もう君を絶対に離さない

星野しずく

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もう君を絶対に離さない.63

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「や、やめろ・・・」

「キスぐらい・・・させてよ」

 美子は野崎の唇を無理やり奪った。

「ん、んんっ・・・」

 本当だったらすぐに突き飛ばしてしまえるけれど、相手が美子では何だか可哀そうでつい躊躇してしまう。

 そしてそのまま美子のペースでいいように唇を貪られた。



「い、いい加減にしてくれ・・・」

 どうにか唇を離すと、野崎は美子に向かって怒りをあらわにした。

「ご、ごめんなさい・・・」



 こんなやり方は無茶苦茶だ。

 しかし、美子が自分のことを好きなのは本当なのだろう。

 なりふり構わない行動がそれを物語っている。

 だからと言ってそれをそのまま受け入れることもできない。



「嫌いになった・・・?」

「・・・いや、だけどこういうのはやっぱり困る・・・」

「分かった・・・。でも、さっきの話は?演者を紹介するっていう話・・・」



 汚いやり方だということは十分わかっている。

 軽蔑されるのも当然だ。

 美子が当初描いていた、自分の想いを悟られないまま野崎のことをモノにするという計画は、瑠璃子の登場によって白紙になった。

 もう、なりふり構っていられない。

 だから、たとえ最低な女と思われても、野崎のそばにいたかった。



 野崎の方も、本当ならこんなやり方に乗ってしまいたくはなかった。

 だけど、養成所の生徒であれば、芝居には貪欲であるはずで、野崎にとっては願ってもない人材だ。

 自分にはない人脈を持つ美子に頼れるものなら頼りたい。



「そばにいたいって・・・例えばどういうこと?」

「耕太のご飯を作ったり、一緒に映画を見に行ったり・・・。エッチはなしの恋人同士って感じかな・・・」

「ハッキリ言うね・・・」

「その方が耕太は分かりやすいでしょ」

「でも、みこはそれで満足なの?俺、悪いけど、みこの気持ちには応えられないよ・・・」

 真面目な野崎はやはりそこが一番気になっていた。



「・・・いいの。そりゃ、耕太が私のこと好きになってくれたら一番いいんだけど、無理やり好きになれるわけないし・・・。だけど、耕太の隣に女の子が並んで歩くのなら、そこは私の場所にして欲しい」

「・・・やっぱりよく分かんないな。悪いけど、俺はみこのことそういう目で見れない・・・。本当にそれでもいいのか?」

「そう何度も確認されると結構こたえるけど、他の誰かが耕太と一緒にいるのを見るより、自分が隣にいる方を選びたいの」



「みこが本当にそれでいいなら、俺は別にかまわないよ」

「本当?耕太のご飯作ったり、一緒に映画観たりしてもいいの?」

「だから、そんなの友達でも普通にすることだろ?」

「でも、耕太には私の気持ち伝えたから・・・、いいの」

「女の気持ちはよく分からないな~」

「じゃあ、契約成立って事で・・・。脚本書けたら、どんな子がいいか教えて。耕太のタイプの子選んであげるから」

「・・・ありがとう」
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