エロ

星野しずく

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エロ.09

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「元貴、模試の結果もう届いた?」

「・・・うん」

「どうだった?」

「う~ん、それがさ~、C判定なんだよな~。微妙~」

「Cか・・・」



「そりゃあさ、前のDから比べたら上がったことは上がったんだけど、まだ全然安心できるレベルじゃないんだよな~。だからと言って志望校変えるのも無理だし」

「大丈夫だよ。DからCにいけたんかだから、CからBにいくのだって無理じゃない」

「うわぁ~、高広が言うとカッコイイよな」



「バーカ、冗談じゃなくてホントだよ。成績がよくなったことは、ちゃんと成果が出てるってことだろ?だから、これまでどおり頑張れば結果は後からついてくるって」

「高広!お前塾講師向いてるんじゃないか?イケメンだし、生徒に人気出そう」

「くだらないこと言ってないで、やるぞ」

「はいっ!城崎先生!!」

「ふざけるなら、俺帰る」



「待って待って!もうしないから。ジュース一杯おごるし」

「何言ってんだ、ドリンクバーだろうが」

「へへっ、バレたか」

「じゃあ、問題集出して」

「は~い」



 二人はいつものようにファミレスの片隅を陣取って勉強をした。

 しばらくして休憩を入れると元貴が思い出した様に話し出した。



「そう言えばさ、今日、姉ちゃんの店、臨時休業なんだって。夕飯どうする?」

「臨時休業?珍しいな」



 そんなことは聞いていない。

 昨日の夜も身体を重ねたというのに、やはり美世の特別な存在ではないと言われているようで、高広の心はざわついた。



「何か久しぶりに友達から連絡があって集まるらしい」

「女子会ってやつか?」

「そうなんじゃない。あ、コンパかもな~。姉ちゃんだってまだ若いんだからさ、働いてばっかじゃ、そのままオバサンになっちゃうって、俺なりに心配してたんだ」



「コンパねぇ。美世さんにはコンパとか似合わない気がするけど」

「まあね。姉ちゃん客商売だから愛想はいいんだけど、軽い訳じゃないからな。コンパとかでちゃんと話せるのかな」

「それはお前が心配することじゃないだろ」



「そっか、でもなぁ、弟は弟なりに姉ちゃんのこと考えてるんだぜ」

「まあ、それはそうだろうけど」

 元貴は立派なシスコンだから、姉のことを考えるのは当然だろう。



「ねえ、だから夕飯どうするかって話だよ」

「ああ、駅前のラーメン屋行かねぇ?」

「あの最近できたとこ?」

「一回行ってみたかったんだよな」

「うん、いいね!そこにしよう」

 二人は夜の人気ラーメン店を楽しみに、再び勉強に励むのだった。



 その日の夜遅く、高広は美世に帰りは何時頃になるのかとメッセージを送った。

 こんな日ぐらい会わないでも平気な自分でいたかったが、現実はそわそわして何も手につかない。

 いつも睡眠不足なのだからたまには早く寝るべきなのだろうが、今の高広にとって睡眠時間などはどうでもよかった。

 とにかく許されるのなら毎日美世と体を重ねたかったから。
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