昨日はどうも」
「本当に常連さんだったんですね。俺、今まで全然気がつかなかった」
それはそうだろう。
元貴はいつもカウンターを背にして座っている。
そしてほとんどの時間はテーブルの上に広げられた問題集とにらめっこをしているのだ。
一方の高広は元貴に勉強を教えながら美世を観察するのが習慣になっていた。
だから、この男が美世の店にこんな風に来るようになってからというもの、高広の意識は元貴の勉強に五割、そして美世を観察することに五割という配分で成り立っている。
「ハハッ、これで信じてもらえたかな?」
服部という男は爽やかな白い歯を覗かせて笑った。
「いや、別に疑ってたわけじゃないんですけどね」
元貴は気まずそうに答えながら、お茶を入れて席に戻ってきた。
そんな元貴を美世は微笑みながら黙って見ていた。
「あの男、姉ちゃんのこと狙ってないか?」
服部が帰った後、元貴は高広に小声で尋ねた。
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