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エロ.12
しおりを挟む「海行くの来週だな」
「ああ」
「早いな~、もう夏休み終わるじゃん」
「元貴はよく頑張ったよ」
「何言ってるんだ、ぜんぶ高広のおかげだよ」
「いや、元貴のやる気に引っ張られて俺も頑張れた」
「またそうやってすましたこと言う~」
「別にすましてない」
「あ、赤くなった」
「なってない!」
「可愛いな~」
「可愛くない!」
こんな風にじゃれあえるのも元貴とだからだ。
元貴は人懐っこくて、みんなから可愛がられる性格だ。
自分と同じような性格だったらこんな風に打ち解けることはなかっただろう。
「ところで高広って泳げるの?」
「まあ、普通に」
嘘だ。
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「ふうん・・・」
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なぜならどちらも今の高広にとっては大切なものになってしまったから。
美世とのことを元貴が知ったらどうなるかと思うのはもちろん怖かった。
「おはようございます!」
徳馬がハイテンションで美世に挨拶する。
ついに海に行く日がやってきた。
美世の店の駐車場に集合だ。
電車で行くことも考えたが、美世がいいよと言うので美世の軽自動車で行くことになったのだ。
「やったぁー海だ!待ちに待った海だ!しかも美世さんも一緒だ!もう最高!夏休み、大好き!!」
「おいおい、徳馬、海に着く前に体力使い果たすつもりかよ」
元貴に突っ込まれても、一度上がった徳馬のテンションはきっと下がることはないだろう。
「いいじゃん、徳馬は今日一日で夏の楽しみ全部回収しようとしてるんだから」
高広は毎日塾通い&帰宅後も母親に監視されて勉強漬けの徳馬に同情する。
美世はそんな三人のやりとりを微笑ましそうに眺めていた。
「さあ、みんなもう乗って」
「は~い!!」
徳馬は元気よく返事をすると、ちゃっかり助手席に乗り込んだ。
「じゃあ出発するね」
「イエ~イ!!」
”なんでお前がそこに座るんだよ”という元貴と高広の抗議の声は徳馬の大声にかき消された。
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