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ドSな彼のイジワルな愛し方.35

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 そんな情事の後ではあったが、琴乃は今まで聞けなかったある事を勇気を出して聞いてみる。

「ねえ、佐野君。聞いてもいいかな?」

「なんだよ、改まって。」

「バイトはどうしてやり始めたの?」

「あ、ああ。そのことか。」

 佐野君は少し困った表情になる。

「うーん。出来れば言いたくなかったんだけど…。学校ではさ、ずっと琴乃の事見守ってられるだろ。だけど、バイト先で変な奴が琴乃の事を狙ってるかもしれないだろ。だから、そういう芽を積むために同じバイトを選んだんだ。まあ、時間まで同じにすると、君が話しかけてきちゃう可能性があったから、時間はずらすしかなかったけどね。」

 琴乃はまさかそんな理由だったとは想像もしていなかった。

「そうだったんだ…。あの頃の佐野君は怖かったな…。」

「ごめん。俺もいっぱいいっぱいで、余裕なんか無くて。ついやりすぎたって反省してる。許してもらえるかな?」

 素直にあやまる佐野君を責める気持ちにはならなかった。

「もういいの。理由が分かれば。」

 そして、琴乃はもう一つどうしても気になっていたことを勇気を出して聞いてみる。

「あとね、その…、言いにくいんだけど…。その、佐野君って、女性経験が豊富だよな~って。同い年なのに…。あの、別に怒ったりしないから、聞かせて欲しいな~って。」

「ああ、そういう話か…。俺さ、小さい頃から甘やかされて育てられて、でも、その頃は何の疑問も持たなかった。でも、中学に入った頃から、何でウチは他の家と違うんだろうって考えるようになって、やっと友達になってもウチが金持ちだって分ると急によそよそしくなって…、そんなことが繰り返されるうちに学校に行かなくなったんだ…。」

 少し言葉を切ると、また話はじめる。

「そんな時、街に出てはナンパばっかりして、嫌な事から逃れようとしてたんだ。」

「そっ、そうだったんだ…。ゴメンね、変なこと聞いちゃって。」

 申し訳なさそうに言う琴乃に、佐野君は包み隠さず話してくれた。

「いや、いいんだ。いずれ話すつもりだった事だしね。好きでもない相手でも、その時は誰でもよかった。それで、その相手の女の子たちは大体年上で、俺は彼女達に色々と教わることになったって訳。勉強以外のそういうことをね。」

「そっ、そうだったんだ…。」

 正直に話してくれたのはうれしいけど、やっぱり他の女性とそういうことがあったというのはショックだった。

 もう過去には戻れないけど彼の初めてになれたらよかったのにという思いは消えない…。

 自然と琴乃の頬を涙がつたう。

「ゴメン、やっぱりショックだよね…。俺のこと嫌になっちゃった?」

 佐野君は涙を優しく拭いてくれる。

「そんな事ない。ただ…、やっぱり他の女の人と佐野君がそういう関係だったってことは受け入れるのにはもう少し、時間がかかるかもしれない…。」

 彼のことが好きな分、遊びでも過去の女性関係について知らされることは辛い。

 彼の心まではその人たちに奪われていなかったことが唯一の救いではあるけれど…。

「そうだよね。でも、俺もう琴乃一筋だから。て言うか、初めて好きになった女の子だから。大切にするよ。」

 そう言うと、ぎゅっと手を握られる。

「ありがと。うれしい。」

「琴乃が、俺の過去の女性関係が気になるのは普通のことだよ。俺も琴乃がどんなやつと付き合ってたかって気になるし…。同じだよ。」

「私なんて、そんな付き合ったって言えるような人はいないよ。中学の時一緒に帰ったり、たまに映画とか一緒に行ったりする位の付き合いで、こんな、その…、体の関係というか、そういうのは全くなくて…。佐野君が初めてだよ。」

「そっか。それでも俺妬けちゃうな…。琴乃が俺以外の誰かにときめいてたなんて、考えるだけでハラワタ煮えくり返っちゃうよ。」

 こぶしを握り締めながら、ほんとに過去の彼に嫉妬しているようだった。

「そっ、そんな大袈裟なこと…。ほんと、子どもの遊びみたいな付き合いだったの。」

「でも、一応付き合おうと思ったってことは、琴乃も気があったってことだろ?」

 何だかほんとに嫉妬心に火が付いてきてしまったようなので、

「ううん。相手の人には悪いけど、興味本位っていうか、付き合うってどんな感じかな~って。そんな不純な動機だったんだよね。だから、好きで付き合った訳じゃないの…。」

 決まり悪そうに告白する琴乃に、

「俺よりはずっとましだよ。俺は相手の女の子たち傷つけちゃったし。彼女達も遊びって割り切ってくれてたらいいんだけどね。」

 佐野君も気まずそうだ。

「でも、俺、琴乃に会って初めて女の子を好きになって、何か世界がすっかり変わっちゃたよ。」

 そう言われても、琴乃はなぜこんな素敵な佐野君が自分を好きでいてくれるのか、今だに信じられない。

 どこかピンときてない様子の琴乃に、

「信じられないっていう顔してるね。でも、自分でも理由なんて分らないけど、琴乃を見るだけでドキドキする。こうして触れられるようになって、琴乃からも触れられて、正直いっつも心臓バックバクなんだよ。」

 はずかしそうに打ち明ける佐野君に、

「わっ、わたしだって、いっつもドキドキしてる。おまけに…。」

 琴乃は言葉を続けるのをためらう。

「その、ああいうことする時は、死んじゃいそうにドキドキしちゃう。」

 顔を真っ赤にする琴乃に、「かっ、かわいい。」聞こえないような声で佐野君がつぶやく。

「えっ、何?」

「ううん、何でもない。」

 佐野君は琴乃の頭をぽんぽんっと優しくたたく。

「まあ、誰かを好きになると、お互い過去の相手は気になるよなー。ただ男と女で違うとしたら、今はその勉強がこうして琴乃を愛する時に役に立ってるってことかな。」

 そう言うと、佐野君はいたずらっぽく笑う。

「琴乃を気持ちよくしてあげられるっていう、楽しみがあるからね。」

 そして、再び唇が重ねられ、琴乃はベッドに押し倒される。

「ちょっ、ちょっと、佐野君?なにしてっ…。んんっ…。」

「決まってるだろ、高校生男子をなめちゃ困るな。まだまだ、愛し足りないんだから。」

 そう言うと再び激しい愛撫が繰り返され、二人は淫らに交わるのだった。
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