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ドSな彼のイジワルな愛し方.24
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一晩眠って随分元気になった琴乃は二日目の学園祭を裏方として頑張るつもりで張り切っていた。
しかし、一日目の好きなメイド投票を集計してみると、なんと琴乃が二位に大差をつけて一位になってしまっていたのだ。
まだ今日一日あるとはいえ一位の琴乃をメンバーから外すのはチケットの売れ行きにかなり影響してしまうという危惧がメイドメンバーの中に広がっていた。
リーダーの三樹はおもむろに立ち上がると琴乃のところにやって来きてこう言った。
「ねえ、村井さん悪いんだけど、もう一日メイドの役やってもらえない?」
「え、ど、どうして…?私、今日はお菓子作りのはずなんだけど…。」
「わかってる。でも、村井さん昨日の好きなメイド投票で一位だったんだ。だから、村井さんがいないってなるとお客さんが減っちゃいそうで、うちのクラスとしては大損害なんだよね。」
「そ、そう言われても…。」
「お願い、この通り。」
三樹は琴乃に向かって頭を下げる。
「わ、わ、そんなのやめて。わかったから、やる、やりますよ、メイド。」
「ほんとに!ありがとう。恩に着る、村井さん。」
昨日休んでいたフリフリメイド服の子は今日は何とか登校してきたものの、まだ咳がひどくてしんどそうだということもあって、琴乃はメイド役を引き受けることにした。
昨日丸一日やったこともあり、今日は比較的メイド役も板についてきた。
「なに、今日もメイドさんなの?」
安藤君が話しかけてくる。
「う、うん。いろいろあって。」
「へえ、そうなんだ。でも、似合ってるからいいんじゃない?」
「もう、安藤君までそんな適当なこと言って。私、ほんとにやりたくないんだから~。」
「そんなもったいないこと言わないで。琴乃が一番かわいいメイドさんだよ。」
「も~、調子いいんだから~。」
そんなたわいのない会話をしているとリーダーから召集がかかる。
「メイド役の子たち~、そろそろ始まるから集まって~。」
「は~い。」
「今日は学園祭最終日だから、みんな頑張ってやろうね。うちのクラスけっこう評判いいから、この調子でいけばクラス別出し物ランキングの上位ねらえるからね!それじゃ、みんな持ち場について!」
「は~い!」
みんなはそれぞれの持ち場につくと開店時間になった。開店と同時にどっとお客さん(学生)が入ってくる。
「いらっしゃいませ~、ご主人様。」
メイド役の女の子たちは今日こそは自分が人気投票の一位になろうと張り切っている。
琴乃はと言えば、そもそも望んでメイドになっている訳ではないためテンションはイマイチだが、みんなの役に立つなら今日一日頑張ろうと気を引き締めた。
午前中はひっきりなしにお客さんが訪れ、息をつく暇もなかったが、午後からは放送部の当番があるため一旦抜けることになっていた。
着替えるのも面倒だったので、ちょっと見た目は悪いけどメイド服の上からブレザーを羽織って放送室へ向かう。
その途中、音楽室の前を通り過ぎようとした時、急にガラリとドアが開き、中から佐野君が現れ、琴乃の腕を掴むと音楽室の中に無理やり入れられてしまった。
音楽室といっても、そこは防音が施されている特別室で、主にピアノの練習などのに使用される部屋なので外に声が漏れることもないし、はめ込みの小窓がついているだけで、外からは中に誰かがいても気付かれる心配はない。
「さ、佐野君?どうしたの?」
「どうして今日もメイドなの?」
学園祭の実行委員を任されている佐野君は今朝リーダーに頼まれメイドをやることになったといういきさつを知らなかったのだ。
「こ、これには色々と訳があって…。」
「だからって、君は何もわかってない。」
「わかってないって、何が…。」
「もう、メイドはやめだ。」
「そ、そんな訳にはいかないよ。」
いつもは逆らわないようにしている琴乃も今回は事情があるだけに、つい口答えをしてしまう。
「何で、俺の言うことがきけないの?」
佐野君は辛そうな表情で琴乃の腕をグッと掴んだ。
「いたっ!」
「ご、ごめん…。」
佐野君は琴乃の腕を放すと、ふわりと琴乃を抱きしめる。
「琴乃…。俺の事信じられない?」
「そ、そういう訳じゃないけど…。」
「じゃあ、すぐにその服脱いで制服に着替えなよ。」
「で、でも…。代わりの子がいないから…。」
「そんなの一人くらいいなくったって問題ないじゃん。」
「…。」
頑として聞かない佐野君に琴乃は仕方なく従い、制服に着替えるために教室に戻った。
しかし、一日目の好きなメイド投票を集計してみると、なんと琴乃が二位に大差をつけて一位になってしまっていたのだ。
まだ今日一日あるとはいえ一位の琴乃をメンバーから外すのはチケットの売れ行きにかなり影響してしまうという危惧がメイドメンバーの中に広がっていた。
リーダーの三樹はおもむろに立ち上がると琴乃のところにやって来きてこう言った。
「ねえ、村井さん悪いんだけど、もう一日メイドの役やってもらえない?」
「え、ど、どうして…?私、今日はお菓子作りのはずなんだけど…。」
「わかってる。でも、村井さん昨日の好きなメイド投票で一位だったんだ。だから、村井さんがいないってなるとお客さんが減っちゃいそうで、うちのクラスとしては大損害なんだよね。」
「そ、そう言われても…。」
「お願い、この通り。」
三樹は琴乃に向かって頭を下げる。
「わ、わ、そんなのやめて。わかったから、やる、やりますよ、メイド。」
「ほんとに!ありがとう。恩に着る、村井さん。」
昨日休んでいたフリフリメイド服の子は今日は何とか登校してきたものの、まだ咳がひどくてしんどそうだということもあって、琴乃はメイド役を引き受けることにした。
昨日丸一日やったこともあり、今日は比較的メイド役も板についてきた。
「なに、今日もメイドさんなの?」
安藤君が話しかけてくる。
「う、うん。いろいろあって。」
「へえ、そうなんだ。でも、似合ってるからいいんじゃない?」
「もう、安藤君までそんな適当なこと言って。私、ほんとにやりたくないんだから~。」
「そんなもったいないこと言わないで。琴乃が一番かわいいメイドさんだよ。」
「も~、調子いいんだから~。」
そんなたわいのない会話をしているとリーダーから召集がかかる。
「メイド役の子たち~、そろそろ始まるから集まって~。」
「は~い。」
「今日は学園祭最終日だから、みんな頑張ってやろうね。うちのクラスけっこう評判いいから、この調子でいけばクラス別出し物ランキングの上位ねらえるからね!それじゃ、みんな持ち場について!」
「は~い!」
みんなはそれぞれの持ち場につくと開店時間になった。開店と同時にどっとお客さん(学生)が入ってくる。
「いらっしゃいませ~、ご主人様。」
メイド役の女の子たちは今日こそは自分が人気投票の一位になろうと張り切っている。
琴乃はと言えば、そもそも望んでメイドになっている訳ではないためテンションはイマイチだが、みんなの役に立つなら今日一日頑張ろうと気を引き締めた。
午前中はひっきりなしにお客さんが訪れ、息をつく暇もなかったが、午後からは放送部の当番があるため一旦抜けることになっていた。
着替えるのも面倒だったので、ちょっと見た目は悪いけどメイド服の上からブレザーを羽織って放送室へ向かう。
その途中、音楽室の前を通り過ぎようとした時、急にガラリとドアが開き、中から佐野君が現れ、琴乃の腕を掴むと音楽室の中に無理やり入れられてしまった。
音楽室といっても、そこは防音が施されている特別室で、主にピアノの練習などのに使用される部屋なので外に声が漏れることもないし、はめ込みの小窓がついているだけで、外からは中に誰かがいても気付かれる心配はない。
「さ、佐野君?どうしたの?」
「どうして今日もメイドなの?」
学園祭の実行委員を任されている佐野君は今朝リーダーに頼まれメイドをやることになったといういきさつを知らなかったのだ。
「こ、これには色々と訳があって…。」
「だからって、君は何もわかってない。」
「わかってないって、何が…。」
「もう、メイドはやめだ。」
「そ、そんな訳にはいかないよ。」
いつもは逆らわないようにしている琴乃も今回は事情があるだけに、つい口答えをしてしまう。
「何で、俺の言うことがきけないの?」
佐野君は辛そうな表情で琴乃の腕をグッと掴んだ。
「いたっ!」
「ご、ごめん…。」
佐野君は琴乃の腕を放すと、ふわりと琴乃を抱きしめる。
「琴乃…。俺の事信じられない?」
「そ、そういう訳じゃないけど…。」
「じゃあ、すぐにその服脱いで制服に着替えなよ。」
「で、でも…。代わりの子がいないから…。」
「そんなの一人くらいいなくったって問題ないじゃん。」
「…。」
頑として聞かない佐野君に琴乃は仕方なく従い、制服に着替えるために教室に戻った。
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