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12 暴走
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もう一度転移した。
すると、これまたわたしの来たことのない部屋についていた。アルブは来たことがあるみたいだけど。
しかし、この部屋は全てが白なのである。家具類から壁、天井、床や更には窓に至るまで、全てが白なのだ。
「ここ、どこですか?」
わたしは、前を歩くアルブに聞いた。
「ここは、アイツ、、、ネグルの本拠地だ。気をつけろ。アイツは少しおかしくなってるから、そこら中に罠が仕掛けられているはずだ。うっかり転びでもしたら、どうなることかってくらいだからな。できる限りの防御盾と、罠を見破るような聖呪があれば合わせて使え。体力なら俺がやるから、安心して使え。いいか、油断するな。油断したら即、死だからな。」
精霊なのに、本拠地を作ったりようだ。けれど、そこら中に罠があるというのは恐ろしい。わたしは、おかしくなったネグルの危険性について考えながら、言われたとおりに知っている中で一番防御力が強い盾を張り、危険な物を見破る聖呪をあわせてかけた。体力を補給してくれる、というのもありがたい。
アルブが、慎重にゆっくりとこの部屋のドアの方へ向かって歩いていく。わたしも真似して、ゆっくり一歩一歩歩いてついていく。
ようやくこの部屋から出られた、と思ったら、更に外は全て真っ黒、黒一色の廊下に出た。急に色が変わったので、目がちゃんと働かない。その途端、悲鳴が下の方から聞こえてきた。
、、、いきなり悲鳴が聞こえてくるとか、ここの治安どうなってんの?
それを聞いたアルブは、小さく舌打ちしてから少しスピードを上げて歩き出した。よくよく見ると、アルブの目が怒りのせいなのか何なのか、気のせいだと信じたいが赤色になっている。
わたしの視線に気づかず、アルブはまずすぐ右側にある階段を下って、そこからすぐの角を左に曲がった先にあるもう一つの階段を下った。最後に、左にある道を延々と進んでいった。もちろん、わたしもスピードを上げてついていく。
その道の先には、小さなドアがあった。その奥から色々な音がしているので、この中にネグルがいると考えてよいだろう。
バッターン!と音がした。そっちの方を見ると、とうとうアルブがドアを蹴破ったのが見えた。
そして中には、衝撃的な光景があった。
◆◇◆◇◆◇
(流血・死体表現注意)
まず真ん中に数人の死体が転がっていて、真っ赤な血が大量に吹き出している。ドアの方には首を紐でくくられた死体×四。肝心のネグルは、部屋の右側にある椅子に座ってなにもないかのようにお茶を飲んでいる。ある意味、こんな状況で平然としていられるネグルの精神力はすごいと思う。
それは、場合によるけど。
「血がだいぶ出てきたか。なら、集めようか。、、、うん?」
わたし達を発見するより前に呟いていたことが何やら怖い実験に繋がっている気がする。ついでに言えば、ネグルの体から恐ろしげな黒いオーラが出ている。それはそうとして、さ。
「アリヴォール・ルトゥム レディ・クオ・ヴェトム」
反射的に、わたしはこの死体を取り敢えずどこかへやってしまおうと思ってこの聖呪を使っていた。この死体がどこへ飛んでいくのか、は知らない。責任も取らない。
「ブリセイダ!ああ、可哀想に。あんな叔父夫婦と従兄妹なんて、私が早く亡きものにして、体中を痛めつけありとあらゆる苦行を味わさせて拷問してしまえばよかったんだ。済まなかったね。」
いや、別にそんな事しなくていいですから。無益な殺生はしなくていいですから。拷問とかやめてください。と思ったら、ネグルの黒いオーラはすでになくなっていた。感覚的な話すぎるんだけど。
すると今度は、ネグルがわたしからアルブの方へ、目を向けた。
「私のブリセイダと随分仲良くしていたようだけれど、それはどう言う心理でかい?」
ネグルは普段から丁寧な口調だけれど、アルブと話す時は少し崩れているようだ。
わたしがネグルのおかしな発言に気がついたのは、少ししてからだった。
「わたしはネグルの彼女でも婚約者でもないですよ⁉」
わたしも承認してないし、ネグルに「私の」と言われるほど親密なわけでもない。もしこんな人と結婚することになったとしても、いきなり暴走し始めて人を拷問しだすような恐ろしい人は嫌だ。
「いや、今なったんだ。」
だ、か、ら!
わたしが叫びだそうとした瞬間、
「いや、お前がブリセイダと過ごしていた時間なんて、俺に比べれば全然少ないだろ。お前にそんな事を言う権利はない。残念だな。俺にはあるが。」
アルブがこう言った。皆考えることは同じなんだね。頭が痛くなるような発言だ、と思っていたら、いきなり目の前が白色に変わった。
そして、一言。アルブが耳元で言った。
「お前は俺が守る。絶対に死なせないから、安心しろ。」
だ、か、ら!もう!
気持ちだけなら、何度も死んでいる気がした。
✁✂✃✄はさみハサミ鋏(どうでも良いこと)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
流血表現ありです。ちょっとすいません。
本当は、適当に誰かとくっつける設定だったんです。今もそれを諦めてませんし。
魔物退治のところからは、最後らへんのシーンを入れるために作った話です。ネグルのカッコいいシーンも作りたい、と画策しています。お楽しみに。
すると、これまたわたしの来たことのない部屋についていた。アルブは来たことがあるみたいだけど。
しかし、この部屋は全てが白なのである。家具類から壁、天井、床や更には窓に至るまで、全てが白なのだ。
「ここ、どこですか?」
わたしは、前を歩くアルブに聞いた。
「ここは、アイツ、、、ネグルの本拠地だ。気をつけろ。アイツは少しおかしくなってるから、そこら中に罠が仕掛けられているはずだ。うっかり転びでもしたら、どうなることかってくらいだからな。できる限りの防御盾と、罠を見破るような聖呪があれば合わせて使え。体力なら俺がやるから、安心して使え。いいか、油断するな。油断したら即、死だからな。」
精霊なのに、本拠地を作ったりようだ。けれど、そこら中に罠があるというのは恐ろしい。わたしは、おかしくなったネグルの危険性について考えながら、言われたとおりに知っている中で一番防御力が強い盾を張り、危険な物を見破る聖呪をあわせてかけた。体力を補給してくれる、というのもありがたい。
アルブが、慎重にゆっくりとこの部屋のドアの方へ向かって歩いていく。わたしも真似して、ゆっくり一歩一歩歩いてついていく。
ようやくこの部屋から出られた、と思ったら、更に外は全て真っ黒、黒一色の廊下に出た。急に色が変わったので、目がちゃんと働かない。その途端、悲鳴が下の方から聞こえてきた。
、、、いきなり悲鳴が聞こえてくるとか、ここの治安どうなってんの?
それを聞いたアルブは、小さく舌打ちしてから少しスピードを上げて歩き出した。よくよく見ると、アルブの目が怒りのせいなのか何なのか、気のせいだと信じたいが赤色になっている。
わたしの視線に気づかず、アルブはまずすぐ右側にある階段を下って、そこからすぐの角を左に曲がった先にあるもう一つの階段を下った。最後に、左にある道を延々と進んでいった。もちろん、わたしもスピードを上げてついていく。
その道の先には、小さなドアがあった。その奥から色々な音がしているので、この中にネグルがいると考えてよいだろう。
バッターン!と音がした。そっちの方を見ると、とうとうアルブがドアを蹴破ったのが見えた。
そして中には、衝撃的な光景があった。
◆◇◆◇◆◇
(流血・死体表現注意)
まず真ん中に数人の死体が転がっていて、真っ赤な血が大量に吹き出している。ドアの方には首を紐でくくられた死体×四。肝心のネグルは、部屋の右側にある椅子に座ってなにもないかのようにお茶を飲んでいる。ある意味、こんな状況で平然としていられるネグルの精神力はすごいと思う。
それは、場合によるけど。
「血がだいぶ出てきたか。なら、集めようか。、、、うん?」
わたし達を発見するより前に呟いていたことが何やら怖い実験に繋がっている気がする。ついでに言えば、ネグルの体から恐ろしげな黒いオーラが出ている。それはそうとして、さ。
「アリヴォール・ルトゥム レディ・クオ・ヴェトム」
反射的に、わたしはこの死体を取り敢えずどこかへやってしまおうと思ってこの聖呪を使っていた。この死体がどこへ飛んでいくのか、は知らない。責任も取らない。
「ブリセイダ!ああ、可哀想に。あんな叔父夫婦と従兄妹なんて、私が早く亡きものにして、体中を痛めつけありとあらゆる苦行を味わさせて拷問してしまえばよかったんだ。済まなかったね。」
いや、別にそんな事しなくていいですから。無益な殺生はしなくていいですから。拷問とかやめてください。と思ったら、ネグルの黒いオーラはすでになくなっていた。感覚的な話すぎるんだけど。
すると今度は、ネグルがわたしからアルブの方へ、目を向けた。
「私のブリセイダと随分仲良くしていたようだけれど、それはどう言う心理でかい?」
ネグルは普段から丁寧な口調だけれど、アルブと話す時は少し崩れているようだ。
わたしがネグルのおかしな発言に気がついたのは、少ししてからだった。
「わたしはネグルの彼女でも婚約者でもないですよ⁉」
わたしも承認してないし、ネグルに「私の」と言われるほど親密なわけでもない。もしこんな人と結婚することになったとしても、いきなり暴走し始めて人を拷問しだすような恐ろしい人は嫌だ。
「いや、今なったんだ。」
だ、か、ら!
わたしが叫びだそうとした瞬間、
「いや、お前がブリセイダと過ごしていた時間なんて、俺に比べれば全然少ないだろ。お前にそんな事を言う権利はない。残念だな。俺にはあるが。」
アルブがこう言った。皆考えることは同じなんだね。頭が痛くなるような発言だ、と思っていたら、いきなり目の前が白色に変わった。
そして、一言。アルブが耳元で言った。
「お前は俺が守る。絶対に死なせないから、安心しろ。」
だ、か、ら!もう!
気持ちだけなら、何度も死んでいる気がした。
✁✂✃✄はさみハサミ鋏(どうでも良いこと)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
流血表現ありです。ちょっとすいません。
本当は、適当に誰かとくっつける設定だったんです。今もそれを諦めてませんし。
魔物退治のところからは、最後らへんのシーンを入れるために作った話です。ネグルのカッコいいシーンも作りたい、と画策しています。お楽しみに。
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