21 / 21
21 唐突に敵対宣言されてどう対処すべきかはさすがに聖典にも載っておりません。
しおりを挟む
仕方なく、部屋へ入る。
部屋の窓は絹か何かの布のカーテンで覆われて少し暗かったが、宝石に光源剤を塗られたランプのおかげで美しく見えた。それ以外も豪奢な家具でいっぱいだった。
正直なところそれを三つほど売って、その伝染病を抑えるための特別医療費にでも当てたらどうですか、というのが本音なのだが。
この部屋は前座のようなものだったらしい。誰も人はいなかった。しかし奥に、小さなドアがあるのをわたしは見つけた。この部屋からさっきの衛兵と話していた人が出てきたのだから、この部屋からしか出てきていないはず。他に隠し通路の類がなければ。
わたしはドアを開く。
やはりそこには、皇帝と思われる男性とその第一夫人から第三夫人だろうと思われる女性三人がいた。さらに、あの王子と船内で王子と話していた王女と思われる人がいた。
「座れ」
見ると、そこには空いている椅子があった。遠慮なく座らせていただこう。
まず、皇帝から口を開く。
「よく来た。この度来てくれたことに、とても感謝している」
皇帝はそれだけ言うと、口を閉じてしまった。
正確には、「来てくれた」ではなく「おとなしく連れてこられた」のほうが近いんですけどね。
もちろん、これも言った時点で死刑確定なので言わない。無限枚の金貨と引き換えにでもこれは絶対言わない。
入れ替わりに、三人の女性のうち一人が話し始める。第一夫人だろう。
「流石。私たちを見ても萎縮しないようで、堂々としている。珍しいですわ。しかし、来てくれたことが奇跡ですわ。このバカ息子は、どうにも人を鑑みないで独断専行で突き進んで、他人の寿命を縮めてしまう部分がありまして。まあ、それはどこかの方も同じなのでこの国の王家全体がそんな事なのでしょうが、、、まあいいでしょう。仲良くしてくださいな。私の離宮にでも今度いらっしゃって。お茶会でもいたしましょう、、、」
そう言って、となりの王を見る。王はすぐに目線を明後日の方に向けてしまう。バカ息子呼ばわりされたヒュセインは、膨れている。よく見ると、結構顔も似ている気がする。
、、、へ~、この王もヒュセイン馬鹿王子と同じような感じなんだ。よし、近づかないでおこう。面倒がやってくるのは嫌だし。あと、トゥヤル王家全体がそうってことは、これは遺伝でも優性遺伝ってとこかな?そんな優性遺伝子いらないけど。
その後の第二夫人、第三夫人の挨拶を受けると、次は王女の番だ。
王子の番は、と思ったが、どうやら王子はなしらしい。もう会っているし、まだ膨れているからだ。まあ、いらないけど。
王女は、とても可愛い顔立ちをしている。が、そこからどうも隠れない意地悪そうな部分が見えないわけではない。
、、、あー、こういう人苦手なタイプ。思い出したくもないけど、マルセリナもこんな感じだった気がするんだよね。あと、普通に貴族としてわたしを嫌っていた、嫌味なルシアナ・モンタルボ・ライネスとか言う人もこうだった気がするんだよね。あーあ。
王女はわたしを見ると、口を尖らせてこういった。
、、、口をとがらせなければ可愛いのに。
「へー、あんたがあたしの姉ってことになるの?最悪ね。ブスだしバカそうだし、後なんだかムカつくし。いいわ。住むことは認めてあげます。でも、ちゃんと働きなさいよ。あと、あたしを敬うのよ。先輩なんだから。いーい?お母様やお父様やお兄様はあんたに騙されたかもしれないけど、あたしは賢いから騙されないからね。ふん。」
全員が開いた口が塞がらない状態になった。それほど驚いたのだ。だから、誰も止められなかった。
えーと、早々に敵対宣言、ってことでいいかな?そのほうがやりやすいけど。
、、、でも、そう言われた時の対応ってどうするんだろう?流石にそんな事、聖典に載っているわけ無いし、、、
部屋の窓は絹か何かの布のカーテンで覆われて少し暗かったが、宝石に光源剤を塗られたランプのおかげで美しく見えた。それ以外も豪奢な家具でいっぱいだった。
正直なところそれを三つほど売って、その伝染病を抑えるための特別医療費にでも当てたらどうですか、というのが本音なのだが。
この部屋は前座のようなものだったらしい。誰も人はいなかった。しかし奥に、小さなドアがあるのをわたしは見つけた。この部屋からさっきの衛兵と話していた人が出てきたのだから、この部屋からしか出てきていないはず。他に隠し通路の類がなければ。
わたしはドアを開く。
やはりそこには、皇帝と思われる男性とその第一夫人から第三夫人だろうと思われる女性三人がいた。さらに、あの王子と船内で王子と話していた王女と思われる人がいた。
「座れ」
見ると、そこには空いている椅子があった。遠慮なく座らせていただこう。
まず、皇帝から口を開く。
「よく来た。この度来てくれたことに、とても感謝している」
皇帝はそれだけ言うと、口を閉じてしまった。
正確には、「来てくれた」ではなく「おとなしく連れてこられた」のほうが近いんですけどね。
もちろん、これも言った時点で死刑確定なので言わない。無限枚の金貨と引き換えにでもこれは絶対言わない。
入れ替わりに、三人の女性のうち一人が話し始める。第一夫人だろう。
「流石。私たちを見ても萎縮しないようで、堂々としている。珍しいですわ。しかし、来てくれたことが奇跡ですわ。このバカ息子は、どうにも人を鑑みないで独断専行で突き進んで、他人の寿命を縮めてしまう部分がありまして。まあ、それはどこかの方も同じなのでこの国の王家全体がそんな事なのでしょうが、、、まあいいでしょう。仲良くしてくださいな。私の離宮にでも今度いらっしゃって。お茶会でもいたしましょう、、、」
そう言って、となりの王を見る。王はすぐに目線を明後日の方に向けてしまう。バカ息子呼ばわりされたヒュセインは、膨れている。よく見ると、結構顔も似ている気がする。
、、、へ~、この王もヒュセイン馬鹿王子と同じような感じなんだ。よし、近づかないでおこう。面倒がやってくるのは嫌だし。あと、トゥヤル王家全体がそうってことは、これは遺伝でも優性遺伝ってとこかな?そんな優性遺伝子いらないけど。
その後の第二夫人、第三夫人の挨拶を受けると、次は王女の番だ。
王子の番は、と思ったが、どうやら王子はなしらしい。もう会っているし、まだ膨れているからだ。まあ、いらないけど。
王女は、とても可愛い顔立ちをしている。が、そこからどうも隠れない意地悪そうな部分が見えないわけではない。
、、、あー、こういう人苦手なタイプ。思い出したくもないけど、マルセリナもこんな感じだった気がするんだよね。あと、普通に貴族としてわたしを嫌っていた、嫌味なルシアナ・モンタルボ・ライネスとか言う人もこうだった気がするんだよね。あーあ。
王女はわたしを見ると、口を尖らせてこういった。
、、、口をとがらせなければ可愛いのに。
「へー、あんたがあたしの姉ってことになるの?最悪ね。ブスだしバカそうだし、後なんだかムカつくし。いいわ。住むことは認めてあげます。でも、ちゃんと働きなさいよ。あと、あたしを敬うのよ。先輩なんだから。いーい?お母様やお父様やお兄様はあんたに騙されたかもしれないけど、あたしは賢いから騙されないからね。ふん。」
全員が開いた口が塞がらない状態になった。それほど驚いたのだ。だから、誰も止められなかった。
えーと、早々に敵対宣言、ってことでいいかな?そのほうがやりやすいけど。
、、、でも、そう言われた時の対応ってどうするんだろう?流石にそんな事、聖典に載っているわけ無いし、、、
0
お気に入りに追加
95
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
落ちこぼれ公爵令息の真実
三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。
設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。
投稿している他の作品との関連はありません。
カクヨムにも公開しています。
ヒロインはあなたじゃない
三木谷夜宵
ファンタジー
公爵令嬢のリア・ハインツシュタインは、王立学園の卒業式を前に行われた舞踏会で婚約者であるエリアス殿下に、真実の愛で結ばれた男爵令嬢のルイーザを虐げたという理由で婚約破棄を言い渡される。
かつてこの学園では真実の愛で結ばれた身分違いのロマンスがあり、殿下と男爵令嬢は、自分たちもそのロマンスのように真実の愛で困難を乗り越えていけると夢を見ていた。
そんな二人の様子を見たリアは、ロマンスの真実を語るであった。
カクヨムにも公開しています。
婚約破棄の場に相手がいなかった件について
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。
断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。
カクヨムにも公開しています。
悲恋を気取った侯爵夫人の末路
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵夫人のプリシアは、貴族令嬢と騎士の悲恋を描いた有名なロマンス小説のモデルとして持て囃されていた。
順風満帆だった彼女の人生は、ある日突然に終わりを告げる。
悲恋のヒロインを気取っていた彼女が犯した過ちとは──?
カクヨムにも公開してます。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。
まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。
温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。
異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか?
魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。
平民なんですがもしかして私って聖女候補?
脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか?
常に何処かで大食いバトルが開催中!
登場人物ほぼ甘党!
ファンタジー要素薄め!?かもしれない?
母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥
◇◇◇◇
現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。
しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい!
転生もふもふのスピンオフ!
アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で…
母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される
こちらもよろしくお願いします。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる