25 / 39
ドSな彼のイジワルな愛し方.25
しおりを挟む
「村井さんどうしたの?」
今日一日はメイド役を引き受けたのだから、そう聞かれるのは当然のことだった。
「えっと、その、ちょっと疲れちゃって…。これから放送部の仕事もあるし、悪いけどお昼からはメイド役できなくなっちゃった。ホントにごめんなさい。」
琴乃にそう言われると、無理に頼んだ皆としてはこれ以上何も言うことができない。
「そっか。そうだよね。最初からメイド役じゃなかったんだし、私達も村井さんに頼りすぎちゃたから…、無理させちゃってごめんね。」
(ホントはそうじゃないんだけど、みんなゴメンね。)
心の中であやまりながら琴乃は少し疲れた表情で、
「ううん、私こそ、最後まで出来なくてごめんね。」
と言って皆に申し訳ない気持ちを伝える。
するとリーダーの三樹が、
「まあ、もうあと午後の2~3時間なんだから、みんなでなんとかやれるよ。村井さん、気にしなくていいから。うちらは、十分助けてもらったから。放送部の方急がないといけないんでしょ。そっちで着替えて行っていいよ。」
そう言って着替えスペースを指差す。
「ありがとう。じゃあ、放送部の仕事頑張ってきます。」
琴乃は着替え終わると再び音楽室に戻る。
佐野君はホッとした表情で琴乃を見つめる。
「君は本当に自分が分かってない。だから、俺が守ってやる。」
「う、うん。」
「そうやっていつも素直でいてくれると助かるよ。」
「…。私、そろそろ放送部に行く時間なので…。」
「そう、じゃあ頑張ってね。」
琴乃は釈然としない気持ちのまま、放送室に向かう。
少しだけ時間に遅れてしまったけれど、今は特に放送することも無く、もう一人の当番の小百合ちゃんも暇そうにしていた。
「ごめん、遅れちゃって。」
「ああ、大丈夫。私も今来たばっかり。ところでさ、そろそろクラス別出し物ランキングの集計結果が出るころだから職員室に取りに行かないといけないんだけど、どっちが行く?私行ってもいいけど。」
「私、行ってくるよ。」
「え、いいの?」
「うん。ちょっぴり遅れちゃったお詫びに。」
「そんなのホントに気にしなくていいのに~。」
いつもマイペースでのんびり屋の小百合ちゃんは、一人にしたら今にも眠ってしまいそうな目をしている。
「いいから、いいから。じゃあ、行ってくるね~。」
「うん。よろしく~。」
琴乃は覇気の無い小百合ちゃんの声を背中に受けながら職員室へと向かった。
「失礼しま~す。」
琴乃が職員室に入ると、集計の責任者である生徒指導の岩城先生がまだ集計をしている最中だった。
「おお、放送部か。もう少しで結果が出るから、ちょっと待ってろ。」
そう言うと、電卓を叩きながらぺらぺらと投票用紙をめくっていく。
「ふう~。やっと終わった。」
集計結果を書き込むと、その用紙を琴乃に手渡した。
「ほれ、これが今年の順位だ。もうすぐ3時だから学園祭終了の知らせと、体育館に集合するように放送をかけてくれ。順位の発表は例年どおり、体育館で行うから。」
「わかりました。」
琴乃は結果の書かれた用紙を持って放送室へ取って返した。
「ただいま~。」
琴乃が放送室に戻ると、案の定小百合ちゃんはこっくりこっくり船を漕いでいた。
「小百合ちゃん、起きて!お仕事だよ!」
小百合ちゃんは、う~んと伸びをするとやっと目を覚ます。
「あ、お帰り~。」
「も~う、何寝てんの?ちゃんと仕事して~。」
「だって、今やることないんだも~ん。」
「結果発表もあるし、終了時間の案内と、体育館への集合もかけないといけないし。これから忙しいんだから。」
「え~、そんなにやることあるの~?」
小百合ちゃんは可愛くてよく通る声の持ち主で、放送部には適任だと思うんだけど、このマイペースな性格が皆のやる気を削いでしまう。
「そんなことぼやいてる暇は無いの。ほら、読み上げるの一回通して練習するよ。」
「めんどくさ~い。」
「もう時間ないんだから、さあ、始めるよ。」
琴乃は小百合ちゃんのお尻を叩いて、何とか任された仕事をこなしていった。
今日一日はメイド役を引き受けたのだから、そう聞かれるのは当然のことだった。
「えっと、その、ちょっと疲れちゃって…。これから放送部の仕事もあるし、悪いけどお昼からはメイド役できなくなっちゃった。ホントにごめんなさい。」
琴乃にそう言われると、無理に頼んだ皆としてはこれ以上何も言うことができない。
「そっか。そうだよね。最初からメイド役じゃなかったんだし、私達も村井さんに頼りすぎちゃたから…、無理させちゃってごめんね。」
(ホントはそうじゃないんだけど、みんなゴメンね。)
心の中であやまりながら琴乃は少し疲れた表情で、
「ううん、私こそ、最後まで出来なくてごめんね。」
と言って皆に申し訳ない気持ちを伝える。
するとリーダーの三樹が、
「まあ、もうあと午後の2~3時間なんだから、みんなでなんとかやれるよ。村井さん、気にしなくていいから。うちらは、十分助けてもらったから。放送部の方急がないといけないんでしょ。そっちで着替えて行っていいよ。」
そう言って着替えスペースを指差す。
「ありがとう。じゃあ、放送部の仕事頑張ってきます。」
琴乃は着替え終わると再び音楽室に戻る。
佐野君はホッとした表情で琴乃を見つめる。
「君は本当に自分が分かってない。だから、俺が守ってやる。」
「う、うん。」
「そうやっていつも素直でいてくれると助かるよ。」
「…。私、そろそろ放送部に行く時間なので…。」
「そう、じゃあ頑張ってね。」
琴乃は釈然としない気持ちのまま、放送室に向かう。
少しだけ時間に遅れてしまったけれど、今は特に放送することも無く、もう一人の当番の小百合ちゃんも暇そうにしていた。
「ごめん、遅れちゃって。」
「ああ、大丈夫。私も今来たばっかり。ところでさ、そろそろクラス別出し物ランキングの集計結果が出るころだから職員室に取りに行かないといけないんだけど、どっちが行く?私行ってもいいけど。」
「私、行ってくるよ。」
「え、いいの?」
「うん。ちょっぴり遅れちゃったお詫びに。」
「そんなのホントに気にしなくていいのに~。」
いつもマイペースでのんびり屋の小百合ちゃんは、一人にしたら今にも眠ってしまいそうな目をしている。
「いいから、いいから。じゃあ、行ってくるね~。」
「うん。よろしく~。」
琴乃は覇気の無い小百合ちゃんの声を背中に受けながら職員室へと向かった。
「失礼しま~す。」
琴乃が職員室に入ると、集計の責任者である生徒指導の岩城先生がまだ集計をしている最中だった。
「おお、放送部か。もう少しで結果が出るから、ちょっと待ってろ。」
そう言うと、電卓を叩きながらぺらぺらと投票用紙をめくっていく。
「ふう~。やっと終わった。」
集計結果を書き込むと、その用紙を琴乃に手渡した。
「ほれ、これが今年の順位だ。もうすぐ3時だから学園祭終了の知らせと、体育館に集合するように放送をかけてくれ。順位の発表は例年どおり、体育館で行うから。」
「わかりました。」
琴乃は結果の書かれた用紙を持って放送室へ取って返した。
「ただいま~。」
琴乃が放送室に戻ると、案の定小百合ちゃんはこっくりこっくり船を漕いでいた。
「小百合ちゃん、起きて!お仕事だよ!」
小百合ちゃんは、う~んと伸びをするとやっと目を覚ます。
「あ、お帰り~。」
「も~う、何寝てんの?ちゃんと仕事して~。」
「だって、今やることないんだも~ん。」
「結果発表もあるし、終了時間の案内と、体育館への集合もかけないといけないし。これから忙しいんだから。」
「え~、そんなにやることあるの~?」
小百合ちゃんは可愛くてよく通る声の持ち主で、放送部には適任だと思うんだけど、このマイペースな性格が皆のやる気を削いでしまう。
「そんなことぼやいてる暇は無いの。ほら、読み上げるの一回通して練習するよ。」
「めんどくさ~い。」
「もう時間ないんだから、さあ、始めるよ。」
琴乃は小百合ちゃんのお尻を叩いて、何とか任された仕事をこなしていった。
0
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説



だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる