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ドSな彼のイジワルな愛し方.22
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いよいよメイド喫茶開店の時間になり、チケットを買ってくれたお客さんはもちろんのこと、さっきから頑張っていた呼び込みで集まってきたお客さんで、テーブルはあっという間に満席となった。
「村井さんこれおねが~い。」
「は~い。」
「オーダーお願いしまーす。」
「は~い。ただいま。」
始まってしまえば、余計なことを考えている暇は無く、琴乃は夢中になってメイドの仕事をこなしていた。
しかし、琴乃はあることに気付く。
昨日佐野君に無理やり着せられた、あの過激な衣装を着ている子が見当たらないのだ。
不思議に思った琴乃が他のメイドの子にそれとなく尋ねてみる。
「ねえ、メイドの衣装のことなんだけど、こう襟ぐりがざっくり開いてて、うしろは背中がおしりくらいまで開いててリボンがクロスしてて、スカートの丈が異常に短いのってある?」
「なにそれ?そんな過激なのある訳ないじゃん。」
「そ、そうだよね。ははっ。」
「余計な話は後で。忙しいんだから、働くの!」
「は、はい!」
琴乃は昨日のことは夢だったのかと一瞬思ったのだが、この体のだるさが夢ではないことを物語っている。
(ということは、佐野君のしわざだな~。)
琴乃は教室の中を見回して佐野君の姿を探してみるのだが、そんな時に限って彼はいなかった。
(いいなりになってあんな格好までした私って…。)
琴乃は度を越した佐野君のいたずらに眩暈がしてきた。
そんな琴乃の気持ちにはおかまいなく、お客の男子たちが声をかけてくる。
「ねえ、ねえ、君かわいいね。一緒に写真撮りたいんだけど。」
メイド喫茶のサービスとして、写真を一緒に撮るというのも入っているため断る事は出来ない。
「は~い。」
琴乃は出来るだけ明るく振舞い、フレームに納まる。
すると、そのうちの一人が琴乃の腰に手を回してきた。
「や、やめてください。」
「なにお高く留まってんの。メイドなんだからご主人様の言う事には従うんでしょ。」
みんながみんなこんな訳ではないのに、たまにいるタチの悪いのに当たってしまったようだ。
「そ、それは…。」
琴乃が強く拒絶して来ないのをいいことに、その男子はさらに行動をエスカレートさせて、琴乃の腕をつかむと自分の方に引き寄せ膝の上に座らせようとしてきた。
「や、やめて!」
琴乃がそう叫ぶと同時に誰かがその男の手をグッと掴んだ。
琴乃が振り返ると、そこには安藤君が立っていた。
「あ、安藤君。どうして…。」
「ああ、僕の担当の時間が終わったから丁度今帰ってきたところ。そしたら、琴乃が何だか騒いでるから、どうしたのかな~と思って。」
すると、例の男子の怒りの矛先は当然だけど、安藤君の方に向けられる。
「よお、お前誰だよ。何の権利があって俺の手にぎってんの?」
「おっと、失礼。わたくしの名前は安藤健斗と申します。」
「そんなこと聞いてんじゃねえよ。何の権利があるんだって聞いてるんだよ。」
「そう言われましても…、彼女のクラスメイトで同じ放送部っていうくらいですかね。」
「なに寝ぼけたこと言ってんだよ。彼氏でもないくせにえらそうに出しゃばってんじゃねえよ。ほら、手離せよ。」
「それはちょっと…。」
「なんだと、こら。やんのか?」
「暴力は困ります。そんなことより、もっと楽しいこと特別に教えちゃいますから、それで許してもらえませんか?」
安藤君の柳に風といった調子にペースを狂わされたその男子は、何だかおもしろそうなヤツだと思ったのか、琴乃から手を離すとおもむろに立ち上がる。
「そのもっと楽しいことってのを聞かせてもらおうか?」
「ええ、もちろん。」
そう言うと安藤君は琴乃の方に軽くウインクを投げて、その男とどこかへ行ってしまった。
「あ、安藤君…。」
琴乃は助けてもらったお礼も言えずにただ呆然とその後ろ姿を見送っていた。
しかし、その様子を佐野君が険しい表情で見ていた事にまたしても琴乃は気付いていなかった。
そして、安藤君が琴乃を助けようと駆け寄ったのとほぼ同時に佐野君が駆け寄っていた事にも。
「村井さんこれおねが~い。」
「は~い。」
「オーダーお願いしまーす。」
「は~い。ただいま。」
始まってしまえば、余計なことを考えている暇は無く、琴乃は夢中になってメイドの仕事をこなしていた。
しかし、琴乃はあることに気付く。
昨日佐野君に無理やり着せられた、あの過激な衣装を着ている子が見当たらないのだ。
不思議に思った琴乃が他のメイドの子にそれとなく尋ねてみる。
「ねえ、メイドの衣装のことなんだけど、こう襟ぐりがざっくり開いてて、うしろは背中がおしりくらいまで開いててリボンがクロスしてて、スカートの丈が異常に短いのってある?」
「なにそれ?そんな過激なのある訳ないじゃん。」
「そ、そうだよね。ははっ。」
「余計な話は後で。忙しいんだから、働くの!」
「は、はい!」
琴乃は昨日のことは夢だったのかと一瞬思ったのだが、この体のだるさが夢ではないことを物語っている。
(ということは、佐野君のしわざだな~。)
琴乃は教室の中を見回して佐野君の姿を探してみるのだが、そんな時に限って彼はいなかった。
(いいなりになってあんな格好までした私って…。)
琴乃は度を越した佐野君のいたずらに眩暈がしてきた。
そんな琴乃の気持ちにはおかまいなく、お客の男子たちが声をかけてくる。
「ねえ、ねえ、君かわいいね。一緒に写真撮りたいんだけど。」
メイド喫茶のサービスとして、写真を一緒に撮るというのも入っているため断る事は出来ない。
「は~い。」
琴乃は出来るだけ明るく振舞い、フレームに納まる。
すると、そのうちの一人が琴乃の腰に手を回してきた。
「や、やめてください。」
「なにお高く留まってんの。メイドなんだからご主人様の言う事には従うんでしょ。」
みんながみんなこんな訳ではないのに、たまにいるタチの悪いのに当たってしまったようだ。
「そ、それは…。」
琴乃が強く拒絶して来ないのをいいことに、その男子はさらに行動をエスカレートさせて、琴乃の腕をつかむと自分の方に引き寄せ膝の上に座らせようとしてきた。
「や、やめて!」
琴乃がそう叫ぶと同時に誰かがその男の手をグッと掴んだ。
琴乃が振り返ると、そこには安藤君が立っていた。
「あ、安藤君。どうして…。」
「ああ、僕の担当の時間が終わったから丁度今帰ってきたところ。そしたら、琴乃が何だか騒いでるから、どうしたのかな~と思って。」
すると、例の男子の怒りの矛先は当然だけど、安藤君の方に向けられる。
「よお、お前誰だよ。何の権利があって俺の手にぎってんの?」
「おっと、失礼。わたくしの名前は安藤健斗と申します。」
「そんなこと聞いてんじゃねえよ。何の権利があるんだって聞いてるんだよ。」
「そう言われましても…、彼女のクラスメイトで同じ放送部っていうくらいですかね。」
「なに寝ぼけたこと言ってんだよ。彼氏でもないくせにえらそうに出しゃばってんじゃねえよ。ほら、手離せよ。」
「それはちょっと…。」
「なんだと、こら。やんのか?」
「暴力は困ります。そんなことより、もっと楽しいこと特別に教えちゃいますから、それで許してもらえませんか?」
安藤君の柳に風といった調子にペースを狂わされたその男子は、何だかおもしろそうなヤツだと思ったのか、琴乃から手を離すとおもむろに立ち上がる。
「そのもっと楽しいことってのを聞かせてもらおうか?」
「ええ、もちろん。」
そう言うと安藤君は琴乃の方に軽くウインクを投げて、その男とどこかへ行ってしまった。
「あ、安藤君…。」
琴乃は助けてもらったお礼も言えずにただ呆然とその後ろ姿を見送っていた。
しかし、その様子を佐野君が険しい表情で見ていた事にまたしても琴乃は気付いていなかった。
そして、安藤君が琴乃を助けようと駆け寄ったのとほぼ同時に佐野君が駆け寄っていた事にも。
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