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ドSな彼のイジワルな愛し方.25
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「村井さんどうしたの?」
今日一日はメイド役を引き受けたのだから、そう聞かれるのは当然のことだった。
「えっと、その、ちょっと疲れちゃって…。これから放送部の仕事もあるし、悪いけどお昼からはメイド役できなくなっちゃった。ホントにごめんなさい。」
琴乃にそう言われると、無理に頼んだ皆としてはこれ以上何も言うことができない。
「そっか。そうだよね。最初からメイド役じゃなかったんだし、私達も村井さんに頼りすぎちゃたから…、無理させちゃってごめんね。」
(ホントはそうじゃないんだけど、みんなゴメンね。)
心の中であやまりながら琴乃は少し疲れた表情で、
「ううん、私こそ、最後まで出来なくてごめんね。」
と言って皆に申し訳ない気持ちを伝える。
するとリーダーの三樹が、
「まあ、もうあと午後の2~3時間なんだから、みんなでなんとかやれるよ。村井さん、気にしなくていいから。うちらは、十分助けてもらったから。放送部の方急がないといけないんでしょ。そっちで着替えて行っていいよ。」
そう言って着替えスペースを指差す。
「ありがとう。じゃあ、放送部の仕事頑張ってきます。」
琴乃は着替え終わると再び音楽室に戻る。
佐野君はホッとした表情で琴乃を見つめる。
「君は本当に自分が分かってない。だから、俺が守ってやる。」
「う、うん。」
「そうやっていつも素直でいてくれると助かるよ。」
「…。私、そろそろ放送部に行く時間なので…。」
「そう、じゃあ頑張ってね。」
琴乃は釈然としない気持ちのまま、放送室に向かう。
少しだけ時間に遅れてしまったけれど、今は特に放送することも無く、もう一人の当番の小百合ちゃんも暇そうにしていた。
「ごめん、遅れちゃって。」
「ああ、大丈夫。私も今来たばっかり。ところでさ、そろそろクラス別出し物ランキングの集計結果が出るころだから職員室に取りに行かないといけないんだけど、どっちが行く?私行ってもいいけど。」
「私、行ってくるよ。」
「え、いいの?」
「うん。ちょっぴり遅れちゃったお詫びに。」
「そんなのホントに気にしなくていいのに~。」
いつもマイペースでのんびり屋の小百合ちゃんは、一人にしたら今にも眠ってしまいそうな目をしている。
「いいから、いいから。じゃあ、行ってくるね~。」
「うん。よろしく~。」
琴乃は覇気の無い小百合ちゃんの声を背中に受けながら職員室へと向かった。
「失礼しま~す。」
琴乃が職員室に入ると、集計の責任者である生徒指導の岩城先生がまだ集計をしている最中だった。
「おお、放送部か。もう少しで結果が出るから、ちょっと待ってろ。」
そう言うと、電卓を叩きながらぺらぺらと投票用紙をめくっていく。
「ふう~。やっと終わった。」
集計結果を書き込むと、その用紙を琴乃に手渡した。
「ほれ、これが今年の順位だ。もうすぐ3時だから学園祭終了の知らせと、体育館に集合するように放送をかけてくれ。順位の発表は例年どおり、体育館で行うから。」
「わかりました。」
琴乃は結果の書かれた用紙を持って放送室へ取って返した。
「ただいま~。」
琴乃が放送室に戻ると、案の定小百合ちゃんはこっくりこっくり船を漕いでいた。
「小百合ちゃん、起きて!お仕事だよ!」
小百合ちゃんは、う~んと伸びをするとやっと目を覚ます。
「あ、お帰り~。」
「も~う、何寝てんの?ちゃんと仕事して~。」
「だって、今やることないんだも~ん。」
「結果発表もあるし、終了時間の案内と、体育館への集合もかけないといけないし。これから忙しいんだから。」
「え~、そんなにやることあるの~?」
小百合ちゃんは可愛くてよく通る声の持ち主で、放送部には適任だと思うんだけど、このマイペースな性格が皆のやる気を削いでしまう。
「そんなことぼやいてる暇は無いの。ほら、読み上げるの一回通して練習するよ。」
「めんどくさ~い。」
「もう時間ないんだから、さあ、始めるよ。」
琴乃は小百合ちゃんのお尻を叩いて、何とか任された仕事をこなしていった。
今日一日はメイド役を引き受けたのだから、そう聞かれるのは当然のことだった。
「えっと、その、ちょっと疲れちゃって…。これから放送部の仕事もあるし、悪いけどお昼からはメイド役できなくなっちゃった。ホントにごめんなさい。」
琴乃にそう言われると、無理に頼んだ皆としてはこれ以上何も言うことができない。
「そっか。そうだよね。最初からメイド役じゃなかったんだし、私達も村井さんに頼りすぎちゃたから…、無理させちゃってごめんね。」
(ホントはそうじゃないんだけど、みんなゴメンね。)
心の中であやまりながら琴乃は少し疲れた表情で、
「ううん、私こそ、最後まで出来なくてごめんね。」
と言って皆に申し訳ない気持ちを伝える。
するとリーダーの三樹が、
「まあ、もうあと午後の2~3時間なんだから、みんなでなんとかやれるよ。村井さん、気にしなくていいから。うちらは、十分助けてもらったから。放送部の方急がないといけないんでしょ。そっちで着替えて行っていいよ。」
そう言って着替えスペースを指差す。
「ありがとう。じゃあ、放送部の仕事頑張ってきます。」
琴乃は着替え終わると再び音楽室に戻る。
佐野君はホッとした表情で琴乃を見つめる。
「君は本当に自分が分かってない。だから、俺が守ってやる。」
「う、うん。」
「そうやっていつも素直でいてくれると助かるよ。」
「…。私、そろそろ放送部に行く時間なので…。」
「そう、じゃあ頑張ってね。」
琴乃は釈然としない気持ちのまま、放送室に向かう。
少しだけ時間に遅れてしまったけれど、今は特に放送することも無く、もう一人の当番の小百合ちゃんも暇そうにしていた。
「ごめん、遅れちゃって。」
「ああ、大丈夫。私も今来たばっかり。ところでさ、そろそろクラス別出し物ランキングの集計結果が出るころだから職員室に取りに行かないといけないんだけど、どっちが行く?私行ってもいいけど。」
「私、行ってくるよ。」
「え、いいの?」
「うん。ちょっぴり遅れちゃったお詫びに。」
「そんなのホントに気にしなくていいのに~。」
いつもマイペースでのんびり屋の小百合ちゃんは、一人にしたら今にも眠ってしまいそうな目をしている。
「いいから、いいから。じゃあ、行ってくるね~。」
「うん。よろしく~。」
琴乃は覇気の無い小百合ちゃんの声を背中に受けながら職員室へと向かった。
「失礼しま~す。」
琴乃が職員室に入ると、集計の責任者である生徒指導の岩城先生がまだ集計をしている最中だった。
「おお、放送部か。もう少しで結果が出るから、ちょっと待ってろ。」
そう言うと、電卓を叩きながらぺらぺらと投票用紙をめくっていく。
「ふう~。やっと終わった。」
集計結果を書き込むと、その用紙を琴乃に手渡した。
「ほれ、これが今年の順位だ。もうすぐ3時だから学園祭終了の知らせと、体育館に集合するように放送をかけてくれ。順位の発表は例年どおり、体育館で行うから。」
「わかりました。」
琴乃は結果の書かれた用紙を持って放送室へ取って返した。
「ただいま~。」
琴乃が放送室に戻ると、案の定小百合ちゃんはこっくりこっくり船を漕いでいた。
「小百合ちゃん、起きて!お仕事だよ!」
小百合ちゃんは、う~んと伸びをするとやっと目を覚ます。
「あ、お帰り~。」
「も~う、何寝てんの?ちゃんと仕事して~。」
「だって、今やることないんだも~ん。」
「結果発表もあるし、終了時間の案内と、体育館への集合もかけないといけないし。これから忙しいんだから。」
「え~、そんなにやることあるの~?」
小百合ちゃんは可愛くてよく通る声の持ち主で、放送部には適任だと思うんだけど、このマイペースな性格が皆のやる気を削いでしまう。
「そんなことぼやいてる暇は無いの。ほら、読み上げるの一回通して練習するよ。」
「めんどくさ~い。」
「もう時間ないんだから、さあ、始めるよ。」
琴乃は小百合ちゃんのお尻を叩いて、何とか任された仕事をこなしていった。
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