11 / 86
もう君を絶対に離さない.11
しおりを挟む
「じゃあ、さっそく昼飯に行かなくちゃね」
「うん」
瑠璃子はなんとか誤魔化せてホッとした。
午後からの作品はそんなラブシーンはでてきそうもない。
安心して映画に集中できそうだ。
近くのカフェで美味しいランチをほおばりながら、昼からのことを話した。
「僕は昼からの二作品どっちも見る予定だけど、笠原さんはどうする?」
瑠璃子は料理のほとんどを平らげていた。
「お腹も膨れたから、もう元気!私も昼からは二作品見られそう」
「本当に?無理しなくていいんだよ」
「無理してないよ。ごめんね心配かけて」
「い、いや・・・、大丈夫ならいいんだ」
野崎は優しい言葉をかけておきながら、照れている。
それがまた可愛くて、瑠璃子の心はざわめく。
休憩を挟んで二作品を観終えた頃には、時刻は午後八時半を回っていた。
「色々と考えさせられる作品だったね」
「ああ・・・、こういう深みのある作品も好きだよ」
野崎は皆といるときのようにうつむくことなく、真っすぐな目をして言った。
「ねえ、夕ご飯食べて行かない?」
瑠璃子は昨日と同じく野崎と別れがたい気持ちになり、深く考えることなく誘った。
「う~ん、実を言うとあまり外食ばかりは結構キツイんだ。バイトもしたいんだけど、作品作ってるとそんなにシフト入れられなくて。だいたいいつも金欠だから」
「そっか、そうだよね、ごめんね」
自分は自宅通学で、バイトといっても家の手伝いだ。
それで、他の学生よりも沢山自由になるお金を手にしている。
軽い気持ちで誘ってしまった苦労知らずの自分が恥しい。
映画だって、ランチだって、毎日の様に続けば、学生には痛い出費だ。
野崎にとって映画はお金を出しても惜しくないだろうが、正直ランチなどは無駄のはずだ。
恐らく野崎が自分だけなら、コンビニのおにぎりなどで済ましてしまうだろう。
こんなところでも、自分の甘さが露呈して、瑠璃子は落ち込む。
「い、いや、謝らなくてもいいよ。それが君の普通なんだろうし。悪気はないって思ってるから」
野崎は嫌味の一つも言わないで、瑠璃子のことを理解してくれる。
こんな些細なことでも、なぜか野崎のことが眩しく見えてしまう自分はどこかおかしいのかもしれない。
「あ、あの!明日から、私お弁当作ってこようかな」
瑠璃子は金持ちにありがちな、人に余計気を使わせるような提案を平気でしてしまう。
「いいよ~。そんな気合入れられたら、余計に気を使っちゃうから」
「そ、そっか、そうだよね・・・。何だか私、重いよね」
「いや、そういう訳じゃないけど・・・。笠原さんは、笠原さんの普通でいいよ。僕に無理なのはちゃんと言うから」
「そ、そう・・・、そうだよね」
瑠璃子は何もかもすっかりお見通しの野崎に対し、苦笑いするしかなかった。
「じゃあ、また明日」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
瑠璃子は振り返ることなく足早に去っていく野崎のが人込みに消えてしまうまで、その後姿をじっと見つめていた。
「うん」
瑠璃子はなんとか誤魔化せてホッとした。
午後からの作品はそんなラブシーンはでてきそうもない。
安心して映画に集中できそうだ。
近くのカフェで美味しいランチをほおばりながら、昼からのことを話した。
「僕は昼からの二作品どっちも見る予定だけど、笠原さんはどうする?」
瑠璃子は料理のほとんどを平らげていた。
「お腹も膨れたから、もう元気!私も昼からは二作品見られそう」
「本当に?無理しなくていいんだよ」
「無理してないよ。ごめんね心配かけて」
「い、いや・・・、大丈夫ならいいんだ」
野崎は優しい言葉をかけておきながら、照れている。
それがまた可愛くて、瑠璃子の心はざわめく。
休憩を挟んで二作品を観終えた頃には、時刻は午後八時半を回っていた。
「色々と考えさせられる作品だったね」
「ああ・・・、こういう深みのある作品も好きだよ」
野崎は皆といるときのようにうつむくことなく、真っすぐな目をして言った。
「ねえ、夕ご飯食べて行かない?」
瑠璃子は昨日と同じく野崎と別れがたい気持ちになり、深く考えることなく誘った。
「う~ん、実を言うとあまり外食ばかりは結構キツイんだ。バイトもしたいんだけど、作品作ってるとそんなにシフト入れられなくて。だいたいいつも金欠だから」
「そっか、そうだよね、ごめんね」
自分は自宅通学で、バイトといっても家の手伝いだ。
それで、他の学生よりも沢山自由になるお金を手にしている。
軽い気持ちで誘ってしまった苦労知らずの自分が恥しい。
映画だって、ランチだって、毎日の様に続けば、学生には痛い出費だ。
野崎にとって映画はお金を出しても惜しくないだろうが、正直ランチなどは無駄のはずだ。
恐らく野崎が自分だけなら、コンビニのおにぎりなどで済ましてしまうだろう。
こんなところでも、自分の甘さが露呈して、瑠璃子は落ち込む。
「い、いや、謝らなくてもいいよ。それが君の普通なんだろうし。悪気はないって思ってるから」
野崎は嫌味の一つも言わないで、瑠璃子のことを理解してくれる。
こんな些細なことでも、なぜか野崎のことが眩しく見えてしまう自分はどこかおかしいのかもしれない。
「あ、あの!明日から、私お弁当作ってこようかな」
瑠璃子は金持ちにありがちな、人に余計気を使わせるような提案を平気でしてしまう。
「いいよ~。そんな気合入れられたら、余計に気を使っちゃうから」
「そ、そっか、そうだよね・・・。何だか私、重いよね」
「いや、そういう訳じゃないけど・・・。笠原さんは、笠原さんの普通でいいよ。僕に無理なのはちゃんと言うから」
「そ、そう・・・、そうだよね」
瑠璃子は何もかもすっかりお見通しの野崎に対し、苦笑いするしかなかった。
「じゃあ、また明日」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
瑠璃子は振り返ることなく足早に去っていく野崎のが人込みに消えてしまうまで、その後姿をじっと見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜
こころ ゆい
恋愛
保育士の八重と外科医の一生は、小学生の頃からの幼馴染。
傍から見れば、儚く清楚に見えるらしい八重は、実は外見にそぐわぬ性格をしていた。
そのせいで、見た目につられて告白してくる男性たちは、ことごとく彼女の中身を知って離れていく。
フラれる度に、やけ食いややけ酒に付き合ってもらっている一生は優しいが、懲りずに同じような恋愛を繰り返す八重に呆れている....と思っていたら?
「....八重の可愛さは、そんなもんじゃないんです。....誰も気付かなくていい。俺だけが知ってればいい」
ーーどうやら、かなり愛されていたようです?
※じれじれ・執着・溺愛 ラブストーリー。🌱
※この物語は、全て作者の想像で描かれたフィクションです。実際の場所・建物・人物とは関係ありません。🌱
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ひみつの姫君 ~男爵令嬢なのにくじ引きで王子のいる生徒会の役員になりました!~
らな
恋愛
男爵令嬢のリアはアルノー王国の貴族の子女が通う王立学院の1年生だ。
高位貴族しか入れない生徒会に、なぜかくじ引きで役員になることになってしまい、慌てふためいた。今年の生徒会にはアルノーの第2王子クリスだけではなく、大国リンドブルムの第2王子ジークフェルドまで在籍しているのだ。
冷徹な公爵令息のルーファスと、リアと同じくくじ引きで選ばれた優しい子爵令息のヘンドリックの5人の生徒会メンバーで繰り広げる学園ラブコメ開演!
リアには本人の知らない大きな秘密があります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる