もう君を絶対に離さない

星野しずく

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もう君を絶対に離さない.11

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「じゃあ、さっそく昼飯に行かなくちゃね」

「うん」



 瑠璃子はなんとか誤魔化せてホッとした。

 午後からの作品はそんなラブシーンはでてきそうもない。

 安心して映画に集中できそうだ。

 近くのカフェで美味しいランチをほおばりながら、昼からのことを話した。



「僕は昼からの二作品どっちも見る予定だけど、笠原さんはどうする?」

 瑠璃子は料理のほとんどを平らげていた。

「お腹も膨れたから、もう元気!私も昼からは二作品見られそう」

「本当に?無理しなくていいんだよ」

「無理してないよ。ごめんね心配かけて」

「い、いや・・・、大丈夫ならいいんだ」



 野崎は優しい言葉をかけておきながら、照れている。

 それがまた可愛くて、瑠璃子の心はざわめく。

 休憩を挟んで二作品を観終えた頃には、時刻は午後八時半を回っていた。



「色々と考えさせられる作品だったね」

「ああ・・・、こういう深みのある作品も好きだよ」

 野崎は皆といるときのようにうつむくことなく、真っすぐな目をして言った。



「ねえ、夕ご飯食べて行かない?」
 
 瑠璃子は昨日と同じく野崎と別れがたい気持ちになり、深く考えることなく誘った。

「う~ん、実を言うとあまり外食ばかりは結構キツイんだ。バイトもしたいんだけど、作品作ってるとそんなにシフト入れられなくて。だいたいいつも金欠だから」

「そっか、そうだよね、ごめんね」



 自分は自宅通学で、バイトといっても家の手伝いだ。

 それで、他の学生よりも沢山自由になるお金を手にしている。

 軽い気持ちで誘ってしまった苦労知らずの自分が恥しい。



 映画だって、ランチだって、毎日の様に続けば、学生には痛い出費だ。

 野崎にとって映画はお金を出しても惜しくないだろうが、正直ランチなどは無駄のはずだ。

 恐らく野崎が自分だけなら、コンビニのおにぎりなどで済ましてしまうだろう。

 こんなところでも、自分の甘さが露呈して、瑠璃子は落ち込む。



「い、いや、謝らなくてもいいよ。それが君の普通なんだろうし。悪気はないって思ってるから」

 野崎は嫌味の一つも言わないで、瑠璃子のことを理解してくれる。

 こんな些細なことでも、なぜか野崎のことが眩しく見えてしまう自分はどこかおかしいのかもしれない。



「あ、あの!明日から、私お弁当作ってこようかな」

 瑠璃子は金持ちにありがちな、人に余計気を使わせるような提案を平気でしてしまう。



「いいよ~。そんな気合入れられたら、余計に気を使っちゃうから」

「そ、そっか、そうだよね・・・。何だか私、重いよね」

「いや、そういう訳じゃないけど・・・。笠原さんは、笠原さんの普通でいいよ。僕に無理なのはちゃんと言うから」

「そ、そう・・・、そうだよね」

 瑠璃子は何もかもすっかりお見通しの野崎に対し、苦笑いするしかなかった。



「じゃあ、また明日」

「おやすみなさい」

「おやすみ」

 瑠璃子は振り返ることなく足早に去っていく野崎のが人込みに消えてしまうまで、その後姿をじっと見つめていた。
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