35 / 39
ドSな彼のイジワルな愛し方.35
しおりを挟むそんな情事の後ではあったが、琴乃は今まで聞けなかったある事を勇気を出して聞いてみる。
「ねえ、佐野君。聞いてもいいかな?」
「なんだよ、改まって。」
「バイトはどうしてやり始めたの?」
「あ、ああ。そのことか。」
佐野君は少し困った表情になる。
「うーん。出来れば言いたくなかったんだけど…。学校ではさ、ずっと琴乃の事見守ってられるだろ。だけど、バイト先で変な奴が琴乃の事を狙ってるかもしれないだろ。だから、そういう芽を積むために同じバイトを選んだんだ。まあ、時間まで同じにすると、君が話しかけてきちゃう可能性があったから、時間はずらすしかなかったけどね。」
琴乃はまさかそんな理由だったとは想像もしていなかった。
「そうだったんだ…。あの頃の佐野君は怖かったな…。」
「ごめん。俺もいっぱいいっぱいで、余裕なんか無くて。ついやりすぎたって反省してる。許してもらえるかな?」
素直にあやまる佐野君を責める気持ちにはならなかった。
「もういいの。理由が分かれば。」
そして、琴乃はもう一つどうしても気になっていたことを勇気を出して聞いてみる。
「あとね、その…、言いにくいんだけど…。その、佐野君って、女性経験が豊富だよな~って。同い年なのに…。あの、別に怒ったりしないから、聞かせて欲しいな~って。」
「ああ、そういう話か…。俺さ、小さい頃から甘やかされて育てられて、でも、その頃は何の疑問も持たなかった。でも、中学に入った頃から、何でウチは他の家と違うんだろうって考えるようになって、やっと友達になってもウチが金持ちだって分ると急によそよそしくなって…、そんなことが繰り返されるうちに学校に行かなくなったんだ…。」
少し言葉を切ると、また話はじめる。
「そんな時、街に出てはナンパばっかりして、嫌な事から逃れようとしてたんだ。」
「そっ、そうだったんだ…。ゴメンね、変なこと聞いちゃって。」
申し訳なさそうに言う琴乃に、佐野君は包み隠さず話してくれた。
「いや、いいんだ。いずれ話すつもりだった事だしね。好きでもない相手でも、その時は誰でもよかった。それで、その相手の女の子たちは大体年上で、俺は彼女達に色々と教わることになったって訳。勉強以外のそういうことをね。」
「そっ、そうだったんだ…。」
正直に話してくれたのはうれしいけど、やっぱり他の女性とそういうことがあったというのはショックだった。
もう過去には戻れないけど彼の初めてになれたらよかったのにという思いは消えない…。
自然と琴乃の頬を涙がつたう。
「ゴメン、やっぱりショックだよね…。俺のこと嫌になっちゃった?」
佐野君は涙を優しく拭いてくれる。
「そんな事ない。ただ…、やっぱり他の女の人と佐野君がそういう関係だったってことは受け入れるのにはもう少し、時間がかかるかもしれない…。」
彼のことが好きな分、遊びでも過去の女性関係について知らされることは辛い。
彼の心まではその人たちに奪われていなかったことが唯一の救いではあるけれど…。
「そうだよね。でも、俺もう琴乃一筋だから。て言うか、初めて好きになった女の子だから。大切にするよ。」
そう言うと、ぎゅっと手を握られる。
「ありがと。うれしい。」
「琴乃が、俺の過去の女性関係が気になるのは普通のことだよ。俺も琴乃がどんなやつと付き合ってたかって気になるし…。同じだよ。」
「私なんて、そんな付き合ったって言えるような人はいないよ。中学の時一緒に帰ったり、たまに映画とか一緒に行ったりする位の付き合いで、こんな、その…、体の関係というか、そういうのは全くなくて…。佐野君が初めてだよ。」
「そっか。それでも俺妬けちゃうな…。琴乃が俺以外の誰かにときめいてたなんて、考えるだけでハラワタ煮えくり返っちゃうよ。」
こぶしを握り締めながら、ほんとに過去の彼に嫉妬しているようだった。
「そっ、そんな大袈裟なこと…。ほんと、子どもの遊びみたいな付き合いだったの。」
「でも、一応付き合おうと思ったってことは、琴乃も気があったってことだろ?」
何だかほんとに嫉妬心に火が付いてきてしまったようなので、
「ううん。相手の人には悪いけど、興味本位っていうか、付き合うってどんな感じかな~って。そんな不純な動機だったんだよね。だから、好きで付き合った訳じゃないの…。」
決まり悪そうに告白する琴乃に、
「俺よりはずっとましだよ。俺は相手の女の子たち傷つけちゃったし。彼女達も遊びって割り切ってくれてたらいいんだけどね。」
佐野君も気まずそうだ。
「でも、俺、琴乃に会って初めて女の子を好きになって、何か世界がすっかり変わっちゃたよ。」
そう言われても、琴乃はなぜこんな素敵な佐野君が自分を好きでいてくれるのか、今だに信じられない。
どこかピンときてない様子の琴乃に、
「信じられないっていう顔してるね。でも、自分でも理由なんて分らないけど、琴乃を見るだけでドキドキする。こうして触れられるようになって、琴乃からも触れられて、正直いっつも心臓バックバクなんだよ。」
はずかしそうに打ち明ける佐野君に、
「わっ、わたしだって、いっつもドキドキしてる。おまけに…。」
琴乃は言葉を続けるのをためらう。
「その、ああいうことする時は、死んじゃいそうにドキドキしちゃう。」
顔を真っ赤にする琴乃に、「かっ、かわいい。」聞こえないような声で佐野君がつぶやく。
「えっ、何?」
「ううん、何でもない。」
佐野君は琴乃の頭をぽんぽんっと優しくたたく。
「まあ、誰かを好きになると、お互い過去の相手は気になるよなー。ただ男と女で違うとしたら、今はその勉強がこうして琴乃を愛する時に役に立ってるってことかな。」
そう言うと、佐野君はいたずらっぽく笑う。
「琴乃を気持ちよくしてあげられるっていう、楽しみがあるからね。」
そして、再び唇が重ねられ、琴乃はベッドに押し倒される。
「ちょっ、ちょっと、佐野君?なにしてっ…。んんっ…。」
「決まってるだろ、高校生男子をなめちゃ困るな。まだまだ、愛し足りないんだから。」
そう言うと再び激しい愛撫が繰り返され、二人は淫らに交わるのだった。
0
お気に入りに追加
291
あなたにおすすめの小説
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる